94 / 99
愛されないのに愛してる人々
沙羅の真実
しおりを挟む
命ちゃんが、出て行ってしまった。
「神ッッ」
「沙羅、可愛いね」
「ありがとう」
最初は、気持ち良かった。
でも、何だろう?
何かが足りない気がしていた。
ずっと、何かが…。
そんな時だった。
「ママ、お腹に赤ちゃんいる?」
突然、夢羅(ゆら)がそう言って抱きついてきた。
「何、それ?何かのドラマ見たの?」
「違うよ!ママのお腹に赤ちゃんいるもん」
「ほんとに?赤ちゃんいるの?」
美羅(みら)が、キラキラした顔を向けてきた。
「まさか、早く保育園。お婆ちゃん迎えに来たよ」
「はーい」
「バイバイ、ママ」
「いってらっしゃい」
夢羅の言葉を真に受けた訳じゃないけど…。
私は、スーパーの帰りにドラッグストアで妊娠検査薬を買った。
「まさかね」
家について、検査をした。
陽性だった。
嬉しかったけど、何だか不思議だった。
そっか、命ちゃんがいないんだ。
夢羅が、お腹に宿ったのを私は、命ちゃんにすぐに打ち明けた。
「良かったね、沙羅!おめでとう」
本当は、辛かったかもしれないけど…。
命ちゃんは、命が宿った事を心から喜んでくれた。
だからかな…。
何か不思議な感じだ。
私は、晩御飯を作っていた。
「ただいまー」
「おかえり」
「ただいま、沙羅」
子供達と神さんは、帰宅した。
やっと、夫婦らしくなったよね。
命ちゃんのお陰じゃない。
ご飯を食べ終わって、神さんは子供達を寝かしつけてくれた。
「沙羅、一杯付き合って」
「うん」
私は、缶ビールを神さんに注いで渡した。
「半分、飲む?」
「いらない」
「何で?」
「赤ちゃん、出来たの」
「本当か!」
「うん」
「やったじゃないか!嬉しいよ、沙羅」
ホッとして泣いていた。
「何で泣いてるの?」
「喜んでくれないと思ってた」
「喜ぶに決まってるよ!どうなるかは、わからないけど…。母さんと父さんには、伝えておこう。二人の面倒見てくれてるから」
「命ちゃんにも…」
「そうだな」
その日の週末に、みんなに妊娠が発表された。
それから、何日か過ぎたある日だった。
嫌な予感がして、動画を録音にした。
神さんの部屋をそっと開いた。
「そうなんだよ!うまくいったんだ。ああ、わかってるよ!これからは、そっちに通えるから…。うん、わかってる。泊まりも出きるよ!そうそう!いけるから…。沙羅?沙羅は、疑ってないよ。この3ヶ月いい夫になってたんだから…」
その言葉に、固まった。
神さんは、浮気してる。
ガチャ…
「沙羅、どうしたの?」
「お昼ご飯、出来たから」
「そっか、食べようか」
ずっと、気づかないフリをしていたの。
初めから、神さんには誰か思ってる人がいたのを知ってた。
「神さん、離婚は嫌だよ」
「妊娠して、ナーバスになってる?」
「そうかも」
「沙羅を誰かに渡したりなんかしないよ。沙羅は、一生俺の傍にいてくれなきゃ…。愛してるよ、沙羅」
「うん、愛してる。神さん」
神さんは、知ってる?
私に言う神さんの愛してるは、どうもって隣人の楠木さんに挨拶するみたいに軽い言い方なの気づいてる?
「沙羅さん、無理よねー」
「どうしましたか?」
「明日、命におかず届けてくれないかしら。お父さんの病院についていく日なのよ。命、料理できなくて心配なのよ」
「産婦人科に行くので、寄っていきますよ」
「本当に?助かるわ!ありがとう、沙羅さん」
私は、幸せな気持ちだった。
あのお別れした日のメニューを作ってタッパーにいれた。
命ちゃんに会いに来た。
「沙羅、愛してる」
これだよ!
私が、欲しい愛してるわ。
命ちゃんが愛してるって言うだけで、体の中からゾクゾクするの。
だからだ…。
私は、神さんではいけなかったんだ。
神さんに抱かれながら、この愛してるを思い出していた。
「命ちゃんは、愛さない。でもね、誰にも命ちゃんの愛を渡さないから」
眠ってる命ちゃんの髪を撫でる。
「命ちゃん、赤ちゃんが無事に産まれたらいっぱいしようね」
今日は、お義母さんに美羅と夢羅を頼んだの…。
命ちゃんが、足を痛めたって嘘までついて…。
「命ちゃん」
布団に入った私に気づいて、命ちゃんは目を開けた。
「沙羅、大丈夫?」
愛しいもののように、引き寄せて抱き締めた。
「おやすみ」
寝ぼけてる命ちゃんの髪を撫でてあげた。
「おやすみ」
私は、神さんには、愛されない。だけど、ずっと、愛し続ける。
その為に、私には命ちゃんが必要なの。
だから、誰にも命ちゃんの愛を渡したりなんかしない。
「神ッッ」
「沙羅、可愛いね」
「ありがとう」
最初は、気持ち良かった。
でも、何だろう?
