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条件付き格安物件4

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 結局、週末に真臣は帰ってこなかったので、日曜日はずっと荷作りしていた。家具は置いていくし、そんなに荷物もないので、これでいつでも引っ越しが出来る。
 仕事もあるので、最短である今週の土曜日に、引っ越しトラックの手配をした。

 月曜日。
 金曜の夕刻に、時間休を申し出たから、いつもより早めに家を出た。作業があればやっておきたいし、なにより真臣よりも早く出勤したかった。普段、真臣は定刻コアタイムにならないと出勤しない。

 でも、彼も先回りしたかったのか、珍しく先にオフィスにいた。正直、もう顔を見るのも嫌だが、仕事場ではこれまで通りでいようと思い、私から「おはよう」と挨拶をした。
 それを許しだと誤解したのか、真臣は笑って、デスクから立ち上がり私の方へと歩いてくる。

「おはよう。今日は練馬の実家から出勤したから早起きして眠いよ。……七瀬さんは昨日の夜、福岡に帰ったから安心して」

 何が安心なのかわからないので返事をしなかった。意味がわからない。
 早く会話を切り上げたいと思っていたら、真臣は朗らかに笑って言った。

「火曜から出張で、新潟に一泊だから。荷物の準備しといてね」

 プロジェクトのため、日帰りや一泊での出張が多い真臣のために、私が着替えや必需品などをまとめて準備していた。新幹線や飛行機の時間を確認するのも私がやっていた。でもそれは、忙しい真臣のために力になりたいと思ってやっていたことだ。
 今はもう、それをする気持ちにもなれないし、する必要もないと思う。

「どうして私が?」
「距離は置いてるけど、まだ一緒に住んでるしいいよね。帰ったらパパッとやってくれたらいいんで、いつも通りよろしくね!」

 そう言い切ると、私の動揺など全く気にしない様子で、彼は自分のデスクに戻っていった。
 ……意味が全然わからない。真臣はただの喧嘩だと思っているの?
 その場で話をしたかったが、彼が他の社員さんと仕事の話を始めたので、問い詰めるのは家に帰ってからにしようと諦めた。でも、まともな話し合いになるとは到底思えなかった。
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