無実の罪で投獄されました。が、そこで王子に見初められました。

伯爵令嬢シエラだったのは今朝までの話。
継母アレハンドリナに無実の罪を着せられて、今は無力な囚人となった。

婚約関係にあるベナビデス伯爵家から、宝石を盗んだんですって。私。
そんなわけないのに、問答無用で婚約破棄されてしまうし。

「お父様、早く帰ってきて……」

母の死後、すっかり旅行という名の現実逃避に嵌って留守がちな父。
年頃の私には女親が必要だって言って再婚して、その結果がこれ。

「ん? ちょっとそこのお嬢さん、顔を見せなさい」

牢獄で檻の向こうから話しかけてきた相手。
それは王位継承者である第一王子エミリオ殿下だった。

「君が盗みを? そんなはずない。出て来なさい」

少し高圧的な、強面のエミリオ殿下。
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