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エピローグ【凛と拓夢の話】
幸せな時間【凛】
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「あー、きゅうりは塩しなきゃだよ」
「あっ、忘れてた」
龍ちゃんとの日常が戻ってきた。
「まな板で擦るんだろ?知ってるよ」
「よくやったよね!新婚の時!一緒に料理」
「そうだったな!俺は、不器用だったけどな!今もか…」
「だねー」
他愛ないおしゃべりを繰り返す。
皆月龍次郎の優しさがなかったら、こんな状況にはならなかった。
あの日、龍ちゃんが私を許さないと言ったら私はきっとこの場所にはいない。
「きゅうりって先端をこうやって擦るといいらしいよ」
「テレビで見たの?」
「そうそう!テレビで見た」
そう言いながら、龍ちゃんは笑っている。龍ちゃんに出会った人は、みんな言うの。
優しい人だねって…。
声も雰囲気も仕草も何もかも…。龍ちゃんから伝わるものをみんなは優しい人だねって言った。
「優しい人って言われるのは、嫌い?」
「何、突然?凛、熱ある?」
龍ちゃんは、まだきゅうりを擦っている。
「優しいって言われるの嫌かなって」
「嫌じゃないけど?だって、人には、優しくありたいだろ?出来なくたってやりたいだろ?」
龍ちゃんは、そう言ってきゅうりを洗ってる。
「そういうの嫌いな人もいるんだよ」
何で、私、怒ってるのかな?
「そうなんだな!俺は、嫌われるタイプだよな」
「ごめんね。言いすぎちゃった」
私の言葉に龍ちゃんは、笑いながらきゅうりを斜めに切ってる。
「別に怒ってないよ!むしろ俺は、優しくしたい気持ちは変わらないから…。優しくされたくないって人いるのかな?そういう人は、少数派だと思うんだよ」
そう言って、龍ちゃんは、サラダボールにちぎったレタスを入れてから、その上にきゅうりをのせてる。
「何だかんだ言っても、みんな優しくされたいもんね」
「特に、凛がだろ?」
そう言って、龍ちゃんに、きゅうりを食べさせられた。
カリッ……。
「凛が優しい人が好きなんだろ?」
龍ちゃんは、そう言いながら笑ってる。
「カリッ、カリッ。そんな事ない」
「そうかな?」
龍ちゃんは、そう言ってサラダボールをダイニングテーブルに置きに行った。
今のは、嘘かも…。
龍ちゃんに優しくされないと私…。
「パン切るぐらいなら出来るよ」
龍ちゃんは、戻ってきて声をかけてきた。
「じゃあ、切ってもらおうかな!」
私は、フランスパンを指差した。
「かしこまりました」
龍ちゃんは、そう言ってフランスパンを切ってくれる。
「私は、やっぱり誰かに優しくされたいのかも知れない」
私は、シチュー鍋の火を止めて龍ちゃんに言った。
「いいんじゃない!優しくされたくない人なんていないよ」
龍ちゃんは、フランスパンを切ってくれてる。
「でも、不倫も許しちゃうような人は、龍ちゃんしかいないんじゃないの?」
私の言葉に龍ちゃんは、「かもなー」って言って笑った。
私は、龍ちゃんの顔を見ながらスープ皿を取ってシチューを注いだ。
「あっ、忘れてた」
龍ちゃんとの日常が戻ってきた。
「まな板で擦るんだろ?知ってるよ」
「よくやったよね!新婚の時!一緒に料理」
「そうだったな!俺は、不器用だったけどな!今もか…」
「だねー」
他愛ないおしゃべりを繰り返す。
皆月龍次郎の優しさがなかったら、こんな状況にはならなかった。
あの日、龍ちゃんが私を許さないと言ったら私はきっとこの場所にはいない。
「きゅうりって先端をこうやって擦るといいらしいよ」
「テレビで見たの?」
「そうそう!テレビで見た」
そう言いながら、龍ちゃんは笑っている。龍ちゃんに出会った人は、みんな言うの。
優しい人だねって…。
声も雰囲気も仕草も何もかも…。龍ちゃんから伝わるものをみんなは優しい人だねって言った。
「優しい人って言われるのは、嫌い?」
「何、突然?凛、熱ある?」
龍ちゃんは、まだきゅうりを擦っている。
「優しいって言われるの嫌かなって」
「嫌じゃないけど?だって、人には、優しくありたいだろ?出来なくたってやりたいだろ?」
龍ちゃんは、そう言ってきゅうりを洗ってる。
「そういうの嫌いな人もいるんだよ」
何で、私、怒ってるのかな?
「そうなんだな!俺は、嫌われるタイプだよな」
「ごめんね。言いすぎちゃった」
私の言葉に龍ちゃんは、笑いながらきゅうりを斜めに切ってる。
「別に怒ってないよ!むしろ俺は、優しくしたい気持ちは変わらないから…。優しくされたくないって人いるのかな?そういう人は、少数派だと思うんだよ」
そう言って、龍ちゃんは、サラダボールにちぎったレタスを入れてから、その上にきゅうりをのせてる。
「何だかんだ言っても、みんな優しくされたいもんね」
「特に、凛がだろ?」
そう言って、龍ちゃんに、きゅうりを食べさせられた。
カリッ……。
「凛が優しい人が好きなんだろ?」
龍ちゃんは、そう言いながら笑ってる。
「カリッ、カリッ。そんな事ない」
「そうかな?」
龍ちゃんは、そう言ってサラダボールをダイニングテーブルに置きに行った。
今のは、嘘かも…。
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「パン切るぐらいなら出来るよ」
龍ちゃんは、戻ってきて声をかけてきた。
「じゃあ、切ってもらおうかな!」
私は、フランスパンを指差した。
「かしこまりました」
龍ちゃんは、そう言ってフランスパンを切ってくれる。
「私は、やっぱり誰かに優しくされたいのかも知れない」
私は、シチュー鍋の火を止めて龍ちゃんに言った。
「いいんじゃない!優しくされたくない人なんていないよ」
龍ちゃんは、フランスパンを切ってくれてる。
「でも、不倫も許しちゃうような人は、龍ちゃんしかいないんじゃないの?」
私の言葉に龍ちゃんは、「かもなー」って言って笑った。
私は、龍ちゃんの顔を見ながらスープ皿を取ってシチューを注いだ。
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