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さよならと気がかりな事

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俺と流星は、17時半過ぎまで二人の時間を楽しんだ。

俺は、カッターシャツを着る。

「月(るい)、まだ嫌だよ。」

「流星、ごめん」

流星は、カッターシャツのボタンをとめた、そばからはずしていく。

「流星、駄目だから」

流星は、ずっとそれを繰り返す。

ちゃんとお別れできるのか、不安で仕方ない。

「月、今日が終わったら一緒にもう二度といれない。」

「わかってるけど、それやめて」

流星は、まだ繰り返す。

俺は、まだ思考を奪われてはいない。

だけど、ずっと胸をキリで刺されてるように痛くて息が苦しい。

それを必死で、押さえている。

「まだ、食べたいって思ってくれてる?」

そう言いながら、流星は履いたズボンを脱がす。

「だから、流星」

カッターシャツを諦めて、ズボンにかえたのに同じやり取りをされる。

流星が、俺の唇にキスをしてきた。

なぜか、肩を差し出してくる。

「なに?」

「食べていいよ。」

「いや、いいから」

「食べてよ」

「意味がわからないから」

俺は、流星にカッターシャツを着せようとしたら流星が俺の肩に噛みついてきた。

「いってーな。」

俺は、流星をソファーに押し倒した。

両肩に、力を込めてる。

「いいよ、食べて」

流星は、俺を挑発してくる。

喰らえ、喰らってやれよ、月。

望んでるから、やってやれよ。

頭の中に、化け物の声が響く。

俺は、頭を叩きながら流星から離れた。

「月、何でやめるの?」

流星は、寂しそうに目を伏せる。

「んんっ、月」

俺は、流星にキスをした。

「どうしたの?」

「わかんないけど、とまんないわ」

化け物の別の部分を刺激したのか、キスをするのをやめられなかった。

「ハァ、ハァ、ハァ」

窒息しそうなキスを繰り返したせいで、お互いに息があがった。

「もういいよ、月」

流星は、俺をギュッーって抱き締めてくれた。

「満足したの?」

「うん。」

流星は、笑ってくれた。

「俺、ちょっと気になる事があるから帰る。流星も、クリスマスだろ?」

「うん、里美が待ってるから」

「じゃあ、行こうか」

やっと服を着させてくれた。

俺と流星は、部屋を出た。

イルミネーションが、点灯されている。

「月、写真撮ろうよ」

化け物に思考を奪われる前に、移動したいのに流星は俺の腕を掴む。

ズキズキと胸が痛みだした。

「早くしてくれ」

俺は、流星と写真を撮った。

「後で、送るよ」

そう言って、すごく喜んでる。

「月、待って」

早く歩く俺の腕を掴む。

天の川カフェを抜けた。

「じゃあな、流星。ありがとう」

「待って、まだ行かないで」

「無理だよ」

俺は、流星を見ないようにする。

「じゃあ、最後だから」

ウルウルした目で、キスをされた。

ヤバい、思考が乗っ取られる。

「流星、気をつけて」

俺は、そう言って走り出した。

「ハァハァハァ」

ヤバかった、後5秒離れるのが遅かったら舌を喰ってしまいそうだった。

自分自身に対しての恐ろしさで、震えが止まらなかった。

俺は、タクシーを拾った。

やっぱりか…。

ちゃんとお別れを出来ずにいる星を見つけた。

電話を鳴らすけど出なかった。

化け物に乗っ取られてるのがわかった。

氷雨君を帰して、星と二人になった。

ガタガタと震える星を、立たせて胸に引き寄せた。

もしかしたら、初めて無理かもしれない。

俺、ギリギリだから…。

でも、頑張るから…。

いつだって二人で乗り越えてきただろ?

俺は、栞にクリスマスツリーを見に行けないとメールをした。

タクシーをひろって家に帰った。

星は、一点だけを見つめながらずっと震えてる。

「星、寝るか?」

俺が、話しかけても聞こえないようだった。

とりあえず、星を見える場所に置いておきたかった俺は、リビングのソファーに座らせた。

冷蔵庫から、ビールを取り出して飲む。

さっき、流星の舌を喰いちぎろうとした自分(おれ)を思い出して震えが止まらなかった。


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