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ヤエ
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私の名はヤエ・サトウ。
ようやく皆さんとお会いでき嬉しい、よろしくお願いしますね。
私はあちらの世界で神主をしている家に生まれ、巫女としても修行をしたし勿論神主としても大学で履修しおえているから神主にもなれたけどね。
ごく普通の会社員として働き、ごく普通の結婚をして子育てし孫も生まれたのよ。
人ではない方に異世界かあの世かと問われた時、シズは異世界を選択したけど私はあの世でもよかったのよね。
でも、異世界で死ねばあの世に行けるので、今回は途中下車するような感じだなと思ったのよ。
異世界に1度転生するのもいいかぐらいの気持ちでこちらに来たわけよ。
あちらでは医学部か薬学部に進学したかったが、授業料が半端なくお高くてあきらめたわ。
頭脳明晰であれば問題なく国公立か防衛大学の医学部か薬学部に進学できていたかもしれないけど残念ながら夢で終わったわけよね。
生存中の君たちに教えてあげよう。防衛大学は進学ではない、就職になるのよ。
大学生とはいえ給与も支払われるので、就職だよ。
でものちに防衛省に入らないといけないみた、はっきりとは知らないけれど。
もし頭脳と体力がバランスよく取れていて両方ともに自信があるのであれば、奨学金等を利用せずに大学卒業の資格が欲しい人は一考に値すると私は個人的に思う訳よ。私も寮完備だし考えたけど自分の能力不足で諦めて進学したわけなのよね。
だから、人生最後に選択できた異世界生活は治癒師か薬師を選んだわけ。
現在はハーフ国とエルフ国の国境近くに家を構え、治癒し剣薬師として生活しているわ。
先だって、シズが5人の夫たちの卵を孕み5個の卵を産んだと思えば、セリが4個の卵を孕み産んだけど、元恋人に卵を2個強奪され私たち仲間にSOSがきたわ。
マリは卵を孕んでいたので今回はパスしたけど、シズと夫たち、私は卵奪還に参加して無事卵はセリの手に戻ったはず。
卵がセリに戻ることが確実になった段階で、私たちはセリを置いて家に戻ることにしたの。
各自、大人の事情があるからね、そこは……。
セリの手助け代として、私はヒュドラーの首1本とドローナックを1年借り受けたわ。
ドローナックは獣人国宰相の一人息子で国1番の魔法使い、魔法団長を務める獣人。
セリによって両足に2本の氷を打ち込まれ歩けなくなっているのをひきずって帰ってきたわ。
可哀そう?卵泥棒よ。元恋人をそそのかして、母親のセリから卵を強奪した獣人にかける情けは掛けてやったわよ。
自宅でドローナックの手当てをするときに
「良かったわね。セリが氷で貫いてくれて。シズなら火魔法で貫いたでしょうから、炎で焼かれると細胞が再生しませんから足を引きずらなければならなかったですね。セリが咄嗟に氷魔法で貫いてくれたおかげですね。水系統の魔法ならば細胞の再生が簡単にできますから後遺症も残りませんよ。」
「えー、そうなんですかぁ。じゃ、セリ様に僕助けていただいたのでしょうか僕は。」
「あの状況ではそうなるでしょうね。シズは本当に怒ってましたから。1度は見逃したけど2度目はない!とかなんとかブツクサ文句垂れてましたから。卵を取られたセリの気持ちが私より分かるのでしょうね。」
「あの状況で僕たちは出来る範囲の最良を選択したのですが…」
「あなたたちの最良がセリの最良ではないですから。」
「わかっています、わかってはいるのですが伯父上たちや従兄を殺すわけにはいかなかった…」
「自分たちがだけが事情を分かって、事情の分からないものを利用するのはいかがなものでしょうかね。わたしには自分が神のようにふるまえると考えているように見えますが、傲慢じゃないですかね。」
「そう見えるのですね…そうですよね。理解できます。」
「理解が早くてよかったですわ。いろいろお聞きしたいことがあるのですが今日から1か月はゆっくりしてくださいね。傷の手当てをしときますから。」
「ありがとうございます。もう夜明けですね。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
「セリの、仲間のためですもの。今日は1日熱と痛みがきついと思いますので眠りの魔法をかけときますね。夕方には1度、目を覚ましますから。お休みなさい。」
こうしてドローナックは眠りに入った。
◇◇◇◇◇
僕は獣人国ゴード宰相の一人息子で魔法師団長を拝命していた。
しかし幼いころ母から掛けられた呪いにより国王の伯父上ご一家を殺害するよう命じられ、その後ゴタゴタといろいろあり、現在に至る。
端折りすぎだ?
