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二人の思考
命と朝陽の考え③
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「そしたら、日下部と京子ちゃんは、どっから愛を補ってるんだ。与えるばかりじゃ辛くて悲しいだろう…」
「僅かな、三輪からの愛で日下部は生きていけるんじゃない?京も同じなのかもしれない」
命の言葉に、妙に納得していた。
「どれだけで、満足できるかは、結局人それぞれって話になってくるって事だよな」
「そうなるね」
俺は、命に焼いたステーキを渡した。
「難しいな」
「そうだね」
俺と命は、ステーキを食べる。
「どっちにしろ、俺と命は、二人必要って話だな」
「うん」
「話変わるけど、南条は順調?」
「うん、順調だよ」
「神さんは、帰ってこない日多いのか?」
「うん、多いよ。せっかく、夫婦戻れたと思ったんだけどね。沙羅もまた子供達見れなくなっちゃったし」
「南条は、子供にあげる愛が少ないタイプだな」
「兄さんに使っちゃってるからね。まあ、母さんと父さんがいるから…。同居しててよかったんじゃないかな」
「そうだな!で、おじさんとはどうなの?」
命は、目を伏せながらポツリと話した。
「レズっていってから、ほとんど話してないよ」
「そっか…」
「ただ、あの人なりに思う気持ちはあるんだとは思う。お見合いの話はなくなったし、結婚についても何も言ってこなくなったから」
「まあ、少しずつだな」
「母さんの離婚が効いたのかもね」
「おばさんは?」
「母さんは、理解をしめそうとはしてくれてるよ。こないだ、京と久々に会ったんだ。それで、京と今付き合ってるって事にして話したんだよ!そしたら、最初は複雑そうな顔してたけど…。昔から、知ってるからって少しは歩み寄ってくれた」
「よかったな」
俺は、命にニコニコ笑った。
「朝陽は、夕陽さんとどうするの?」
「さあ、どうもしないよ。夕陽から俺に歩み寄る事もないし、俺から夕陽に歩み寄る事もないから…。ただ、三輪の事はやめさせてあげたいよ。桜賀さんは、やめたくないって言ってるけど…。三輪は、違うから」
「そうだよね。三輪だけは、やめさせてあげたいよね」
「だから、また夕陽が来る事があったら会って話そうかとは思ってる」
「そうだね」
俺と命は、少ししんみりした気持ちになりながら焼き肉を食べ終わった。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
「今日は、三輪と会うからさ」
「私は、沙羅と会うから」
「どれくらい会ってるの?」
「京は、土曜日の夜に泊まって日曜過ごすでしょ!沙羅は、不定期かな?呼ばれたら行ったり、こっちに来たりって感じ!朝陽は?」
「俺も、三輪は木曜日に泊まって金曜日には帰るかな!後は、俺が休みの日に日下部と三人でモーニング食べに行くか朝御飯持ってきてくれるかな!桜賀さんは、不定期だわ。呼ばれたら行くって感じかな」
「そっか、愛してると振り回されるパターンだね」
「まあ、俺も三輪を振り回してきたから同じだよ」
「確かにね」
『でも、いないと無理だから』
俺と命は、一緒に言って笑ってしまった。
「惚れたら負けだね」
「まあ、そうなるな」
「仕方ないよね!どっちも勝てないから」
「そうだよな」
命は、そう言ってまたお金を出してくれた。
「俺は、負けてるな」
「いいじゃん。朝陽は、好きな事して生きてる勝ち組だよ」
「命は、医者が嫌いなのか?」
「時々、嫌になることあるよ」
命と一緒に外に出た。
「また、三輪と日下部と遊びたいって言ってよ」
「今度は、京子ちゃん連れてこいよ」
「うん、わかった」
「ご馳走さま!じゃあな!気を付けて」
「朝陽」
「何?」
「いつも、ありがとうね」
「こっちの台詞だよ」
「大好きだよ、朝陽」
「俺も、命が大好きだよ」
命は、俺に抱きついてきた。
「ギュッてしてやる」
「うん」
「無理すんなよ」
「うん」
「何かあったら…」
「すぐ電話するから、朝陽もだよ」
「わかってる」
「じゃあね」
「うん」
命は、俺から離れて指切りをした。
「気を付けて」
「バイバイ」
俺と命は、反対方向に進んでいく。
命には、京子ちゃんと南条が必要で…。
俺には、三輪と桜賀さんが必要で…。
どちらかがいなくなると息ができなくて、空っぽになったり、苦しくなったり、辛くなったり、空しくなったり…。
愛されてる存在と愛してる存在、両方がなければ人間(ひと)は生きていけない事を知ったんだ。
あの日、桜賀さんに再会しなければ俺は気づかなかった。
愛されない事が、こんなにも辛くて悲しい事を…。
僅かな希望もない日々が、苦しくて仕方ない事を…。
でも、それと同時に何もない事は、それ以上に苦しくて辛いことを知ったんだ。
そして、三輪に愛されてる事が凄く幸せで嬉しい事だってのも知った。
でも、その愛の中に浸かっていると空しさや寂しさが広がっていく事を知った。
人間は、わがままな生き物だって知ったんだ。
この世界には、どれだけの人が俺や命のような気持ちを味わっているのだろうか?
いや、俺達だけじゃない。
日下部や三輪や桜賀さんや京子ちゃんや南条や神さんや夕陽…。
誰かと同じような気持ちを味わっている人が、どれだけいるのだろうか?
「朝陽、おかえり」
「ただいま、煌人」
ニコニコ顔の三輪に抱き締められる。
【愛されないのに、愛してる】
その関係を俺達、全員きっと死ぬまで続けていくんだ。
それが、人間に残る本能なんだろ?
