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拓夢の話9

連絡…

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俺は、管理人さんの言葉に背中を押されて走っていく。ベッドにあるスマホを手に取る。

着信が一件となっている。見ると【凛】からだった。俺は、電話を鳴らす。

プルルル、プルルル、プルルル……。コール音だけしかしない。留守番電話になるわけでもなかった。俺は、切って数回それを繰り返した。けど、凛は出なかった。

「何で?何でだよー」

繋がり合っていたと思っていたのに、もうその運命(いと)はちぎれそうな程、細い事に気づく。

「凛、凛…」

俺は、服を着替える。最寄りの駅は、スーパーの所だ。俺は、家を出て鍵を閉めると急ぎ足で歩いた。あのスーパーで待ってたら来るのか?嫌、わかんないけど…。取り敢えず、行くしかない。駅について、電車に乗る。凛の家の駅についた。俺は、ホームに降りる。凛が死んだら…。俺は、後悔しかしない。階段を上がって、改札を抜ける。平田さんが働いてるスーパーについた。店内を見渡してみるが、どうやら、平田さんは休みらしい。

俺は、スーパーを出た。ここしか思いつかなかった。凛の家を俺は知らない。嫌、皆月って名字は珍しい。探せば、見つかったりするか?俺は、スーパーを離れようとした。

「あんた!」

そう言われて、振り向くと平田さんの母親が立っていた。

「何ですか?」

俺は、不機嫌に答える。

「あんた、あの人の旦那じゃなかったんだね」

何で、それを知ってるんだ?

「わざわざ、ある人が教えてくれたよ」

「だから、何ですか?」

「凛を問い詰めようと思ったらあんたが来ると思わなかったわ」

そう言って、嬉しそうに笑っている。

「俺、用事あるんで」

「あんたの不倫相手がどこにいるか知りたくないのかい?」

「えっ?」

「ある人がつけてて!教えてくれたんだ」

そう言って、平田さんのお母さんはニコニコ笑ってる。

「教えて下さい」

俺は、そう言って頭を下げる。

「ふっ!こっちに来て」

平田さんの母親は、俺を鼻で笑ってから連れて行く。

「乗って」

そう言われて、車に乗れと言われた。俺は、助手席に乗り込んだ。

「平田さんを迎えに?」

「なわけないでしょ?凛が、不倫しようとしてるから止めにきただけよ!」

そう言って、車を走らせる。景色が、どんどん変わっていく。

「不倫しようとしてる?そんな、まさか」

「凛はね、あの女が好きなのよ!凛の部屋のノートに書いてるの見たのよ!あの女とキスしたいとか、エッチしたいとか、書いてるのを…」

「だからって、不倫するか何かわかんないじゃないですか!」

「わからないわよ!わからないけど、ここに来たならおかしいと思うのが母親よ」

そう言って、車は停まった。

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