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命と朝陽
行かなきゃ…
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俺は、三輪の細い腰に腕を回していた。
掛け時計を気にした俺を三輪は、見つめる。
「呼ばれてるの?」
「ごめん」
「何を話すの?」
「わからない」
「待っててもいい?」
「ああ、構わないよ。ちゃんと帰ってくるから」
俺は、三輪の髪を撫でる。
「もし、帰らなかったら?」
「日下部を呼ぶから」
「わかった」
三輪は、俺から離れた。
器用に縛って、ゴミ箱に捨ててくれた。
「ありがとう」
「ううん、朝陽」
三輪は、俺の顔を自分に向かせる。
「何?」
「愛してる」
ゴツンとおでこを当てられる。
「ありがとう」
「朝陽、愛してる」
「うん」
「朝陽、愛してる」
壊れた玩具みたいに繰り返しながら、三輪は泣いてる。
「朝陽、愛してる」
「うん」
涙を拭ってあげる。
多分、三輪は俺の愛を得られない事をわかってるんだ。
でも、今だけでも自分を見ていて欲しいのがわかる。
僅かな望みにかけて、俺に見ていて欲しいのがわかる。
「朝陽、愛してるから」
「わかってる」
「愛してなんか言わないから、続けてね」
「煌人」
「お願い、朝陽」
「わかったよ」
三輪は、帰ってきてと言おうとした唇をギュッと噛み締めた。
「ちゃんと帰ってくるから」
俺は、三輪の耳たぶを触った。
「朝陽」
「用意するね」
「うん」
三輪は、俺から離れた。
「シャワー入っていいし、好きなもの飲んでよ」
「晩御飯作っとくね」
「帰ってきたら、食べるよ」
時刻は、四時を過ぎてた。
俺は、早めに桜賀さんの家に行きたかった。
風呂場に向かって、シャワーの蛇口をひねった。
やめるかどうかの話し合いなんだってのは、わかってる。
お湯が出たのを確認して、シャワーに入った。
あがって、体を拭いて服を着替える。
バスタオルとシャツとズボンとパンツだな。俺は、三輪の為に用意した。
「煌人」
「何?」
ソファーでビールを飲みながら、ポップコーンの残りを食べていた。
俺は、水道をひねって水を飲んだ。
「シャワーか湯船入れよ!服とパンツ置いてるから」
「ありがとう」
「じゃあ、行くな」
俺は、三輪に近づいておでこをくっつける。
「何?」
「いってきます」
愛してあげられないのに、縛り付けてごめんな。
三輪は、俺の手を握りしめた。
「朝陽、愛してるよ」
そう言って、笑った。
「じゃあ、また連絡するから」
「うん、晩御飯作ってるから」
「後、鍵これな」
「わかった、気をつけて」
「いってきます」
俺は、部屋を出た。
三輪は、俺の部屋に一人にされてどんな気持ちなのだろうか…。
家を出て歩く、ビールを飲んでるから電車で行こう。
駅について、電車に乗った。
桜賀さんの家までやってきた。
渡された鍵を手の中に握りしめてインターホンを押した。
ピンポーン
「はい」
「朝陽です」
「鍵使って」
「わかりました」
そう言われて、鍵を使って開けた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい」
「どうも」
「ソファーに座って、コーヒー、紅茶、それともお酒?」
「コーヒーで」
「わかった」
桜賀さんは、コーヒーをいれてくれた。
「ヒビですんでよかったね」
「ああ、そうだね」
桜賀さんは、俺から離れた場所に座った。
「これ、返すよ」
俺は、机の上に鍵を置いた。
「どうして?」
「必要ないって事だろ?」
「朝陽」
「前と同じだろ?俺は、夕陽の変わりにもなれないって事だろ?」
「そんな事、言ってないよ!朝陽」
「じゃあ、昨日何をいうつもりだったんだよ」
涙を流さないつもりだったのに、流れて止まらなくなる。
「愛されないのは、辛いよ。俺は、朝陽を愛せるかわからない。だから、朝陽の人生を無駄にして欲しくない」
「無駄かどうかは、俺が決める事だよ!桜賀さんが、決める事じゃないよ。それに、夕陽にこんな風にされて桜賀さんは幸せだったのか?」
「それは…」
