上 下
515 / 646
エピローグ【凛と拓夢の話】

そもそもだよ…【拓夢】

しおりを挟む
しゅんは、ビールを飲み終わった。俺は、立ち上がって冷蔵庫から新しいビールを取って渡す。

「ありがとう」

「ああ」

しゅんは、ビールを開けるとすぐに話し出した。

「そもそも姉貴はさ。元男の癖に性に対して潔癖なんだよ」

そう言って、しゅんはゴクゴクとビールを飲んだ。

「まあ、それは仕方ないよ」

俺は、しゅんを宥めるように言った。

「仕方なくたって、この写真見たら、変態何て言い出して。困るよ」

しゅんは、そう言いながら頭を掻いてる。

「だってだよ!例え、そこに裸の女の人がいたって、俺が絵を描く人間なら…。それは、ただのものでしかないわけだよ。だから、この人の性描写だって書かれていたって18禁作品じゃないんだよ。わかる?」

しゅんの言いたい事が何となくわかるから、俺は頷いていた。

「だいたい、芸術からエロをとったら、それって何かつまんないよ」

「言い過ぎな」

俺は、しゅんからビールを取り上げようとした。

「そこまで、酔ってないから…」

しゅんは、そう言ってビールを離そうとしない。

「エロなしでもあるだろ!何だって」

「じゃあ、キスシーンもなしだぞ」

「それでもいけるだろ?」

「ハグもなし」

しゅんの言葉に「何でだよ」と突っ込んでいた。

「当たり前だろ?ハグした、そいつのそこはどうなってるんだよ!エロに繋がるから、駄目に決まってんだろ」

「極端じゃないかよ!殺すか死ぬかみたいな二択はやめろよ」

俺の言葉にしゅんは、フッて笑った。

「拓夢、めちゃくちゃ面白いな」

その顔にしゅんが酔ってるのがわかった。

「キスはなしでいいから、ハグはあり」

「なーし」

しゅんは、そう言って手でバツを作る。

「つうか、好きな人には触(ふ)れたいよな。いや、そもそも。恋愛小説で、その描写を描かないなんてあるか?」

「今は、小学生が読むような漫画でもキスぐらいしてるらしいぞ」

俺は、しゅんの言葉に驚いた顔をしたけれどよく考えたら今に始まった事じゃない気がした。

「いや、それは昔からじゃないか?」

「チュッぐらいなら、ありか?ってか、俺の従姉妹の子供が見てるやつなんかブラジャー見えてたけど」

「それは、嘘だわ」

俺は、そう言ってしゅんを見つめる。

「嘘じゃないって!だけど、ありなんだろ?胸揉んでないなら」

「そんなわけないだろ」

俺は、そう言ってしゅんを見つめる。

「拓夢、やっぱりエロは必要なんだって」

そう言いながら、しゅんは笑っていた。

「SNOWROSEのPVが不快に思われたらどうしよう…」

しゅんは、もう寝てしまっていた。

「何だよ!散々喋って」

俺は、しゅんの手からビールを取った。

「本当は、わかってんだろ?しゅんの姉ちゃんが何でエロを否定するかって」

俺は、しゅんの肩をポンポンと叩いてから寝室に行った。クローゼットから、膝掛けを取り出してしゅんの元に戻った。

「おやすみ」

俺は、眠ったしゅんに膝掛けをかけてあげた。しゅんのお陰で、俺は何かいつの間にか元気が出ていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

先生、生徒に手を出した上にそんな淫らな姿を晒すなんて失格ですよ

ヘロディア
恋愛
早朝の教室に、艶やかな喘ぎ声がかすかに響く。 それは男子学生である主人公、光と若手美人女性教師のあってはならない関係が起こすものだった。 しかしある日、主人公の数少ない友達である一野はその真実に気づくことになる…

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

50歳前の離婚

家紋武範
恋愛
 子なしの夫婦。夫は妻から離婚を切り出された。  子供が出来なかったのは妻に原因があった。彼女はそれを悔いていた。夫の遺伝子を残したいと常に思っていたのだ。  だから別れる。自分以外と結婚して欲しいと願って。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...