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第1章

私が初めて「あれ?」と思った日。

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まず始めに、私が短大生だった頃のお話をします。

私は将来、保育士になりたくてとある短大へ入学しました。
新しい場所、新しい友達、初めての一人暮らし。
これから楽しい日々が新たにスタートするんだろうとワクワクしていました。

入学式の日、誰も知り合いの居ない中ドキドキしながら一人椅子に座っていました。
しばらくして、隣に一人の女の子が「隣いいですか?」とにこやかに話しかけてきてくれました。
私は突然だったので、思わず立ち上がり少し慌てて「どうぞ」と彼女に笑顔で返答しました。
「やったー!ありがとう!」と、とても元気な女の子だったので、私の緊張もスッとなくなっていきました。

「どこから来たの?」と聞かれ、「◯◯高校から」と返事をしたら「じゃあこの街は初めて?」と聞かれ、「遊びに来たことがある程度で」とちょっと照れながら話しました。

この何気ないやり取りこそが、この当時から私が1番苦手としていた「コミュニケーション」だった。

苦手なんだけれど、どんどん話が進んでいき、気付いたらサークルの話になっていた。
「サークル何入るか決めた?」と聞かれ「あ、えっと…まだ決めてなくて」と答えたら「じゃあ、同じサークルに入らない?」と言われ「あれあれ!」と彼女が指を指した方向にはよさこいサークルが。

よさこい…ってダンス?演舞?だったっけ。
私に出来るのかな…。

ちょっと不安になったけど、せっかく誘ってくれてるし、何だか話しやすい子だし…彼女に任せてみよう。
そう考えて、「うん!いいよ!」と何とか答えることが出来た。

その時は自分の意見や考えを言うことも苦手で、周りがあれをやりたいと言えばそれについて行き、明日みんなでカラオケに行くけど来れるよね?にも本当は予定があるにもかかわらず「うん!」と答えて、今思えば本当に相手にずっと付いて行くタイプだったなと思う。

そんなこんなで、あっという間にサークルに届けを出して、結局この子とは友達になれたのかどうかもわからないスピードで色々決まっていった。

学校が始まってからは、友達もたくさんでき、授業も何だか楽しかった。
いつも連むグループも出来たりして、何をするのもいつも一緒だった。

そんなある日、突然授業内容が難しくなった。
正確に言うと、一つ一つのことは時間をかければ出来るのに、短大ということもあって何十種類の教科を一度にやらなきゃいけない。
でも時間は待ってはくれなくて、どんどんどんどん先に先にと進んでいく。
いつしか私は、それが物凄く苦痛になってしまった。
学校に通い始めて半年で、私は学校を休むようになった。

そんな状態でも、サークルの先輩や友達は心配してくれて「せめてサークルには顔出しにおいで」と言ってくれて、学校には行けなかったけれどサークルは続けていくことが出来た。

この時私は、なぜ他のみんなはこの授業の多さについていけるんだろうと、そればかり疑問だった。
私だけ?私だけが周りについていけてない気がする。
そう確実に思うようになったのが入学してから1年経った頃だった。

この瞬間こそが、私が初めて「あれ?」と思った瞬間だった。

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