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おまけ

1. お見合い相手がうちに来ました

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本編6話の翌週のお話。付き合い始めた二人がえろいことしてるだけです。
ご笑覧ください~


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 土曜日の昼下がり、私はリビングの窓辺に飾ってあるブーゲンビリアをぼんやりと眺めていた。熱帯の低木だから、南国を思い起こさせる。
 花のように鮮やかな赤いほうの真ん中に、小さな可愛い白い花。

 このブーゲンビリアは、先週の日曜日に柊平さんが贈ってくれた。



 初めて一緒に過ごしたあの夜、お風呂に入らせてもらってふかふかの上質なベッドに横になっていると、疲れていたのか私はそのまま眠ってしまった。

 翌朝起きて「親に無断で外泊してしまった!」と私は慌てた。
 私はいわゆる"箱入り娘"として育てられ、社会人になるまで外泊なんてしたこともなかったし、それが当たり前だった。男性と付き合ったこともなかった。
もう未成年でもないし、残業で遅くなって深夜帯に帰り、親と顔を合わせることもなく早朝出て行く、なんて日もあったから、今更怒ったりはしないだろう。でも、柊平さんと一緒にいることはわかってるのだから、帰宅して両親に会うのが物凄く恥ずかしかった。


 私を家まで送ってくれた柊平さんが、玄関先で丁寧に挨拶をしてそのまま客間へあがり、改めて結婚の申し込みをしてくれた。結納や結婚式の場所や時期等といった具体的な話がすすんでいった。私は現実味が無いまま、時折頷きながらそれを聞いていた。


 柊平さんが帰った後、「しばらく自分の部屋にいるから」と言って引きこもって、私は部屋のベッドの上で悶絶した。

 ついに彼氏が出来た!
 変態だけど……。
 柊平さん優しくてかっこよかった!!
 ド変態だったけど…………。

 そして結婚まで決まった!!!

 ……足と結婚したいのかもしれないが……。


 昨夜を思い出して枕や毛布をばふばふさせていると、母に呼ばれた。
 怒られるのかな、とちょっと怖かったが、二階にある自室からリビングへおり、目に飛び込んで来たのが、この赤いブーゲンビリアだった。




 突然、自宅に届けられた花の送り主は柊平さんで、まるで後朝きぬぎぬだと思った。男の人に花を贈られるなんてことも初めてだったから私はとてもびっくりした。鉢植えだから一週間経った今日もまだ綺麗に咲いている。 

「楓子ちゃん、アイス買ってきたから食べる?」

 先刻、買い物から帰宅した母が話しかけてきたので「うん、食べる」と返事をしたが、私は上の空だった。花を眺めながら、柊平さんに会いたいなあと思っていたから。

 週末は仕事と家の用事が立て込んでいて会えないから、と昨日の夜は一緒にお食事をした。
住宅地の中にあるイタリアンレストランは、長年、西麻布でオーナーシェフをしていた方が開いたお店で、口コミで評判が広がり、常連客のリクエストでメニューが増えていったそう。
こじんまりとした気取らない雰囲気のお店で、柊平さんが好む理由がわかる気がした。お料理もとても美味しくて、柊平さんと話すのはとても楽しかった。
 別れ際の柊平さんは、いつものように穏やかに、綺麗な顔で微笑みながら私を見ていた。否、私の足を見ていた……。



 「渋谷まで行って買ってきたの」と、母が女子高生のような事を言いながら、可愛らしい箱を開けてアイスを出してくれる。母はいつまでたっても少女のような人なので、柊平さんと私の事も「一目惚れだなんて素敵!」と勝手にラブストーリーを想像して喜んでいる。
 一見紳士ですが、あの人は私の足に一目惚れした変態なんですよ。

 再来月の結納で着る色留袖について嬉しそうに話している母に、適当に相槌を打ちながらアイスを食べていると、父が帰宅した。
「おかえりなさーい!」と母が対応しているインターホンの画像を見ると、何故か柊平さんも一緒にいる。予想外だったので私は動揺した。

 仕事で会えないんじゃなかったの?

 特に事前の連絡もなく彼氏が家に来たら、そりゃびっくりする。
 スーツを着ていると細く見えるけど、意外に腕とか胸とか逞しくてしっかりしてるんだよね……と思い出してしまった私は、多分真っ赤になってたと思う。


 玄関には、爽やかイケメンが立っていた。柊平さんが私を見て微笑んでるけど、何故か妙に恥ずかしくなった私は「いらっしゃいませ」の挨拶すら言えなかった。

「まあ、まあ! いらっしゃいませ」
「こんにちは、突然すみません。お邪魔します」
「どうぞ、どうぞ~自分の家だと思って寛いでくださいな」

 イケメンの登場に母は上機嫌。アイス買っといてよかったわ~頂いたお菓子もあるわよね~とキッチンをパタパタと走り回っている。

 父は取引先との打ち合わせを兼ねた会食に行っていたはずだが、偶然そのホテルのロビーで居合わせたそう。
 お互い用も済んだなら、是非にと誘ったのはうちの父の方だと聞いて私は、(迷惑だったんじゃ……)と思ってしまった。うちの両親は、この良縁に完全に浮かれてしまっている。


 ただ、クマの形をしたファンシーなアイスを食べている柊平さんは、とても可愛かった。リビングでお茶を飲み、「そろそろおいとまを」と言った柊平さんを、母が引き留めた。

「お夕飯、ご一緒にいかが?」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えます」

 すっかり息子みたいに扱ってますけど、大丈夫かな。そんな心配をよそに、柊平さんは私の方へ向き直って言った。

「夕食までの間に、楓子ちゃんの部屋を見てみたいんだけど、いい?」
「え? えええ?? 部屋? ですか?」

 何されるかわからないからいやだ!と思ったが、親公認の彼氏相手に断るのも不自然だし承諾した。両親もいるのに変なことはしないだろう、多分。
多分……。


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