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シークレット作品①
【欠けたピースは戻らない】③
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昌也は、煙草を消して目をつぶった。
「疲れた?」
「あいつを思い出したら疲れる」
「少し、寝なよ」
「うん、トッシー。おやすみ」
「おやすみ」
俺は、昌也の髪を撫でる。
俺は、あの日を思い出していた。
.
.
.
.
.
「俊之、お母さんとお父さんは、離婚するから」
「離婚?」
「だから、お母さんについてくるのよ。」
「何で?」
「何でじゃありません!」
一瞬怒鳴られた事が、怖かった。
元々、仲がいいかどうかは理解していなかった。
どうして離婚するのだろうか?
僕が、悪い子だったから?
お父さんは、優しかったよ。
お母さんが、頑張ってたのも知ってるよ。
でも、何で別れるのかな?
「俊之、お母さん頑張って働くからね」
「うん」
お母さんは、僕の頭を撫でた。
父親は、僕を見ずに家を出ていった。
母親は、僕を連れて出ていった。
二週間後ー
「俊之君、よろしくね」
「誰?」
「お母さんの友達だよ」
そう笑った男の人と母親の姿を見て、母親が夜な夜な会いに行っていた相手が、こいつやったんだと理解していた。
母親に対して、お前と初めて思った。
お前は、何で僕を産んだのかという怒りが沸々と沸いたのを覚えている。
学校から帰宅して、母親がいなくなると僕は、母親が大切にしている【不倫漫画】を愛読していた。
おばさんでも、恋がしたい。
子供が出来ても、女なのよ。
私は、貴方の玩具じゃない。
並ぶ言葉の配列に、嫌悪と吐き気を繰り返した。
頭の中だけで終わらせておけよ。
お前は、何故実行した?
だんだんと母親に対して優しく出来なくなっていった。
.
.
.
.
.
下らない事を思い出した。
俺は、立ち上がって冷蔵庫からビールを取り出した。
【不倫が、悪だって正当な言葉を吐くんですよね。】
バイト先のコンビニで働いてる朝比奈さんは、俺に言った。
【別に…。好きにすれば…。】
俺は、そう真顔で言った。
【宮村さん、私どうしょうもなく好きなんです。】
その言葉が、理解できない俺は彼女を責める事も出来なかった。
ただ、その人は子持ちだと知って子供が俺のようにならなければいいと祈るしか出来なかった。
あいつは、癌で死んだ。
ずっとあの若い奴といたわけじゃない。
いったん別れて、別の奴と不倫していた。
【セックスさえ出来ればテメーは、誰でもいいのかよ!】
13歳の夏、俺の言葉に、あいつが俺の頬を殴った。
あの若い奴と純愛だと言うなら、俺も少しは理解しようとした。
でも、別れて既婚のおっさんと不倫していた…。
【色々あるの】と、言い訳じみたあいつにイライラした。
【俊之が、大事だから】離婚して、家を出た時にあいつが発した言葉は、一度も守られちゃいなかった。
18歳の冬、あいつは俺に堂々と言った。
【夫婦だからとセックスを強要して、物のように扱うお父さんが嫌だったの。それに、何をしても当たり前みたいな顔して…。お父さんが、先に不倫したのよ。お母さんは、ずっとそれを黙認してたの。許してきたのよ】
【何で、俺を産んだの?】
【お腹に俊之が宿って嬉しかったから産んだのよ!お母さん、お父さんをその頃は、愛していたからよ。】
【違うだろ?】
【何を言ってるの?】
【あんたは、ただ逃げたかっただけだよ。自分のやりきれない人生から逃げたかっただけだよ。物みたい?だから、何だよ!当たり前?そんなの知るかよ。不倫したのが向こう?だから、何だよ。あんただって、気づいてないだけで俺にずっとそうしてんだよ!わかってないなら、あんたは相当重症だな!自分ばっかり不幸みたいに言ってんじゃねーぞ。俺は、あんたら夫婦の下らないやりとりに巻き込まれたんだよ。産まれて来なきゃよかったよ!】
初めて、あいつにすべての苛立ちをぶつけて家を飛び出した。
俺の大好きな父親をあいつは、グチャグチャに踏み潰したんだ。
「疲れた?」
「あいつを思い出したら疲れる」
「少し、寝なよ」
「うん、トッシー。おやすみ」
「おやすみ」
俺は、昌也の髪を撫でる。
俺は、あの日を思い出していた。
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「俊之、お母さんとお父さんは、離婚するから」
「離婚?」
「だから、お母さんについてくるのよ。」
「何で?」
「何でじゃありません!」
一瞬怒鳴られた事が、怖かった。
元々、仲がいいかどうかは理解していなかった。
どうして離婚するのだろうか?
