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最終話 ~冬~ え? 神様方が地獄分館を取り潰そうとしている? ウフフ……。ならば私が、彼らに身の程というものを教えてあげるとしましょう。
何やってんですかね、あのバカ者共は。
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「ここだ。署名の横に、『今日はオレの負けだ。お前達の拳、魂がこもっていたぜ!』とメッセージのようなものが書き添えてあるのだが……。これは、一体どういう意味だろうか?」
「……さあ、何でしょうね? このノートの担当者が、署名者とジャンケンでもしたのではないですか?」
とりあえず、素知らぬ顔でしらばっくれてみます。
当然ですが、私は聖良布夢さんとタカシさんが署名者とジャンケンなんて、意味不明なことをするとは思っていません。彼らと署名者の間でどんなやり取りがあったかは知りませんが、十中八九全力で語り合ったのでしょうね――主に拳と拳で……。
OK。私も地獄分館へ帰ったら、彼らと朝まで存分に語り合うとしましょう。 今から尋問室の予約は取れるでしょうか。
「ふむ、そうか。よくわかった。では、次にこれなのだが……」
久延毘古氏が次に取り出したのは、兼定さんに預けたノートでした。
あの変態は、一体何をやらかしたのでしょうかね。
「ここのページに、こんな紙切れが挟まっていた」
「ええと、何々……。『ぶたれ……きもち……いい……』ですか。アハハ。愉快なメモですね」
どうやらあのドM、八寒地獄でバイオハザードを起こしてきたようですね。
わかりました。今後被害を拡大させないためにも、帰ったら元不良コンビと語り合う前に、彼を駆除するとしましょう。
(さてはて、何をやったら彼に対して効率的にダメージを与えられますかね……)
なんて具合に兼定さんの処刑方法を考えていたら、久延毘古氏が真面目な顔で私に問い掛けてきました。
「それで天野君、この紙切れについて、どう思うかね?」
「いやですね。こんなの、ただの落書きに決まっているじゃないですか」
「このノートの署名を見ると、すべて熱病にうなされながら書いたように文字が歪んでいるのだが――」
「気にしたら負けです」
これ以上変な詮索をされないように、即行で話をぶった切ります。下手にこの話題を長引かせるのは、私にとって好ましくないですからね。
もっとも、久延毘古氏にとっては私の反応も予想範囲内だったようです。
その証拠に……、
「そうか。君がそう言うのならよかろう。では次、このノートだ」
「それは……閻魔様が集めてきてくれた署名ですね」
久延毘古氏はすぐに次のノートへ持ち替え、更なる攻撃に出てきました。
この嫌な流れ、先月とまったく同じです。
苦しい展開に思わず顔をしかめつつ、私は久延毘古氏を睨みつけます。
対する彼は、私の威嚇に目もくれず、淡々とこちらを攻め立ててきました。
「最初のページに『各自名前を書いて、次の部署に回してね。戻りは閻魔まで』と書いてあるのだが……。よもや回覧物のようにノートを回して、意図を説明しないまま署名を書かせたのではあるまいな」
「……………………。……で、釈明は?」
「いや、仕事が立て込んじゃってさ。それで仕方なく――ぶほっ!」
閻魔様の顔面に鬼の金棒がめり込みました。
まったく、どいつもこいつも……。
「……さあ、何でしょうね? このノートの担当者が、署名者とジャンケンでもしたのではないですか?」
とりあえず、素知らぬ顔でしらばっくれてみます。
当然ですが、私は聖良布夢さんとタカシさんが署名者とジャンケンなんて、意味不明なことをするとは思っていません。彼らと署名者の間でどんなやり取りがあったかは知りませんが、十中八九全力で語り合ったのでしょうね――主に拳と拳で……。
OK。私も地獄分館へ帰ったら、彼らと朝まで存分に語り合うとしましょう。 今から尋問室の予約は取れるでしょうか。
「ふむ、そうか。よくわかった。では、次にこれなのだが……」
久延毘古氏が次に取り出したのは、兼定さんに預けたノートでした。
あの変態は、一体何をやらかしたのでしょうかね。
「ここのページに、こんな紙切れが挟まっていた」
「ええと、何々……。『ぶたれ……きもち……いい……』ですか。アハハ。愉快なメモですね」
どうやらあのドM、八寒地獄でバイオハザードを起こしてきたようですね。
わかりました。今後被害を拡大させないためにも、帰ったら元不良コンビと語り合う前に、彼を駆除するとしましょう。
(さてはて、何をやったら彼に対して効率的にダメージを与えられますかね……)
なんて具合に兼定さんの処刑方法を考えていたら、久延毘古氏が真面目な顔で私に問い掛けてきました。
「それで天野君、この紙切れについて、どう思うかね?」
「いやですね。こんなの、ただの落書きに決まっているじゃないですか」
「このノートの署名を見ると、すべて熱病にうなされながら書いたように文字が歪んでいるのだが――」
「気にしたら負けです」
これ以上変な詮索をされないように、即行で話をぶった切ります。下手にこの話題を長引かせるのは、私にとって好ましくないですからね。
もっとも、久延毘古氏にとっては私の反応も予想範囲内だったようです。
その証拠に……、
「そうか。君がそう言うのならよかろう。では次、このノートだ」
「それは……閻魔様が集めてきてくれた署名ですね」
久延毘古氏はすぐに次のノートへ持ち替え、更なる攻撃に出てきました。
この嫌な流れ、先月とまったく同じです。
苦しい展開に思わず顔をしかめつつ、私は久延毘古氏を睨みつけます。
対する彼は、私の威嚇に目もくれず、淡々とこちらを攻め立ててきました。
「最初のページに『各自名前を書いて、次の部署に回してね。戻りは閻魔まで』と書いてあるのだが……。よもや回覧物のようにノートを回して、意図を説明しないまま署名を書かせたのではあるまいな」
「……………………。……で、釈明は?」
「いや、仕事が立て込んじゃってさ。それで仕方なく――ぶほっ!」
閻魔様の顔面に鬼の金棒がめり込みました。
まったく、どいつもこいつも……。
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