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通信、印

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『「サクヤ様、どうしてここに」』
『「クロスノート、ごめん今神殿にいる、神官長と王に緊急連絡を繋げて欲しいの」』

僕は処置室と待機室より更に奥にある休憩所のドアを開けて中に鎮座してある、水晶玉に手をかざしクロスノートに通信する。

『「はい」』
『「サクヤーっ、どういう事だお前は龍人国で拐われたと大騒ぎに成っているぞ」』
『「すみません、父様・・僕は無事です、緑の手を見つけました至急応援を僕の店に出して下さい、神子(巫女)で治癒を使える人も手が空いていたら来てください、神官長も」』
『「・・・・あい分かった、手配する」』

僕の発言は時に父を超す事がある、愛し子としての発言だからだ。

「ーっ愛し子様、状況は」
「悪いですなの」

緑の手の子に治癒をしていくけれど僕の力でも全く回復しない。

「ーっ愛し子様彼の者に治癒をして何分経ちましたか」
「ーっ」
『1時間は過ぎたな』
「そうですか、一度このまま治癒をしたまま神殿に運びいれましょう」

異世界から来たから治癒が進まないのか、神獣や聖獣のみんなに聞いても首を振るう。
そんな筈はないと、それに僕の力を持つてしても治癒しないのはあり得ないと。

「愛し子様も我々が治癒をします、まだ身体が出来上がっていない愛し子様がこれ以上の治癒は自殺行為です、お止め下さい」
「ーっ」

僕はコクッと頷く、まだ子供の身体では神官達に任せた方がいいと理解している。
ちょっと悔しいけれど。
ヒョイと僕の身体が抱き上げられる。

「ーっ龍我様」
「心配した」
「サクヤ様ーっ龍助ーっ」
「サクヤ様、龍助を守って下さりありがとうございます、ご無事で何より」

龍我様と龍藍様に桃莉さんが現れた事に僕は驚く。
転移魔法をして通り、この国に入ったとしても早い。

「どうしてここに」
「サクヤを見つけ出せたのは龍助が神殿に印を付けていたからだよ」
「印」

僕は首を傾げる、そんな僕に龍我様は頭を撫でられながら抱きしめられている。

「神殿から外に出る時に拐われたりしても分かる様に印を付けての外出なら許可されたんだよ、良かった無事でサクヤ」

よしよしと僕を触ろうとする、桃莉さんを龍我はかわし、龍藍様は桃莉さんの手を掴む。

「桃莉さん私の番に触れぬように、叔父上様もちゃんと躾て下さい」
「桃莉私と子供達以外に馴れ馴れしくする必要はありませんよ、龍我は少し落ち着きを持ちなさい」
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