上 下
4 / 18

泊まってく?

しおりを挟む
紙袋の中を広げるとハンバーガーは、ぐちゃぐちゃになっていた。

「もったいないから、チンして食べよか?」

「うん」

僕は、お皿にハンバーガーをうつしてチンした。

「出来たよ」

「なんか、フワフワ通り越してカピカピやない?」

「ハハハ、確かに。やり方悪かったかもやで」

ハンバーガーは、ところどころ固そうやった。

「ナイフとフォークある?」

「うん、持ってくるわ」

ナイフとフォークを八(はち)に渡した。

「八(はち)、明日仕事?」

カチャカチャ音をたてながら、八(はち)は、ハンバーガーを小さく切っている。

「明日は、休みやけど。九(きゅう)は?」

「僕も休み。コンビニで働いてんねんけど、店長が兄ちゃんの49日言うたら、なんか4日も休みくれてん。」

「いい店長やな?」

「そやけど、収入がな。ほんなら、今日泊まってく?」

その言葉に、八(はち)の顔が真っ赤になった。

「なに?熱でたん?いきなり?」

「ちゃう」

「顔冷やす?」

「だから、ちゃう」

「なんやねん」

「好きな人に、そんなんゆわれたん初めてやから…。俺、変な顔してへん?」

「可愛いよ、めっちゃ」

今にも泣き出しそうに目を細めながら、八(はち)は笑ってる。

「おてもやんみたい」

「なんや、それ?変な顔なん」

「ほっぺたが赤いって事」

僕は、八(はち)の頬を優しく撫でる。

「九(きゅう)、心臓壊れそうや」

「えっ?聞かせてみ」

「うん、聞いて」

僕は、八(はち)の胸に耳をあてる。

ドックンを通り越して、バックンバックンって感じだ。

「これ、三(さん)の電話の音が鳴った時の僕に似てる。」

音だけやなくて、心臓が骨を押してるような振動まで伝わる。

「三(さん)って誰?また、新しい人やん」

「三(さん)は、僕の幼なじみ。八(はち)は、ヤキモチ妬きなんやね」

バンッ…

「八(はち)、痛かったんちゃうん?」

僕を床に押し倒した八(はち)の腕が、テーブルに当たった。

「やっぱり、俺だけ、九(きゅう)を好きなんは苦しい」

八(はち)の涙が、僕の顔にポタリポタリと落ちてくる。

「八(はち)、ごめん。まだ、わからんくて」

「ええよ。ただ、俺。ヤキモチ妬きみたいやねん。知らんかった。九(きゅう)、俺の事捨てへん?」

「八(はち)は、犬みたいやなー。ハチ公って呼ぶで」

僕は、八(はち)の頬に手をあてる。

「ええよ。俺は、九(きゅう)だけの犬になる」

バフって音がしそうなぐらいに、八(はち)は、寝ている僕に抱きついてきた。

「八(はち)、そんなに僕を好きになったん?いっきに?」

僕の胸に顔を埋めた八(はち)の髪を撫でる。

「なった。今も、心臓がキュキュって締め付けられてる。ずっと、昔から好きやったみたい。」

「兄ちゃんが、好きやったんやろ?」

「そうやけど。九(きゅう)が好きや。意地悪せんといて」

顔を起こした八(はち)は、何とも言えないぐらい可愛い顔をしていた。

「変な顔してへん?きもない?」

「めちゃくちゃ可愛いよ」

僕は、八(はち)の両頬を軽くつねった。

「痛い」

「やめる?」

「いや、やめんで。」

八(はち)は、僕が考えてるよりもかなりヤキモチ妬きだった。

竹君や、三(さん)に会ったら、八(はち)は、どうなってしまうんだろうか?

「八(はち)、キスする?」

「する」

八(はち)が、キスをしてくれる。

「ハンバーガー食べて、酒のもか?」

「うん、飲む」  

八(はち)は、僕の体からおりた。

僕の体を起き上がらせてくれた。

「ありがとう」

「ううん」

後ろから抱きついて、右肩に顎を乗せてくる。

「お酒取りに行くから。離して」

「いやや」

可愛すぎる。

とても、兄ちゃんと同じ歳だとは思えない。

僕は、右手で頭を撫でる。

「よしよしって言って」

「よしよし」

「俺ね、愛された事ないねん。だから、人との距離感おかしいねん。」

愛された事ないという八(はち)の言葉が僕には理解が出来なかった。

「でも、そのお陰で僕は、八(はち)に選ばれたんやから嬉しいよ」

「九(きゅう)が、教えて。俺に愛を…。」

小さな子供みたいな八(はち)の頭をよしよしと撫でる。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。

無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。 そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。 でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。 ___________________ 異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分) わりかし感想お待ちしてます。誰が好きとか 現在体調不良により休止中 2021/9月20日 最新話更新 2022/12月27日

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

ヤクザと捨て子

幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子 ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。 ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

処理中です...