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三章 外国にて
国王の姿2
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ふと人が動く気配がして目が覚めた。
「ん、んぅ……」
目をこすりながら、身を起こすとラインハルトがいた。いつの間にかパジャマに着替えている。
「おはよう、ユーファ」
柔らかく目を細めながら、頭をなでてくる。
「ユーファも起きたことだし、飲むか」
二つのグラスとボトルを持って俺を誘ってくる。
「明日仕事だぞ?もう遅いし飲まない。」
「さっきは飲むって言ったじゃないか」
「そんなこと言ってない。」
せっかく用意したのに、と残念そうな顔をしているラインハルトを見ていると、拒否したのにもかかわらず一緒にお酒を飲んであげたい気持ちになってくる。
ラインハルトがパッと顔を上げて口をひらく。
「……もしかしてユーファ、記憶無くすタイプか」
え。さっきからいまいち会話が噛み合わないと思っていたら、俺泥酔してたのか?
「……俺、なんか言ってた?」
「そうだな……それはそれは可愛かったな。いつもの何倍も甘えたで離れがたかった。」
……記憶がない。何を言ったんだ俺は。兄さんが外で酒を飲むなと言っていた理由はこれだったのか……。
「もうお婿に行けない!」
顔を手で覆って、わーっと悶える。
「俺のところに来ればいい」
長い沈黙が流れた。
「……冗談やめろよな」
「なんだ、いやか?」
「嫌じゃないけど、、無理だろ」
「無理じゃない」
ラインハルトが俺の目をまっすぐ見て言う。
俺がラインハルトと結婚なんてできるはずないだろ。ラインハルトがよくても、法律も国民も認めてなんてくれない。
「お前は王様だろ!?もっと国のこと考えてからものを言えよ!世継ぎを作らないつもりか?!そもそも、王の配偶者が男なんて認められるはずがない!もし!……もし、ラインハルトとずっと一緒にいられたとしても、愛人としてだ。」
まくしたてるようにしゃべったから、呼吸が落ち着かない。はあはあと呼吸を整えているとラインハルトはガッと俺の頭を掴んでかぶりつくようにキスをした。
「ぅんんーーー!!」
ラインハルトの胸板をグッと押して無理やり唇を離す。
「キスで誤魔化すなよ!」
「誤魔化してない。ユーファのことも国のことも真剣に考えてる。」
「どこが?!」
「もう、黙れ」
グッと眉根を寄せると、俺の肩を掴んで押し倒してきた。
「ちょっ……んむ」
俺の手を繋ぎ止めると、何度も角度を変えながら唇を押し付けてきた。
「ユーファは、俺がどれだけお前のことが好きかわかってない。お前を迎えに行くまでにどれだけ準備してきたか。」
「……え?」
「ベルンに言われたんだ、『僕の弟と付き合いたいなら、すべての障害を取り除け。でなければ殺す。』って」
「こ、殺すって……」
兄上なんてことを……。で、でも俺もさっきラインハルトにひどいことを言ってしまった。
「お前に会う許可をもらうために、法律改正も俺が退位した後のこともすべて用意が整ってる。」
「は?!退位?」
「ああ。レオンに王位を譲る。既にレオンも了承済みで準備を進めてる。」
頭が混乱して爆発しそうだ。悩みに悩んであきらめていたラインハルトとの結婚が叶うかもしれないなんて……。ど、どうしよう。俺、こんなにいろいろ考えてくれていたのにラインハルトにすごいひどいことを言ってしまった。
「ごめん、ラインハルト。ひどいこと言ってほんとうにごめん。俺の方が何も考えてなかった。」
押し倒された体制のまま、両手を顔の前で合わせて謝る。ちらりとラインハルトをうかがいみると、穏やかに笑っていた。
「……ラインハルト?」
「いい、許す。ユーファは俺との将来を随分真剣に考えていてくれていたみたいだからな。」
「は、はあ?!」
「さっきは俺と結婚するにあたって予想される障害をスラスラとあげていたし。嬉しい。」
わずかに頬を紅潮させて、ラインハルトがくしゃりと笑った。あまりに幸せそうで何も言えなくなってしまう。
「……そーかよ。」
かろうじて言葉を絞り出し、そっぽをむいた。
「ていうか、早くどいてくれよ。」
「俺としてはこのまま昨日の続きをしてもかまわないんだがな。」
「いいわけあるか!!」
「ん、んぅ……」
目をこすりながら、身を起こすとラインハルトがいた。いつの間にかパジャマに着替えている。
「おはよう、ユーファ」
柔らかく目を細めながら、頭をなでてくる。
「ユーファも起きたことだし、飲むか」
二つのグラスとボトルを持って俺を誘ってくる。
「明日仕事だぞ?もう遅いし飲まない。」
「さっきは飲むって言ったじゃないか」
「そんなこと言ってない。」
せっかく用意したのに、と残念そうな顔をしているラインハルトを見ていると、拒否したのにもかかわらず一緒にお酒を飲んであげたい気持ちになってくる。
ラインハルトがパッと顔を上げて口をひらく。
「……もしかしてユーファ、記憶無くすタイプか」
え。さっきからいまいち会話が噛み合わないと思っていたら、俺泥酔してたのか?
