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【心だけが、繋がらない。】
【心だけが繋がらない】⑯
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冬は、篠村さんの手を握りしめた。
「帰りましょ」
冬の言葉に驚いた!
「何で?」
「二人の10年間を壊したらアカンから」
「そんな」
「ごめん。キスして」
冬は、篠村さんを抱き締めた。
篠村さんと里山さんには、自分達にはない。絆が、存在してる。
だからこそ、自分とするべきじゃないと冷静になった冬は思っていた。
一方、夏も…。
「もう、やめよ」
「何で?」
「もう、充分。楽しかった」
「こんな話したから」
夏は、首を横に振った。
「壊したらアカンよ。10年間」
「ほんなら、最後に俺を振って」
「先輩は、何て名前やったん?」
「優さん」
「ほんなら、それ呼んで。僕の事も振って」
「うん」
「優さん、好きでした。俺と付き合って下さい。」
「ごめん。里山の気持ちには答えられへん。」
里山さんは、ポロポロと泣き出した。
「春、ずっと好きやった。僕と付き合ってくれへん?」
「ごめんな。夏の気持ちには、答えられん。」
その言葉に、夏は泣いた。
「ありがとう」
「こっちこそ、ありがとう」
最後に、泣きながら唇をゆっくりと重ねた。
一方、冬…。
「最後に、俺を振ってよ。冬。中学から、7年間好きやった。のりを忘れさせて欲しいねん。ゆいって、呼ばれてたから。」
「わかった。」
「のり、俺ずっとのりが好きやった。俺と付き合ってや!」
「ゆい、ごめん。俺は、ゆいとは付き合われへん。」
その言葉に、篠村さんは、泣いていた。
「秋、ずっと好きやった。俺と付き合ってくれへん?」
「冬、ごめんな。俺は、冬とは付き合われへん」
その言葉に、冬は泣いていた。
「ありがとう、好きやった。」
「こっちこそ、ホンマにありがとう。」
冬と篠村も最後に、優しく唇を重ね合わせた。
.
.
.
.
.
.
帰宅した四人は、顔を合わせた。
「じゃあね、三上さん」
「じゃあね、里山さん」
「ほんならね、成瀬さん」
「ほんなら、篠村さん」
バタン…。
それぞれのパートナーの元に戻った。
「振られたわ」
「奇遇やな!僕もやで」
泣きながら、夏と笑う冬。
鍵を閉める。
夏は、ベッドに冬を連れていく。
「俺の性処理の玩具になってくれん?」
「しゃーなしやで!わかってるか?」
「わかってる。ありがとう、ホンマにありがとう」
「下手やったら、一回やで」
「もちろんや」
初めてをやり直しす。
「優しくするからな」
「んんっっ、ハァー、ハァー」
「いい所は、みんな知っとるで」
「んんっっ、冬っっ」
夏の身体が、ピクリと跳ねる。
「僕も知ってるよ」
「ハァー、ハァー」
冬のものを握りしめる夏。
心だけが繋がらないのは、感じている。
でも、身体の熱をダイレクトに感じる。
「夏は、これが好きやろ?」
「いいっ、好き」
突き上げられる度に、喜びが込み上げてくる。
心なんて繋がろうが、なかろうがもうどうだっていい。
夏の身体の至るところは、冬なのだ。
冬の身体の至るところも、夏なのだ。
答えなんか、出るわけがない。
今だって、目を瞑れば篠村とのキスが浮かぶ冬。
里山とのキスが、浮かぶ夏。
「声、我慢せな聞こえんで」
「んんっっ、んんっっ」
突き上げられる度に、快感が襲ってきて、頭が真っ白になる。
突き上げる度に、快感が襲ってきて、頭が真っ白になる。
答えは、それだ!
誰よりも、身体の相性が良すぎる。
それだけで、充分だ!!!