何かが足りない気がしていた。
ずっと、何かが…。
そんな時だった。
「ママ、お腹に赤ちゃんいる?」
突然、夢羅(ゆら)がそう言って抱きついてきた。
「何、それ?何かのドラマ見たの?」
「違うよ!ママのお腹に赤ちゃんいるもん」
「ほんとに?赤ちゃんいるの?」
美羅(みら)が、キラキラした顔を向けてきた。
「まさか、早く保育園。お婆ちゃん迎えに来たよ」
「はーい」
「バイバイ、ママ」
「いってらっしゃい」
夢羅の言葉を真に受けた訳じゃないけど…。
私は、スーパーの帰りにドラッグストアで妊娠検査薬を買った。
「まさかね」
家について、検査をした。
陽性だった。
嬉しかったけど、何だか不思議だった。
そっか、命ちゃんがいないんだ。
夢羅が、お腹に宿ったのを私は、命ちゃんにすぐに打ち明けた。
「良かったね、沙羅!おめでとう」
本当は、辛かったかもしれないけど…。
命ちゃんは、命が宿った事を心から喜んでくれた。
だからかな…。
何か不思議な感じだ。
私は、晩御飯を作っていた。
「ただいまー」
「おかえり」
「ただいま、沙羅」
子供達と神さんは、帰宅した。
やっと、夫婦らしくなったよね。
命ちゃんのお陰じゃない。
ご飯を食べ終わって、神さんは子供達を寝かしつけてくれた。
「沙羅、一杯付き合って」
「うん」
私は、缶ビールを神さんに注いで渡した。
「半分、飲む?」
「いらない」
「何で?」
「赤ちゃん、出来たの」
「本当か!」
「うん」
「やったじゃないか!嬉しいよ、沙羅」
ホッとして泣いていた。
「何で泣いてるの?」
「喜んでくれないと思ってた」
「喜ぶに決まってるよ!どうなるかは、わからないけど…。母さんと父さんには、伝えておこう。二人の面倒見てくれてるから」
「命ちゃんにも…」
「そうだな」
その日の週末に、みんなに妊娠が発表された。
それから、何日か過ぎたある日だった。
嫌な予感がして、動画を録音にした。
神さんの部屋をそっと開いた。
「そうなんだよ!うまくいったんだ。ああ、わかってるよ!これからは、そっちに通えるから…。うん、わかってる。泊まりも出きるよ!そうそう!いけるから…。沙羅?沙羅は、疑ってないよ。この3ヶ月いい夫になってたんだから…」
その言葉に、固まった。
神さんは、浮気してる。
ガチャ…
「沙羅、どうしたの?」
「お昼ご飯、出来たから」
「そっか、食べようか」
ずっと、気づかないフリをしていたの。
初めから、神さんには誰か思ってる人がいたのを知ってた。
「神さん、離婚は嫌だよ」
「妊娠して、ナーバスになってる?」
「そうかも」
「沙羅を誰かに渡したりなんかしないよ。沙羅は、一生俺の傍にいてくれなきゃ…。愛してるよ、沙羅」
「うん、愛してる。神さん」
神さんは、知ってる?
私に言う神さんの愛してるは、どうもって隣人の楠木さんに挨拶するみたいに軽い言い方なの気づいてる?
「沙羅さん、無理よねー」
「どうしましたか?」
「明日、命におかず届けてくれないかしら。お父さんの病院についていく日なのよ。命、料理できなくて心配なのよ」
「産婦人科に行くので、寄っていきますよ」
「本当に?助かるわ!ありがとう、沙羅さん」
私は、幸せな気持ちだった。
あのお別れした日のメニューを作ってタッパーにいれた。
命ちゃんに会いに来た。
「沙羅、愛してる」
これだよ!
私が、欲しい愛してるわ。
命ちゃんが愛してるって言うだけで、体の中からゾクゾクするの。
だからだ…。
私は、神さんではいけなかったんだ。
神さんに抱かれながら、この愛してるを思い出していた。
「命ちゃんは、愛さない。でもね、誰にも命ちゃんの愛を渡さないから」
眠ってる命ちゃんの髪を撫でる。
「命ちゃん、赤ちゃんが無事に産まれたらいっぱいしようね」
今日は、お義母さんに美羅と夢羅を頼んだの…。
命ちゃんが、足を痛めたって嘘までついて…。
「命ちゃん」
布団に入った私に気づいて、命ちゃんは目を開けた。
「沙羅、大丈夫?」
愛しいもののように、引き寄せて抱き締めた。
「おやすみ」
寝ぼけてる命ちゃんの髪を撫でてあげた。
「おやすみ」
私は、神さんには、愛されない。だけど、ずっと、愛し続ける。
その為に、私には命ちゃんが必要なの。
だから、誰にも命ちゃんの愛を渡したりなんかしない。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる