上 下
33 / 99
命と朝陽

動画

しおりを挟む
紗羅は、再び眠ってしまった。

頭を優しく撫でて、バスローブを着て立ち上がった。

ガチャ

「兄さん」

「来てたのか?」

「帰ってきたの?」

「違う!服を取りにきただけだ」

「紗羅を愛してあげてよ」

「それは、命で充分だろ?」

「ふざけるなよ!私は、もう」

グッとバスローブを掴まれた。

「へー。やったのか?」

「ふざけるな」

「ちょっとこい」

そう言って、部屋に連れて行かれた。

「紗羅、起きろよ」

「神さん」

紗羅は、兄さんに抱きついた。

「やめたいんだろ?命!ちゃんと見とけよ」

そう言って、兄さんは紗羅の胸を触(さわ)り始める。

紗羅は、恍惚な表情を浮かべながら兄さんのに触(ふ)れる。

「欲しかったんだろ?紗羅」

「うん、凄く」

その交わりを泣きながら見ているしか出来なかった。

「神ッッ、ハァー、ハァー」

下らなさすぎて笑える。なのに、流れる涙…。

「ヤッ…ぁぁー」

私がするよりも、気持ちよさそうにしていた。

事が済むと、兄さんは立ち上がった。

紗羅は、眠ってしまった。

「やめるって言うなら、命はこれから一生これを見るんだ」

兄さんは、私の肩を叩いた。

部屋を出ていく兄さんについていく。

「私を縛り付けようと思ってるんだね」

「あの、動画を拡散されていいのか?」

「ふざけるな」

「いいなら、いいんだよ。ただし、拡散されれば命の人生は終わるだろうね」

「一人でやってる動画ごときで、終わらない」

「だったら、試してみようか?せせらぎ病院の娘ってタイトルをつけて」

その言葉に、体が固まった。

「やめて欲しいなら、言うことを聞くんだよ。それとさ、別に紗羅だけに縛られなくたっていいんだ。命だって、ガス抜きしながらしてくれたらいいんだから…」

「兄さんは、一生浮気する気なのか?」

「悪いが、そのつもりだよ。おばさんを抱くと蕁麻疹がでるんだ」

そう言って、両手に出来たブツブツを見せる。

「おばさんって、兄さんもおじさんだろ?」

「だから、何だよ。30過ぎたババアを抱けない。紗羅との跡取りは、しっかり残すよ。両親は、紗羅以外を気に入りはしないからね」

「どういう意味?」

「紗羅は、都合のいい人形なんだよ。両親は、紗羅を気に入ってるよ。あんなに口答えもせずに、ついてくる嫁はそういない。まさに、嫁の鏡だよ。だから、俺は紗羅以外とは子供を作る気はない。でもさ、命。俺、セックス依存症なんだよ。紗羅とのじゃ足りないんだよ。紗羅とのセックスじゃ足りないんだ。体力が無さすぎるんだよ、紗羅は…。わかるだろ?」

「わからないよ」

「命が、相手してくれるなら…。浮気をやめてもいいよ」

「どういう意味だよ」

「妹ながらに美しい容姿だし、おばさん体型じゃなくてその少年みたいでいいじゃないか…。命が、相手するか?俺は、命でも出来るかもしれないよ」

「触るな」

「フッ、兄妹(きょうだい)でそんなのって言うつもりか?」

「言わないよ」

「ただ、お前はレズだもんな?だから、出来ないんだよな!じゃあ、紗羅の相手をしてやってくれよ。俺を困らせるな!わかったな」

「わかったよ」

「いい子だよ!命」

兄さんは、私の頭を優しく撫でてきた。

「また、帰れるようになったら連絡する」

ボストンバッグに服を詰めて、出て行った。

家畜か奴隷かペットか玩具か…。

私は、兄にとってなんなのだ。

時刻は、夕方の四時を回っていた。

中階段から下に降りて、部屋で服を着替えた。

「母さん」

「どうしたの?」

「紗羅さん、よろしく。友達と晩御飯食べてくるから」

「わかったわ」

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

リビングにいる母に声をかけて、二階に上がった。

上がると紗羅は、キッチンで水を飲んでいた。

「命ちゃん、何処かに行くの?」

「朝陽が話があるらしくて、晩御飯食べようって」

スマホのメッセージを見せる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる

春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。 幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……? 幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。 2024.03.06 イラスト:雪緒さま

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~

蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。 なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?! アイドル顔負けのルックス 庶務課 蜂谷あすか(24) × 社内人気NO.1のイケメンエリート 企画部エース 天野翔(31) 「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」 女子社員から妬まれるのは面倒。 イケメンには関わりたくないのに。 「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」 イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって 人を思いやれる優しい人。 そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。 「私、…役に立ちました?」 それなら…もっと……。 「褒めて下さい」 もっともっと、彼に認められたい。 「もっと、褒めて下さ…っん!」 首の後ろを掬いあげられるように掴まれて 重ねた唇は煙草の匂いがした。 「なぁ。褒めて欲しい?」 それは甘いキスの誘惑…。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

処理中です...