誰かが、間違っていると言ったって、夏と冬には、これしか繋がりがないのだ。
「ハァー、ハァー」
「ハァー、ハァー」
重なり合う呼吸。
「んんっ、冬。」
「まだしよか?夏」
「もう、無理。何度もいってるのに…。」
「関係ない」
冬は、また夏を抱いた。
「無理、無理、冬。っっ、ハァ、ハァ」
「静かにせな!恥ずかしいで」
「んっ、んっ、んんっっ」
「可愛いな、夏」
「ハァー、冬。いい。」
「気に入った?」
「うん、気に入った。玩具になるよ。」
「よかった」
触(ふ)れた場所から、熱を持つ。
身体中が、冬を求めて受け入れる。
身体が、夏が欲しいと叫んでる。
もう、それが答えだろ?
心何か繋がなくたって、こんなに欲しいのだから、答えだろ?
こんなに気持ちいいのだから、答えだろ?
二人は、頭の中で何度もそう思った。
好きじゃなきゃ、愛がなきゃ、そう教えられてきたはずなのに…。
どこをもって、好きというのだろうか?
どれをとって、愛だというのだろうか?
二人には、永遠の謎でしかなかった。
3ヶ月後ー
あの日から、お隣さんとは、変わらずに仲よくしいた。
「夏、肉焼けるで」
「うん、食べる」
冬と焼き肉を食べに来ていた。
帰り道、冬は夏の手を握りしめた。
「うまかったな!」
「うん、また行こうな」
冬は、月命日に行くのをやめた。それは、志保に相変わらず脅されているからだった。
冬は、志保のせいで、会社を辞める事になった。
そして、今。ビルの清掃員の仕事をしている。
夏もコンビニを辞める事になった。そして、志保が両親にゲイだとばらしたせいで絶縁状態になった。夏は、今二駅向こうのラブホテルの清掃員をしている。
夏と冬は、手を繋ぎながら同じ事を思っていた。
【季節を飛び越えられないように、心はその季節の向こう側にある。いつか、掴めるかもしれないけれど…。そのいつかがわからない。だけど、いつか季節を飛び越えて掴めたとしたら…。もう、二度と離さないのを約束するから…。だから、心はそこに置いておいて…。】
二人のシルエットが、夜の闇に消えていく。
END
「帰りましょ」
冬の言葉に驚いた!
「何で?」
「二人の10年間を壊したらアカンから」
「そんな」
「ごめん。キスして」
冬は、篠村さんを抱き締めた。
篠村さんと里山さんには、自分達にはない。絆が、存在してる。
だからこそ、自分とするべきじゃないと冷静になった冬は思っていた。
一方、夏も…。
「もう、やめよ」
「何で?」
「もう、充分。楽しかった」
「こんな話したから」
夏は、首を横に振った。
「壊したらアカンよ。10年間」
「ほんなら、最後に俺を振って」
「先輩は、何て名前やったん?」
「優さん」
「ほんなら、それ呼んで。僕の事も振って」
「うん」
「優さん、好きでした。俺と付き合って下さい。」
「ごめん。里山の気持ちには答えられへん。」
里山さんは、ポロポロと泣き出した。
「春、ずっと好きやった。僕と付き合ってくれへん?」
「ごめんな。夏の気持ちには、答えられん。」
その言葉に、夏は泣いた。
「ありがとう」
「こっちこそ、ありがとう」
最後に、泣きながら唇をゆっくりと重ねた。
一方、冬…。
「最後に、俺を振ってよ。冬。中学から、7年間好きやった。のりを忘れさせて欲しいねん。ゆいって、呼ばれてたから。」
「わかった。」
「のり、俺ずっとのりが好きやった。俺と付き合ってや!」
「ゆい、ごめん。俺は、ゆいとは付き合われへん。」
その言葉に、篠村さんは、泣いていた。
「秋、ずっと好きやった。俺と付き合ってくれへん?」
「冬、ごめんな。俺は、冬とは付き合われへん」
その言葉に、冬は泣いていた。
「ありがとう、好きやった。」
「こっちこそ、ホンマにありがとう。」
冬と篠村も最後に、優しく唇を重ね合わせた。