「僅かな、三輪からの愛で日下部は生きていけるんじゃない?京も同じなのかもしれない」
命の言葉に、妙に納得していた。
「どれだけで、満足できるかは、結局人それぞれって話になってくるって事だよな」
「そうなるね」
俺は、命に焼いたステーキを渡した。
「難しいな」
「そうだね」
俺と命は、ステーキを食べる。
「どっちにしろ、俺と命は、二人必要って話だな」
「うん」
「話変わるけど、南条は順調?」
「うん、順調だよ」
「神さんは、帰ってこない日多いのか?」
「うん、多いよ。せっかく、夫婦戻れたと思ったんだけどね。沙羅もまた子供達見れなくなっちゃったし」
「南条は、子供にあげる愛が少ないタイプだな」
「兄さんに使っちゃってるからね。まあ、母さんと父さんがいるから…。同居しててよかったんじゃないかな」
「そうだな!で、おじさんとはどうなの?」
命は、目を伏せながらポツリと話した。
「レズっていってから、ほとんど話してないよ」
「そっか…」
「ただ、あの人なりに思う気持ちはあるんだとは思う。お見合いの話はなくなったし、結婚についても何も言ってこなくなったから」
「まあ、少しずつだな」
「母さんの離婚が効いたのかもね」
「おばさんは?」
「母さんは、理解をしめそうとはしてくれてるよ。こないだ、京と久々に会ったんだ。それで、京と今付き合ってるって事にして話したんだよ!そしたら、最初は複雑そうな顔してたけど…。昔から、知ってるからって少しは歩み寄ってくれた」
「よかったな」
俺は、命にニコニコ笑った。
「朝陽は、夕陽さんとどうするの?」
「さあ、どうもしないよ。夕陽から俺に歩み寄る事もないし、俺から夕陽に歩み寄る事もないから…。ただ、三輪の事はやめさせてあげたいよ。桜賀さんは、やめたくないって言ってるけど…。三輪は、違うから」
「そうだよね。三輪だけは、やめさせてあげたいよね」
「だから、また夕陽が来る事があったら会って話そうかとは思ってる」
「そうだね」
俺と命は、少ししんみりした気持ちになりながら焼き肉を食べ終わった。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
「今日は、三輪と会うからさ」
「私は、沙羅と会うから」
「どれくらい会ってるの?」
「京は、土曜日の夜に泊まって日曜過ごすでしょ!沙羅は、不定期かな?呼ばれたら行ったり、こっちに来たりって感じ!朝陽は?」
「俺も、三輪は木曜日に泊まって金曜日には帰るかな!後は、俺が休みの日に日下部と三人でモーニング食べに行くか朝御飯持ってきてくれるかな!桜賀さんは、不定期だわ。呼ばれたら行くって感じかな」
「そっか、愛してると振り回されるパターンだね」
「まあ、俺も三輪を振り回してきたから同じだよ」
「確かにね」
『でも、いないと無理だから』
俺と命は、一緒に言って笑ってしまった。
「惚れたら負けだね」
「まあ、そうなるな」
「仕方ないよね!どっちも勝てないから」
「そうだよな」
命は、そう言ってまたお金を出してくれた。
「俺は、負けてるな」
「いいじゃん。朝陽は、好きな事して生きてる勝ち組だよ」
「命は、医者が嫌いなのか?」
「時々、嫌になることあるよ」
命と一緒に外に出た。
「また、三輪と日下部と遊びたいって言ってよ」
「今度は、京子ちゃん連れてこいよ」
「うん、わかった」
「ご馳走さま!じゃあな!気を付けて」
「朝陽」
「何?」
「いつも、ありがとうね」
「こっちの台詞だよ」
「大好きだよ、朝陽」
「俺も、命が大好きだよ」
命は、俺に抱きついてきた。
「ギュッてしてやる」
「うん」
「無理すんなよ」
「うん」
「何かあったら…」
「すぐ電話するから、朝陽もだよ」
「わかってる」
「じゃあね」
「うん」
命は、俺から離れて指切りをした。
「気を付けて」
「バイバイ」
俺と命は、反対方向に進んでいく。
命には、京子ちゃんと南条が必要で…。
俺には、三輪と桜賀さんが必要で…。
どちらかがいなくなると息ができなくて、空っぽになったり、苦しくなったり、辛くなったり、空しくなったり…。
愛されてる存在と愛してる存在、両方がなければ人間(ひと)は生きていけない事を知ったんだ。
あの日、桜賀さんに再会しなければ俺は気づかなかった。
愛されない事が、こんなにも辛くて悲しい事を…。
僅かな希望もない日々が、苦しくて仕方ない事を…。
でも、それと同時に何もない事は、それ以上に苦しくて辛いことを知ったんだ。
そして、三輪に愛されてる事が凄く幸せで嬉しい事だってのも知った。
でも、その愛の中に浸かっていると空しさや寂しさが広がっていく事を知った。
人間は、わがままな生き物だって知ったんだ。
この世界には、どれだけの人が俺や命のような気持ちを味わっているのだろうか?
いや、俺達だけじゃない。
日下部や三輪や桜賀さんや京子ちゃんや南条や神さんや夕陽…。
誰かと同じような気持ちを味わっている人が、どれだけいるのだろうか?
「朝陽、おかえり」
「ただいま、煌人」
ニコニコ顔の三輪に抱き締められる。
【愛されないのに、愛してる】
その関係を俺達、全員きっと死ぬまで続けていくんだ。
それが、人間に残る本能なんだろ?
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