「だったら、何で俺の名前なんか呼んで殴られてんだよ」
涙目で、俺は桜賀さんを睨み付けていた。
掛け時計を気にした俺を三輪は、見つめる。
「呼ばれてるの?」
「ごめん」
「何を話すの?」
「わからない」
「待っててもいい?」
「ああ、構わないよ。ちゃんと帰ってくるから」
俺は、三輪の髪を撫でる。
「もし、帰らなかったら?」
「日下部を呼ぶから」
「わかった」
三輪は、俺から離れた。
器用に縛って、ゴミ箱に捨ててくれた。
「ありがとう」
「ううん、朝陽」
三輪は、俺の顔を自分に向かせる。
「何?」
「愛してる」
ゴツンとおでこを当てられる。
「ありがとう」
「朝陽、愛してる」
「うん」
「朝陽、愛してる」
壊れた玩具みたいに繰り返しながら、三輪は泣いてる。
「朝陽、愛してる」
「うん」
涙を拭ってあげる。
多分、三輪は俺の愛を得られない事をわかってるんだ。
でも、今だけでも自分を見ていて欲しいのがわかる。
僅かな望みにかけて、俺に見ていて欲しいのがわかる。
「朝陽、愛してるから」
「わかってる」
「愛してなんか言わないから、続けてね」
「煌人」
「お願い、朝陽」
「わかったよ」
三輪は、帰ってきてと言おうとした唇をギュッと噛み締めた。
「ちゃんと帰ってくるから」
俺は、三輪の耳たぶを触った。
「朝陽」
「用意するね」
「うん」
三輪は、俺から離れた。
「シャワー入っていいし、好きなもの飲んでよ」
「晩御飯作っとくね」
「帰ってきたら、食べるよ」
時刻は、四時を過ぎてた。
俺は、早めに桜賀さんの家に行きたかった。
風呂場に向かって、シャワーの蛇口をひねった。
やめるかどうかの話し合いなんだってのは、わかってる。
お湯が出たのを確認して、シャワーに入った。
あがって、体を拭いて服を着替える。
バスタオルとシャツとズボンとパンツだな。俺は、三輪の為に用意した。
「煌人」
「何?」
ソファーでビールを飲みながら、ポップコーンの残りを食べていた。
俺は、水道をひねって水を飲んだ。
「シャワーか湯船入れよ!服とパンツ置いてるから」
「ありがとう」
「じゃあ、行くな」
俺は、三輪に近づいておでこをくっつける。
「何?」
「いってきます」
愛してあげられないのに、縛り付けてごめんな。
三輪は、俺の手を握りしめた。
「朝陽、愛してるよ」
そう言って、笑った。
「じゃあ、また連絡するから」
「うん、晩御飯作ってるから」
「後、鍵これな」
「わかった、気をつけて」
「いってきます」
俺は、部屋を出た。
三輪は、俺の部屋に一人にされてどんな気持ちなのだろうか…。
家を出て歩く、ビールを飲んでるから電車で行こう。
駅について、電車に乗った。
桜賀さんの家までやってきた。
渡された鍵を手の中に握りしめてインターホンを押した。
ピンポーン
「はい」
「朝陽です」
「鍵使って」
「わかりました」
そう言われて、鍵を使って開けた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい」
「どうも」
「ソファーに座って、コーヒー、紅茶、それともお酒?」
「コーヒーで」
「わかった」
桜賀さんは、コーヒーをいれてくれた。
「ヒビですんでよかったね」
「ああ、そうだね」
桜賀さんは、俺から離れた場所に座った。
「これ、返すよ」
俺は、机の上に鍵を置いた。
「どうして?」
「必要ないって事だろ?」
「朝陽」
「前と同じだろ?俺は、夕陽の変わりにもなれないって事だろ?」
「そんな事、言ってないよ!朝陽」
「じゃあ、昨日何をいうつもりだったんだよ」
涙を流さないつもりだったのに、流れて止まらなくなる。
「愛されないのは、辛いよ。俺は、朝陽を愛せるかわからない。だから、朝陽の人生を無駄にして欲しくない」
「無駄かどうかは、俺が決める事だよ!桜賀さんが、決める事じゃないよ。それに、夕陽にこんな風にされて桜賀さんは幸せだったのか?」
「それは…」
「だったら、何で俺の名前なんか呼んで殴られてんだよ」
涙目で、俺は桜賀さんを睨み付けていた。
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