僕が、悪い子だったから?
お父さんは、優しかったよ。
お母さんが、頑張ってたのも知ってるよ。
でも、何で別れるのかな?
「俊之、お母さん頑張って働くからね」
「うん」
お母さんは、僕の頭を撫でた。
父親は、僕を見ずに家を出ていった。
母親は、僕を連れて出ていった。
二週間後ー
「俊之君、よろしくね」
「誰?」
「お母さんの友達だよ」
そう笑った男の人と母親の姿を見て、母親が夜な夜な会いに行っていた相手が、こいつやったんだと理解していた。
母親に対して、お前と初めて思った。
お前は、何で僕を産んだのかという怒りが沸々と沸いたのを覚えている。
学校から帰宅して、母親がいなくなると僕は、母親が大切にしている【不倫漫画】を愛読していた。
おばさんでも、恋がしたい。
子供が出来ても、女なのよ。
私は、貴方の玩具じゃない。
並ぶ言葉の配列に、嫌悪と吐き気を繰り返した。
頭の中だけで終わらせておけよ。
お前は、何故実行した?
だんだんと母親に対して優しく出来なくなっていった。
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下らない事を思い出した。
俺は、立ち上がって冷蔵庫からビールを取り出した。
【不倫が、悪だって正当な言葉を吐くんですよね。】
バイト先のコンビニで働いてる朝比奈さんは、俺に言った。
【別に…。好きにすれば…。】
俺は、そう真顔で言った。
【宮村さん、私どうしょうもなく好きなんです。】
その言葉が、理解できない俺は彼女を責める事も出来なかった。
ただ、その人は子持ちだと知って子供が俺のようにならなければいいと祈るしか出来なかった。
あいつは、癌で死んだ。
ずっとあの若い奴といたわけじゃない。
いったん別れて、別の奴と不倫していた。
【セックスさえ出来ればテメーは、誰でもいいのかよ!】
13歳の夏、俺の言葉に、あいつが俺の頬を殴った。
あの若い奴と純愛だと言うなら、俺も少しは理解しようとした。
でも、別れて既婚のおっさんと不倫していた…。
【色々あるの】と、言い訳じみたあいつにイライラした。
【俊之が、大事だから】離婚して、家を出た時にあいつが発した言葉は、一度も守られちゃいなかった。
18歳の冬、あいつは俺に堂々と言った。
【夫婦だからとセックスを強要して、物のように扱うお父さんが嫌だったの。それに、何をしても当たり前みたいな顔して…。お父さんが、先に不倫したのよ。お母さんは、ずっとそれを黙認してたの。許してきたのよ】
【何で、俺を産んだの?】
【お腹に俊之が宿って嬉しかったから産んだのよ!お母さん、お父さんをその頃は、愛していたからよ。】
【違うだろ?】
【何を言ってるの?】
【あんたは、ただ逃げたかっただけだよ。自分のやりきれない人生から逃げたかっただけだよ。物みたい?だから、何だよ!当たり前?そんなの知るかよ。不倫したのが向こう?だから、何だよ。あんただって、気づいてないだけで俺にずっとそうしてんだよ!わかってないなら、あんたは相当重症だな!自分ばっかり不幸みたいに言ってんじゃねーぞ。俺は、あんたら夫婦の下らないやりとりに巻き込まれたんだよ。産まれて来なきゃよかったよ!】
初めて、あいつにすべての苛立ちをぶつけて家を飛び出した。
俺の大好きな父親をあいつは、グチャグチャに踏み潰したんだ。
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