「……俺、なんか言ってた?」
「そうだな……それはそれは可愛かったな。いつもの何倍も甘えたで離れがたかった。」
……記憶がない。何を言ったんだ俺は。兄さんが外で酒を飲むなと言っていた理由はこれだったのか……。
「もうお婿に行けない!」
顔を手で覆って、わーっと悶える。
「俺のところに来ればいい」
長い沈黙が流れた。
「……冗談やめろよな」
「なんだ、いやか?」
「嫌じゃないけど、、無理だろ」
「無理じゃない」
ラインハルトが俺の目をまっすぐ見て言う。
俺がラインハルトと結婚なんてできるはずないだろ。ラインハルトがよくても、法律も国民も認めてなんてくれない。
「お前は王様だろ!?もっと国のこと考えてからものを言えよ!世継ぎを作らないつもりか?!そもそも、王の配偶者が男なんて認められるはずがない!もし!……もし、ラインハルトとずっと一緒にいられたとしても、愛人としてだ。」
まくしたてるようにしゃべったから、呼吸が落ち着かない。はあはあと呼吸を整えているとラインハルトはガッと俺の頭を掴んでかぶりつくようにキスをした。
「ぅんんーーー!!」
ラインハルトの胸板をグッと押して無理やり唇を離す。
「キスで誤魔化すなよ!」
「誤魔化してない。ユーファのことも国のことも真剣に考えてる。」
「どこが?!」
「もう、黙れ」
グッと眉根を寄せると、俺の肩を掴んで押し倒してきた。
「ちょっ……んむ」
俺の手を繋ぎ止めると、何度も角度を変えながら唇を押し付けてきた。
「ユーファは、俺がどれだけお前のことが好きかわかってない。お前を迎えに行くまでにどれだけ準備してきたか。」
「……え?」
「ベルンに言われたんだ、『僕の弟と付き合いたいなら、すべての障害を取り除け。でなければ殺す。』って」
「こ、殺すって……」
兄上なんてことを……。で、でも俺もさっきラインハルトにひどいことを言ってしまった。
「お前に会う許可をもらうために、法律改正も俺が退位した後のこともすべて用意が整ってる。」
「は?!退位?」
「ああ。レオンに王位を譲る。既にレオンも了承済みで準備を進めてる。」
頭が混乱して爆発しそうだ。悩みに悩んであきらめていたラインハルトとの結婚が叶うかもしれないなんて……。ど、どうしよう。俺、こんなにいろいろ考えてくれていたのにラインハルトにすごいひどいことを言ってしまった。
「ごめん、ラインハルト。ひどいこと言ってほんとうにごめん。俺の方が何も考えてなかった。」
押し倒された体制のまま、両手を顔の前で合わせて謝る。ちらりとラインハルトをうかがいみると、穏やかに笑っていた。
「……ラインハルト?」
「いい、許す。ユーファは俺との将来を随分真剣に考えていてくれていたみたいだからな。」
「は、はあ?!」
「さっきは俺と結婚するにあたって予想される障害をスラスラとあげていたし。嬉しい。」
わずかに頬を紅潮させて、ラインハルトがくしゃりと笑った。あまりに幸せそうで何も言えなくなってしまう。
「……そーかよ。」
かろうじて言葉を絞り出し、そっぽをむいた。
「ていうか、早くどいてくれよ。」
「俺としてはこのまま昨日の続きをしてもかまわないんだがな。」
「いいわけあるか!!」
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