43 / 99
命と朝陽
死なないで
しおりを挟む
俺は、立ち上がった。
帰ろう
「朝陽」
いきなり、体を引き寄せられた。
「死なないで」
「帰るとこだから…。って、何で煌人がいるんだよ」
「電話かけてきたじゃん」
「えっ?」
スマホの履歴を見て、ビックリした。
桜賀さんにかけているはずだった。
「間違い電話だった?」
「ごめん」
「別に…」
「五十嵐パイセン」
「日下部」
俺は、日下部に向き合った。
「ごめん、日下部」
「五十嵐パイセン、僕、怒ってませんよ」
「三輪を利用してる。俺、最低だ」
「いいんじゃないですか?少なくとも、煌人は利用されたがってる。だから、煌人がしたいようにすればいいと思ってる。五十嵐パイセンが、煌人に愛されたら苦しくないんでしょ?だったら、仕方ないですよ」
「日下部、ごめん」
「そのかわり、僕だって煌人を抱きますから」
「瞬、何だよ!それ…」
「当たり前です!僕だって、煌人を抱けなかったら苦しいんだから…。後さ、五十嵐パイセン。かけたなら、居場所言ってくれなきゃ困るから」
日下部は、そう言ってデカイ傘を差し出してきた。
「日下部が、見つけてくれたのか?」
「はい!あれです」
ピンコン、ピンコンと鳴っている音がする。
「あれは、せせらぎ病院の近くでしか鳴ってませんから!じゃあ、お邪魔はしませんから…」
日下部は、頭を下げて消えて行った。
「びしょ濡れだから、朝陽」
「ごめん、煌人」
「熱い告白しちゃったのに、来たのが俺でショックだった?」
俺は、首を横に振った。
「煌人」
「いらないって言われたのか?」
「違うよ」
「愛せないって言われたのか?」
俺は、三輪から目を反らした。
「俺が、愛してやるから」
三輪は、ギュッーと俺を抱き締めてくる。
「煌人」
「しっ~。今、俺は、朝陽の心臓の音聞いてるんだよ」
「何だよ、それ」
「規則正しいね。桜賀さんだと不規則になる?」
「わからない」
「体冷たいから、早く帰ろう」
三輪は、傘を持って腕を引っ張って歩いて行く。
俺は、三輪にかけていたんだ。
気づかなかった、口に出せなくて、電話なら言えるかもって思っていたから…。
ガチャ…
俺の家についた。
「夕陽に会ったんだ」
三輪は、ギョッとした顔をして俺を見た。
夕陽にやられた事を話すと、三輪は泣いていた。
「シャワーはいろっか?」
「うん」
ぼとぼとの服のまま、シャワーの栓をひねる。
三輪は、何故か俺の服を脱がしていく。
「しないよ」
「わかってる」
三輪も脱いでいく。
俺は、シャワーに入る。
「煌人まで、入らなくてもいいんだよ」
「朝陽」
「何?」
「俺は、朝陽を愛してるよ!桜賀さんとは違う。俺には、朝陽が必要だから…」
三輪は、後ろ向きの俺に抱きついてくる。
「暖かいな」
「うん」
「俺、煌人を愛せていたらよかった。って、桜賀さんみたいな台詞言ってるわ。ごめん」
「ううん」
「愛されないって、辛いんだな!ごめんな、俺。何も知らないくせに煌人に酷い事言って」
「ううん」
「煌人がいるから、俺、今、生きてるよ」
「その言葉だけで嬉しい」
「煌人、利用してごめんな」
「謝らないでよ、朝陽」
「煌人、俺を愛して欲しい」
俺は、腰に回る三輪の手を握りしめていた。
「当たり前だよ!俺は、ずっと朝陽を愛してるよ」
シャワーを二人で浴びて、洗面所に出た。
タオルで、拭きあいをした。
三輪を愛していれば、幸せだって俺にだってわかる。
俺に向ける笑顔、俺を思って弾む声、涙を流さないように上を向く仕草、暖かい体温。
だけど、俺の心がプクッと膨らまないんだ。
だから、俺は三輪を愛せないんだ。
「拭けたよ」
「ありがとう、はい、パンツとパジャマ」
「朝陽の匂いだ」
「何だよ、それ」
幸せそうにパジャマの匂いを嗅いでる。
「風邪引くぞ」
「はいはい」
三輪は、そう言って服を来た。
ドライヤーをすると、三輪はツンツンと俺の脇腹を刺す。
「やめろよ、弱いから」
コツンと足元に当たる膨らみ
「愛してるよ、朝陽」
「しないよ」
「わかってるよ」
ギュッって、腰に手を回される。
俺にだけ感じてる肉体(からだ)
どんな言葉よりも信じられて嬉しいんだ。
帰ろう
「朝陽」
