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高等部編
ヒロインちゃんの本領発揮_2
しおりを挟むすっかり暖かくなったある日の放課後に、デルべ伯爵令嬢ジュリエットが苦々しい顔で私に話しかけてきた。
「アリス様、お聞きになりまして?」
「まあ、ジュリエットったら怖い顔で。一体何でしょう?」
多分、あれだ。あれだろうなと予想はしたが、分からないふりをしてジュリエットが話すのを黙って聞くことにした。「ロレーヌさんなんですけど……」とジュリエットが語った内容は、予想通りのものだった。
「先日はアレックス様とお二人で庭園におられるのを見てしまったのですけど、昨日はサシャ様、今日は王太子殿下とご一緒で!!!あのように殿方を取っ替え引っ替えしてる姿は節操が無く、見ていて正直不快です!!!」
気の強いジュリエットはハッキリと口に出してしまった。
ポンコツな私もでも、さすがにこれは覚えている。
花の咲き乱れるこの季節、ふたりきりのお花見デートイベントが発生する。色とりどりの花をバックにした美麗なスチルが印象的な、イベント発生期間の短いレアイベント。同時攻略しようとしたら、ほぼ毎日誰かとデートしていることになる。
そうだよね~~同時攻略なんて、周りからみたら尻軽ビッチだよねぇ……。
内心はそう思いつつも、私は頑張って笑顔でジュリエットに答えた。
「ロレーヌさんは下町育ちでしょう? 貴族の規範に縛られた私たちと違って自由なのでしょう。広い心で見守って差し上げたら?」
「ですが、王太子殿下にまで……」
私がにっこり笑って「ジュリエット、このお話はもうよしましょう」と言ったので、ジュリエットはそれ以上何も言わなかった。彼女は身分に厳格。
公爵令嬢が話を打ち切ったら伯爵令嬢はもう言葉を継がない。
あまり揉めたくなかったから打ち切ったのだが、オスカーがソフィアを伴って私の所へ来たのは、その翌日だった。
帰ろうとしていた私がひとりで学舎から出た所で、オスカーとソフィアが一緒にいるのが見えたので、反射的に逃げようとしたのだが、オスカーに呼び止められてしまった。
もうね、嫌な予感しかしないよね。
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