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拓夢の話12

寝ていた…

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ピンポーン、ピンポーン

「何だろう」

どうやら、寝ていたらしかった。俺は、ベッドからゆっくり起き上がってインターホンをとった。

「はい」

寝ぼけた声を出した。

「よかったー、生きてた」

その声は、まっつんだった。俺は、玄関の鍵を開けに行く。

ガチャ…

「さっき、別れたばっかじゃん」

俺の言葉に、まっつんは驚いた顔をしている。

「どうしたの?」

「本当、疲れてたら拓夢はめちゃくちゃ寝るよなー!もう、九時だよ!朝の」

「はあ?」

俺は、バタバタとキッチンに戻ってスマホを見つめる。

「まじかー」

「疲れてたんだなー。相当」

まっつんの言う通り、次の日の朝の九時だった。そして、スマホの充電は13%だった。俺は、スマホを充電する。

「色々考える事あったからかもな」

「確かに、考え事あったら拓夢はめっちゃ寝るよな」

「そうだわ!昔から」

「ハハハ!気を付けなきゃな」

「だなー」

俺は、そう言いながら笑っていた。

「凛さんは、大丈夫だったよ!」

「本当か?」

「ああ、理沙に会ってきてもらったから!今の所は、大丈夫だった」

「ありがとう、まっつん」

俺は、まっつんを抱き締めていた。

「暑苦しいって!男同士はさ!」

「ごめん」

「何か、拓夢が俺とこんな風に普通にしてくれてんの嬉しいわ!」

「普通だろ?いつも」

「そうかな?美紗ちゃんと別れて暫くしてからよそよそしく感じてたけど!」

「そんな事ないから」

「なら、いいけど!取り敢えず、着替えて来いよ!11時に、平田君と待ち合わせしてるから」

「わかった」

俺は、服を着替える。昨日は、疲れていたようだった。こんなに寝るとか…。

「行けるか?」

「うん」

まだ、暑さが残ってる。

「雨降ったら寒いくせに!上がるとまだまだ夏だよなー」

「確かに」

俺は、まっつんと家を出る。昼間は、まだまだ暑い。

「後、昼間!まだ、暑すぎだよなー。秋何てなくなったのかなー」

「かもな」

まっつんは、鞄から扇子を取り出してパタパタと扇いでいた。

「何かそれかっこいいな」

「だろ?理沙が、くれたんだよ」

黒字に金色の線のような絵が描かれた扇子は、めちゃくちゃかっこよかった。

「俺も、扇子買おうかなー」

「買った方がいいよ!役に立つから」

「だよなー」

まっつんは、俺を扇いでくれる。

「凛さん、誘ったら?明日のライブ」

「無理だよ!旦那さんいるから、来れないよ」

「いいじゃん、一回誘ってみろって」

「いいのかな?」

「理沙と居たら、大丈夫だろ?」

「理沙ちゃんに言ったの?」

「当たり前だろ!彼女だし。あっ、ちゃんと相沢さんには聞いたぞ!事務所に直接かけた」

そう言って、まっつんは笑っていた。

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