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愛の話

旅行④

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パジャマのボタンを閉めながら、純を見送っていた。

いなくなって、左手で、タオルを整えて下を着た。

ゴロンと横になった。

布団を下げると、十夢は寝ていた。

寝顔を初めて見た、ドキドキと心臓が締め付けられる。

十夢に、近づいた。

右手で涙を拭ってあげた。

距離があるのに、十夢の息がかかるのを感じた。

顔の近くにおかれてる、右手に右手を重ねる。

「おやすみ、十夢」

この一ヶ月で、十夢の体温を覚えた体は、スッーと眠りについてしまった。

純を待てなかった。

目が覚めたら、私は何故か純に抱き締められていた。

どうして?

十夢にくっついていた筈なのに…。

「おはよう」

純と目が合って、昨日の事を聞く勇気がなかった。

一緒に、朝風呂に入りいつも通りにした。

何事もないフリをする。

でも、心の決心は決まっていた。

私は、十夢がいない間に、十夢のくれたワンピースを着ていた。

純に引き寄せられそうになって、かわしていた。まだ、十夢が見ていないのに触れられたくなかった。

戻った十夢が、どう思ったのかはわからなかった。

でも、私の決意を感じてくれたとは思った。

いつものように、純にキスをされた。

いつもと違うのは、この部屋を一緒に出る事と、一晩を過ごした事だった。

でも、何となくだけど…。

少し遅い気がしていた。

十夢は、手を握りしめてくれる。

この手が、いつもより暖かいのを私は知ってしまった。

長すぎた春って、昔一緒に働いた人が言ってたけど…。

そんな感じがした。

今さら、こんな似合わない指輪をつけさせられてどうなるのだ。

下手くそな演技をさせられる。

私は、いつまで隠し子的存在なのだろうか?

奥さんは、堂々と純の隣を歩き笑える。

私は、ずっと奥さんに負けていたんだ。

旅行に来て、それを嫌という程わかった。

奥さんは、勝ってる!

例え、純が私を愛していたとしても、現実に勝ってるのはkeikoさんなのだ。

keikoさんは、純と歩いていても仲睦まじい夫婦と週刊誌に載るだろう…。

一方で、私は、不倫愛や裏切りの愛などと面白おかしく叩かれる対象なのだ。


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