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りんご畑

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「国民のりんごを減らす事は許さないよ」
「ーっ」

長年生きているサーヤのどす黒いオーラ全開にアキラは顔色が頗る悪くなる。
魔力の量が桁外れな王族の殺気は最早凶器だ。
そのおかげで王宮庭師は慣れているから倒れはしないが冷や汗をかき、顔色は青ざめており身体は震えている。
アキラは思う、ヨークやアキラよりサーヤの方が迷惑だろうと。

「んっ、こんな感じかなぁ」
「りんごの種類別に生やします」

ぶわっとサーヤが地上を作り、強度し木が伸びない様に加工空間にしたのを確認し、アキラはりんごの木々を生やす、勿論りんごの実が早く美味しく出来るように調整しながら。

「うん、アキラは器用だね」
「ありがとうございます」
「さて、アキラその黒いの何」

アキラの手にはカカオ豆が握られているが、普段サーヤは王宮の広場に集まる民の声を聞く役割の公務をしている為、カカオ豆がチョコの原料だとは知らないのだろう。
チョコは高級な箱入りに入っているモノしか食べたことはないのだから。

「サーヤさんこれからチョコが出来るんですよ」
「えっ、ええっ、チョコって甘くって口の中に入れたらスーツととろける、あのチョコ」

アキラは苦笑いをする、サーヤはチョコが大好きな事を思い出したからだ。

「サーヤさん一緒にやりますか」
「いいの」
「はい」

サーヤは懐から小さなハムスターの様な塊を出す、ハムスターの様な塊は丸く丸まっていて何か分からないが、アキラは思い当たるねか真っ青に成っている。

「んっ、しゃーあ」
「ふふふっ、ごめんね今から調理場に行く用事が出来たから、ネマは神殿に行ってきな」

ふるふると震えだし、サーヤの手のひらから地面に一回転しながら飛び降りポンッとハムスターの様な塊からふさふさの神獣に相応しい佇まいを・・する事はなく、うーんと背伸びをし凝り固まった筋肉を解す。
パタリパタリと尻尾が揺れる、立ち上がりゆらゆらと揺れる尻尾は7本あり、かなりの年数と魔力の量が知れる。

「お祖父様ーっ、なんて事してるんですか」
「ふふふっ、アキラ何度言えば分かるのかなぁ」

アキラのお祖父様呼びにサーヤは不機嫌な雰囲気をだし、アキラの頬っぺたを掴みぎゅーっと縦に横にと伸ばす。

「んっ、なんだアキラの小僧か、サーヤを怒らすなんて馬鹿だなぁ」

呑気にアキラとサーヤのやり取りを見学する。
サーヤはアキラに祖父と呼ばれているが、アキラに取っては本来なら鬼門に入り数千年は年上の先祖に当たる。

「ふぁっ」
「ふふふっ、ネマ神殿で待っててね迎えに行くから」
「サーヤ、わいは面倒な事はごめんだ」
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