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帰宅した四人は、顔を合わせた。
「じゃあね、三上さん」
「じゃあね、里山さん」
「ほんならね、成瀬さん」
「ほんなら、篠村さん」
バタン…。
それぞれのパートナーの元に戻った。
「振られたわ」
「奇遇やな!僕もやで」
泣きながら、夏と笑う冬。
鍵を閉める。
夏は、ベッドに冬を連れていく。
「俺の性処理の玩具になってくれん?」
「しゃーなしやで!わかってるか?」
「わかってる。ありがとう、ホンマにありがとう」
「下手やったら、一回やで」
「もちろんや」
初めてをやり直しす。
「優しくするからな」
「んんっっ、ハァー、ハァー」
「いい所は、みんな知っとるで」
「んんっっ、冬っっ」
夏の身体が、ピクリと跳ねる。
「僕も知ってるよ」
「ハァー、ハァー」
冬のものを握りしめる夏。
心だけが繋がらないのは、感じている。
でも、身体の熱をダイレクトに感じる。
「夏は、これが好きやろ?」
「いいっ、好き」
突き上げられる度に、喜びが込み上げてくる。
心なんて繋がろうが、なかろうがもうどうだっていい。
夏の身体の至るところは、冬なのだ。
冬の身体の至るところも、夏なのだ。
答えなんか、出るわけがない。
今だって、目を瞑れば篠村とのキスが浮かぶ冬。
里山とのキスが、浮かぶ夏。
「声、我慢せな聞こえんで」
「んんっっ、んんっっ」
突き上げられる度に、快感が襲ってきて、頭が真っ白になる。
突き上げる度に、快感が襲ってきて、頭が真っ白になる。
答えは、それだ!
誰よりも、身体の相性が良すぎる。
それだけで、充分だ!!!
誰かが、間違っていると言ったって、夏と冬には、これしか繋がりがないのだ。
「ハァー、ハァー」
「ハァー、ハァー」
重なり合う呼吸。
「んんっ、冬。」
「まだしよか?夏」
「もう、無理。何度もいってるのに…。」
「関係ない」
冬は、また夏を抱いた。
「無理、無理、冬。っっ、ハァ、ハァ」
「静かにせな!恥ずかしいで」
「んっ、んっ、んんっっ」
「可愛いな、夏」
「ハァー、冬。いい。」
「気に入った?」
「うん、気に入った。玩具になるよ。」
「よかった」
触(ふ)れた場所から、熱を持つ。
身体中が、冬を求めて受け入れる。
身体が、夏が欲しいと叫んでる。
もう、それが答えだろ?
心何か繋がなくたって、こんなに欲しいのだから、答えだろ?
こんなに気持ちいいのだから、答えだろ?
二人は、頭の中で何度もそう思った。
好きじゃなきゃ、愛がなきゃ、そう教えられてきたはずなのに…。
どこをもって、好きというのだろうか?
どれをとって、愛だというのだろうか?
二人には、永遠の謎でしかなかった。
3ヶ月後ー
あの日から、お隣さんとは、変わらずに仲よくしいた。
「夏、肉焼けるで」
「うん、食べる」
冬と焼き肉を食べに来ていた。
帰り道、冬は夏の手を握りしめた。
「うまかったな!」
「うん、また行こうな」
冬は、月命日に行くのをやめた。それは、志保に相変わらず脅されているからだった。
冬は、志保のせいで、会社を辞める事になった。
そして、今。ビルの清掃員の仕事をしている。
夏もコンビニを辞める事になった。そして、志保が両親にゲイだとばらしたせいで絶縁状態になった。夏は、今二駅向こうのラブホテルの清掃員をしている。
夏と冬は、手を繋ぎながら同じ事を思っていた。
【季節を飛び越えられないように、心はその季節の向こう側にある。いつか、掴めるかもしれないけれど…。そのいつかがわからない。だけど、いつか季節を飛び越えて掴めたとしたら…。もう、二度と離さないのを約束するから…。だから、心はそこに置いておいて…。】
二人のシルエットが、夜の闇に消えていく。
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