興味のある方は前作をお読みくださいと言うことで。
あのゴタゴタから1か月が過ぎようとする現在、僕はようやく杖を支えに歩けるようにまでなった。
ヤエ殿が、なぜ僕をあの時引き取ったかは不明のままだが、ようやく話せるようになった僕に聞きたいことがあるということで今日はヤエ殿の書斎で座っている。
「ねぇ、ドローナックはなぜこの世界の女性が卵を産むのか知っている?」
「ええ、昔からの言い伝えにある通りですよ。
昔々この世界が作られた。世界はエルフ族、人族、獣人族に別れ各自が各大陸に住んでいたという。
ある時、大陸が3つ互いにぶつかり1つの大陸となった。
エルフ族、人族、獣人族は自分たちだけの種しか存在しないと考えていたのに間違っていたことに気づかされた。
それから長い時間、互いに争いあった。その頃は男も女も同じ人数いたという。
長い長い争いの中、混血種と言われるものが出てきた。
当初、混血種は奴隷でしかなかった。しかし増え続ける混血種と減り続ける純血種。
このことを重く見た時の権力者たちは協定を結んだ、互いに侵略しないと。
そして純血種を守るため混血種のみの国を3つの国の中央、険しい山脈がある地に作りその中に閉じ込めた。
決して純血種の地には入ってはならぬと禁を破ったものは死を与えることとなった。
その時から数百年の時間が流れたころ、女性と赤ん坊が出産時に亡くなるケースが増えていったそうです。
原因として言われたことは、そのころ食糧事情が良くなったのです。人々の体格が良くなり、特に男の体格と力はあがったと言われています。
男の体格はよくなったのに比べ女は変わらなかったらしい。
女の体格は変わらず赤ん坊は腹の中で大きく育つようになったと言われていますね、はっきりとはわかっていないけど。
当然、出産しにくくなり、亡くなるケースが相次いだ。
これは、どの国でも同じだったと聞きます。
エルフでもダークエルフやハイエルフ、エルダーエルフと各種族がいますし、獣人族でも虎族、猫族、犬族、蝙蝠族、ライオン族、蛇族等います。人族も同じです。
つまり純血種族でも体格差で負担は同じように女にかかった。
そのうえ魔力が強い子ほど産まれる時の辛さで出産時に魔力を暴発させることが多発した。
そのため、出産時に母子の死亡が相次いだ。
ある時、ある女が子を産む時に神に祈ったそうです。
子を産むのが死を招くのであれば、やがて女は子をなすことを止めるでしょう。せめて子を産むとき死を招かぬ方法に変えてくださいと。
神はその願いを叶えられたと伝えられています。
その当時、すべての種族に神の言葉が届いたそうです。
魔力が暴発せぬよう、子の体格が良すぎて母子とも死ぬことがないように子は卵で産まれることとする。
そして生まれた卵はまだ幼すぎるので親の魔力を与え大きく育てて孵えるようになる。
こうして神のおかげで女は出産で死ぬことは亡くなったそうです。
これは神話ではなく、事実として各王家が話を保管しています。僕も王家の書庫で読みましたから。」
魔力がある子供ほど、確かに出産時魔力を暴発させる可能性は高いわね。
卵で魔力が暴発するのも防いでいるわけね、納得しましたわ。
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