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緑の手

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「緑の精霊王様、自然の精霊王様、大地の精霊王様お会い出来て嬉しく存じます」
『よい』
『ええょ、そんな堅苦しぃ』
『ふふふ、緑の手の使い手を迅速に探しておくれ』

緑の神子は正式な神子(巫子)ではない、緑の神子(巫子)は世界樹を育てる為だけに存在する。
13の巫子(神子)達とは違い一代限りの神子を人々以外は緑の手と呼んでいる。
何千年に一度あるかないかの緑の手を探すのはかなりの至難だが、見付けなければならない。
過去に人間の国に居たことがあったり、妖精の国やエルフの国、深海の国、様々な国で見つかった事もある。

「龍人国、獣人国内なら僕も探せるけれど、他国は無理なの」
『神の子よ、それには及ばんよ』
『そやぁ他国は僕達が探すから、又国が利用する事態にはならへん、そんな事させへんよ』

不穏な空気と冷気のような冷たさが辺りを包むが直ぐに僕は暖かくなる。
りんの結界に阻まれた様だ、りんも安心していて結界を緩めていた事が仇に成ってしまったみたいだ。

「何か過去にあったの」
『緑の手を意のままにし世界樹を己の物としようとしはったんや人間は』
「人間は貪欲で醜いからなの」

この世界に来てから人間は本当に醜いと知った。
そして逆に獣人や龍人、神獣、聖獣は精霊それに神達はあたたかいと知った。

「サクヤ様」

僕の言葉に神官達は首を傾ける、それはそうだろう僕は人間国の人達とは今世は会った事はないからね、僕が憎悪を纏っている事を知らない。
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