20 / 97
もっと早く聞いておくべきだった
しおりを挟む
村の人達も解散して、アタシはエデンさんと二人で夕食を食べていた。
アイスクリームはあくまでもオヤツ、別腹なんですよ。
今回は、アタシ提供の熊の手の煮込みがメイン。手は二個しかないから、アタシとエデンさんでこっそり山分けのご馳走だ。村の皆さんにも内緒だそうな。
アタシはリデル村の滞在を2日で終えて、明日からはランテルム公爵領を目指し、まずは隣の街カントスに向かう事とした。カントスとその隣ソトーゲまでは、モルドバー伯爵領らしい。ちなみに、今更ながら、この国はアーティザン王国と言うんだそうだ。
そうだ、エデンさんに聞くのを忘れてた!
「エデンさん、アーダン・ドルアンテって言う騎士がこの村に来なかった?」
エデンさんが表情を変える。
「おう、3週間位前に来たぞ。極楽鳥を連れていることと言い、ランテルム公爵領に向かう事と言い、やはり何か関係があるのか?」
アタシは、アーダンが死んでいた事と遺品の手帳、鎧を見せて、彼の意思を継ぎ、虹魔石を届ける事が当面の目的だと話した。
頭を抱えるエデンさん。
「それを早く言えよぉ!」
えっ!?
「さっき話した通り、重要物品は、ギルド間で送ることが出来るんだよ!治療に必要なものなら尚更だ!虹魔石をまずは送るのが最適だ!」
そうか……わざわざ持って行かなくとも、方法があるんだ。あれ、そうすると、アタシの旅はいきなり終わり?
「取り敢えず明日の出発は中止だ。先方とギルド経由で連絡を取らなければならん。虹魔石を見せてくれるか?」
アタシは収納から虹魔石を取り出した。全部で4個。
「4個もあるのかよ!騎士も冒険者も血眼になって探してた奴が!」
そう言われましてもねえ。アタシ、何も悪いことしてないのに。なんだか泣けてきた。
「す、すまん、責めるつもりじゃなかったんだ。なんと言うか、運命の理不尽さに、つい、な」
うん、それは判ってるけど、ね。
「とにかく、今日はゆっくり休んでくれ。それから、虹魔石は一個で報告しておく。残りは閉まってくれ」
アタシは、落ち込んだ気分でそのまま部屋に戻る。
「そもそも、長旅のつもりだったからねえ。一刻を争う速さにはどうしてもならないと思ってたし、アナタに罪は無いわよ」
ナツコさんは慰めてくれるけど。
「昨日の時点でエデンさんに話しておけば、1日は早くなったと思うとね……」
この1日でユリース令嬢の容態が悪化してなければ良いけど。
とは言え、ナツコさんの言うとおり、最初は何日掛かるかも分からなかったんだし。仕方ないかなあ?
アタシはそんな風に愚痴りながら、寝落ちした。
アイスクリームはあくまでもオヤツ、別腹なんですよ。
今回は、アタシ提供の熊の手の煮込みがメイン。手は二個しかないから、アタシとエデンさんでこっそり山分けのご馳走だ。村の皆さんにも内緒だそうな。
アタシはリデル村の滞在を2日で終えて、明日からはランテルム公爵領を目指し、まずは隣の街カントスに向かう事とした。カントスとその隣ソトーゲまでは、モルドバー伯爵領らしい。ちなみに、今更ながら、この国はアーティザン王国と言うんだそうだ。
そうだ、エデンさんに聞くのを忘れてた!
「エデンさん、アーダン・ドルアンテって言う騎士がこの村に来なかった?」
エデンさんが表情を変える。
「おう、3週間位前に来たぞ。極楽鳥を連れていることと言い、ランテルム公爵領に向かう事と言い、やはり何か関係があるのか?」
アタシは、アーダンが死んでいた事と遺品の手帳、鎧を見せて、彼の意思を継ぎ、虹魔石を届ける事が当面の目的だと話した。
頭を抱えるエデンさん。
「それを早く言えよぉ!」
えっ!?
「さっき話した通り、重要物品は、ギルド間で送ることが出来るんだよ!治療に必要なものなら尚更だ!虹魔石をまずは送るのが最適だ!」
そうか……わざわざ持って行かなくとも、方法があるんだ。あれ、そうすると、アタシの旅はいきなり終わり?
「取り敢えず明日の出発は中止だ。先方とギルド経由で連絡を取らなければならん。虹魔石を見せてくれるか?」
アタシは収納から虹魔石を取り出した。全部で4個。
「4個もあるのかよ!騎士も冒険者も血眼になって探してた奴が!」
そう言われましてもねえ。アタシ、何も悪いことしてないのに。なんだか泣けてきた。
「す、すまん、責めるつもりじゃなかったんだ。なんと言うか、運命の理不尽さに、つい、な」
うん、それは判ってるけど、ね。
「とにかく、今日はゆっくり休んでくれ。それから、虹魔石は一個で報告しておく。残りは閉まってくれ」
アタシは、落ち込んだ気分でそのまま部屋に戻る。
「そもそも、長旅のつもりだったからねえ。一刻を争う速さにはどうしてもならないと思ってたし、アナタに罪は無いわよ」
ナツコさんは慰めてくれるけど。
「昨日の時点でエデンさんに話しておけば、1日は早くなったと思うとね……」
この1日でユリース令嬢の容態が悪化してなければ良いけど。
とは言え、ナツコさんの言うとおり、最初は何日掛かるかも分からなかったんだし。仕方ないかなあ?
アタシはそんな風に愚痴りながら、寝落ちした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる