上 下
19 / 136
【蛹は、蝶の夢を見る。】

TV【蛹は、蝶の夢を見る。】⑫

しおりを挟む
章悟と淳。

淳に無理矢理、部屋の鍵を開けられた章悟。

真壁さんの手の温もりが、まだ残っていた。

「章悟、あいつとやったのか?」

後ろから抱き締められる。

「離せ、やってない」

「だったら、やらせろよ。俺としたかったから、あんな奴連れてきたんだろ?章悟。ヤキモチ妬かせたかったんだろ?」

「勿体ないんだろ?僕にするのは」

「関係ないよ、章悟。女は、すぐにバテちまうんだよ。わかるだろ?」

淳は、章悟のベルトをカチカチとはずそうとする。

やっぱり、淳にとって僕の気持ちなんて取るに足らないもの。

【章悟の全ては、俺にとって価値があるものだよ】

頭の中に、真壁の言葉が流れた。

チャックをおろされそうになった手を掴んだ。

「なんだよ、章悟。させろよ」

「ぼ、僕は、淳の玩具でいたくない」

突き飛ばした。

玄関で、突っ込まれそうになった。

僕の気持ちも体も、淳にはただの価値がないんだ。

抱かれたら、よけいに惨めになるのがわかる。

「なにすんだよ」

淳は、僕を壁に押さえつける。

「離せ、離せ」

必死で、抵抗をする。

「おとなしくしろよ。奴隷が」

その言葉に、僕の中の何もかもが壊れた。

バリン、パリン、パリン

って、音が響き渡る。

抵抗する気力が、消えた。

「言うこと聞けよ。なっ?章悟。ほら、キスしてやるから」

.
.
.
.
.

その頃、真壁…

【悠斗ーー。助けてよーー】

「姉ちゃん?」

振り返ったけど、いない。

いるわけないんだ。

章悟!!!!!

項垂れてた体を無理矢理起こした、来た道を戻る。

真壁が、走り出した瞬間
【智天使(ケルビム)のgoが流れる。】

♪走り出すんだ 君の元へと

大丈夫、平気って、泣いた♪

エレベーターに乗り込んで、さっきの階を押した。

章悟!!!!

真壁は、章悟の家の扉を開けた。

「ほら、ちゃんと嬉しそうにしろよ。なっ?章悟」

「やめろーーー」

ドカッ

無理矢理キスをされそうになっていた。

男を殴って、章悟の腕を掴んだ。

真壁は、自分の元に引き寄せて抱き締める。

「テメー。ふざけてんじゃねーぞ」

淳が起き上がるより前に、章悟を連れて玄関を出た。

涙を流してる章悟の手を引っ張っていく。

エレベーターに乗った。

「ぶっ殺すぞー」

淳の声が、響きわたる。

真壁は、マンションを出て、フラフラの章悟を引っ張る。

「頑張って、章悟」

一生懸命引っ張るけど、章悟の足に力が入らないのがわかる。

近くの公園に引っ張っていく。

真壁は、章悟を個室トイレに連れ込んだ。

「ごめん、少しだけ」

淳の声がする。

頼む、バレないでくれ。

祈りながら、淳の声が小さくなるのを待っていた。

淳の声が、聞こえなくなった。

「はあー。よかった。帰ろうか?」

ようやく焦点があった章悟が、真壁に抱きついた。

「どうした?怖かっただろ?」

夏が近づいていて日中は、暑いぐらいなのに章悟は震えていた。

「大丈夫だよ。あいつは、もういないから」

「真壁さん」

「悠斗でいいって」 

「ゆ、ゆ、悠斗」

潤んだ瞳で、悠斗を見つめる章悟

「どうした?」

「怖かった。」

顔を胸に埋めて泣いてる。

「もう、大丈夫だから」

「悠斗」

「どうした?」

「いつか、好きって言えるまで、一緒にいたいです。」

「はい」

俺は、章悟を抱き締めた。

「暫く、悠斗の家に泊まっていいかな?」

「うん、着替え取りに行こうか?」

「うん」

俺と章悟は、トイレから出て歩きだした。

好きって言うのは、もっと先でいいよ。

そしたら、章悟とずっーーといれるよな?

だから、ゆっくり好きになってよ、章悟。

章悟の家についたけど、さっきの奴はいなくて、章悟は急いで服を持ってきた。

「行こうか、悠斗」

「うん」

鍵を閉めて、章悟と声を出さないように歩く。

エレベーターに乗って、下まで降りた。

「こっち」

階段に、隠れた。

「章悟マジで、どこいきやがったんだよ」

さっきの男は、イライラしながらエレベーターに乗っていった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

処理中です...