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それぞれの思い

凛、はやて、雄大、実

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四人は、泣いていた。

「何で、叩かれたのかな?」

「めちゃくちゃ、胸に響いたよ」

「苦しかったよ」

「悲しかったよ」

四人は、涙を拭っている。

最後に、監督がしんのメッセージをエンドロールの最後に流していた。

凛が、停止ボタンを押した。

【俊之と昌也と同じような傷を抱えて生きている人が、この世界に沢山いる事でしょう。私は、別れた妻にこのお話を書いて欲しいと頼まれました。別れた妻と今の恋人の方が抱えている気持ちを私が代弁し描(えが)かせていただきました。同じ傷をもつ誰かの日常を照らせますように…。】

「これって、ドラマの時はなかったんだよね?」

「そうそう!でも、監督がつけたかったから、しんに載せるために聞いたらしいよ」

「ドラマ放送後は、結構叩かれたよね。これ、つけたら結構変わったらしいよ。実話ってなったら、ちょっとかわるんだよね」

「確かに、誰かの実話だって言われたら、否定しづらいよね。」

「でも、今回はしんも相当へこんでるって話聞いたよ」

「それは、俺も聞いたよ」

そう言って、はやてがSNSを見せる。

「この掲示板だろ?」

「そうそう」

「しんの作品を叩くスレな!」

「ほら、これ。」

「事情があって離婚した人間を否定してるのが気分悪いです。か…。」

「別に否定してないよな?」

「うん。しんは、不倫された子供の気持ちを代弁してるわけだから…。」

「しんの奥さん、本当に親が不倫してる時に出来た子だったんだって!それで、自分が汚くて気持ち悪くて悩んだんだって書いてたよ。」

「それ、しんのblogだよね」

「そうそう。今の恋人さんも、親に性は悪だって植え付けられてて、奥さんとそうなったら嫌悪感から自殺未遂したりするらしい。それも、全部話していいって言ってくれたらしくて、しんはblogに書いたみたいだね。」

「しんは、blog書くつもりなかったみたいだけどね。結構、叩かれるから始めさせたみたいだよ。でも、あんまり更新してないけどね」

そう言いながら、はやては立ち上がってパソコンをもってきた。

「こっちで見るのがいいよね」

「しん、今、めっちゃくちゃ悩んでるみたい。」

はやては、昨日のしんの投稿をクリックする。

「今、出された難問を目の前にして、自分の価値観では足りない気がしています。それでも、書けるのかと自分に問いかけています。出来ないとさじを投げたくはない。ただ、【欠けたピースは戻らない】を書いた自分としてはこの作品を…。」

「禁断の愛をしんが書くらしいって話、流れてるよね」

「そうそう」

「苦しんでるんだよね。しんは…。」

「禁断って事は、不倫だよね?もしくは、未成年?でも、しんの作品からしたら未成年より不倫ものだよね」

「そうだと思うよ」

「それって、しんどいよね」

「しんどいと思う」

しんのblogのコメントをはやては、スクロールしながら読む。

「この人、めっちゃしんが好きだね」

「本当だ!」

「しんさんの、欠けたピースは戻らないのBlu-rayを見ました。元奥様に書かれた話だと知り納得しました。前にツブヤイターで、元奥様がりあの先生の大ファンであると読みました。りあの先生とのコラボだと知り興奮しました。りあの先生が、どこの文を書いたのかわからないぐらいしんさんの世界観を壊さずに書かれていて驚きました。私も似たような境遇です。このBlu-rayを宝物にしたいと思いました。しんさんの作品に救われた一人です。ありがとうございました。だって!しんが好きなんだね」

「すごい伝わってきた。でも、この人が言う通り、りあのさんがどこ書いたのかな?演じててもわからなかったよ」

「確かに、お互いの作品を読み合う中だって言うぐらいだから、凄いよね。」

「俺は、昌也をりあのさんが書いてるのかなーって思ったんだけどね」

「どっちが、書いたかわからないから凄いよね。ただ、最後は小さなハッピーエンドがあるのはしんらしいよね」

「うん、そうだよね。」

「次は、これだね」

「そうだね、見ようか」

「これは、無名の小説家さんとリモートしながら作ったらしいよ!」

「多分、しんがベースではあるよね」

「美麗(みれ)と梓だよね」

「見よう、見よう」

そう言って、凛はBlu-rayを入れ換えて再生をする。

はやては、パソコンを閉じる。

雄大は、みんなのグラスにワインを注いでいれる。

実は、ポップコーンを広げる。


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