いきなり、体を引き寄せられた。
「死なないで」
「帰るとこだから…。って、何で煌人がいるんだよ」
「電話かけてきたじゃん」
「えっ?」
スマホの履歴を見て、ビックリした。
桜賀さんにかけているはずだった。
「間違い電話だった?」
「ごめん」
「別に…」
「五十嵐パイセン」
「日下部」
俺は、日下部に向き合った。
「ごめん、日下部」
「五十嵐パイセン、僕、怒ってませんよ」
「三輪を利用してる。俺、最低だ」
「いいんじゃないですか?少なくとも、煌人は利用されたがってる。だから、煌人がしたいようにすればいいと思ってる。五十嵐パイセンが、煌人に愛されたら苦しくないんでしょ?だったら、仕方ないですよ」
「日下部、ごめん」
「そのかわり、僕だって煌人を抱きますから」
「瞬、何だよ!それ…」
「当たり前です!僕だって、煌人を抱けなかったら苦しいんだから…。後さ、五十嵐パイセン。かけたなら、居場所言ってくれなきゃ困るから」
日下部は、そう言ってデカイ傘を差し出してきた。
「日下部が、見つけてくれたのか?」
「はい!あれです」
ピンコン、ピンコンと鳴っている音がする。
「あれは、せせらぎ病院の近くでしか鳴ってませんから!じゃあ、お邪魔はしませんから…」
日下部は、頭を下げて消えて行った。
「びしょ濡れだから、朝陽」
「ごめん、煌人」
「熱い告白しちゃったのに、来たのが俺でショックだった?」
俺は、首を横に振った。
「煌人」
「いらないって言われたのか?」
「違うよ」
「愛せないって言われたのか?」
俺は、三輪から目を反らした。
「俺が、愛してやるから」
三輪は、ギュッーと俺を抱き締めてくる。
「煌人」
「しっ~。今、俺は、朝陽の心臓の音聞いてるんだよ」
「何だよ、それ」
「規則正しいね。桜賀さんだと不規則になる?」
「わからない」
「体冷たいから、早く帰ろう」
三輪は、傘を持って腕を引っ張って歩いて行く。
俺は、三輪にかけていたんだ。
気づかなかった、口に出せなくて、電話なら言えるかもって思っていたから…。
ガチャ…
俺の家についた。
「夕陽に会ったんだ」
三輪は、ギョッとした顔をして俺を見た。
夕陽にやられた事を話すと、三輪は泣いていた。
「シャワーはいろっか?」
「うん」
ぼとぼとの服のまま、シャワーの栓をひねる。
三輪は、何故か俺の服を脱がしていく。
「しないよ」
「わかってる」
三輪も脱いでいく。
俺は、シャワーに入る。
「煌人まで、入らなくてもいいんだよ」
「朝陽」
「何?」
「俺は、朝陽を愛してるよ!桜賀さんとは違う。俺には、朝陽が必要だから…」
三輪は、後ろ向きの俺に抱きついてくる。
「暖かいな」
「うん」
「俺、煌人を愛せていたらよかった。って、桜賀さんみたいな台詞言ってるわ。ごめん」
「ううん」
「愛されないって、辛いんだな!ごめんな、俺。何も知らないくせに煌人に酷い事言って」
「ううん」
「煌人がいるから、俺、今、生きてるよ」
「その言葉だけで嬉しい」
「煌人、利用してごめんな」
「謝らないでよ、朝陽」
「煌人、俺を愛して欲しい」
俺は、腰に回る三輪の手を握りしめていた。
「当たり前だよ!俺は、ずっと朝陽を愛してるよ」
シャワーを二人で浴びて、洗面所に出た。
タオルで、拭きあいをした。
三輪を愛していれば、幸せだって俺にだってわかる。
俺に向ける笑顔、俺を思って弾む声、涙を流さないように上を向く仕草、暖かい体温。
だけど、俺の心がプクッと膨らまないんだ。
だから、俺は三輪を愛せないんだ。
「拭けたよ」
「ありがとう、はい、パンツとパジャマ」
「朝陽の匂いだ」
「何だよ、それ」
幸せそうにパジャマの匂いを嗅いでる。
「風邪引くぞ」
「はいはい」
三輪は、そう言って服を来た。
ドライヤーをすると、三輪はツンツンと俺の脇腹を刺す。
「やめろよ、弱いから」
コツンと足元に当たる膨らみ
「愛してるよ、朝陽」
「しないよ」
「わかってるよ」
ギュッって、腰に手を回される。
俺にだけ感じてる肉体(からだ)
どんな言葉よりも信じられて嬉しいんだ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる