勇者パーティーに追放されたけど、僕は女神様と魔王を倒しに行きます。

三部 反骨の国

61 タイガvs大狼

「右!?」

　タイガは右から来る大狼の前足を剣で添えるように置くと。
　その一瞬で大狼の左前足は一瞬で切り落とされた。

「す、凄い……」

　後ろで見ていた騎士はタイガのその強さを見て唖然とする。

　グルルル

　しかし、大狼は左前足を切り落とされても動じる事はなく今度は頭を大きく開けてタイガを丸飲みにしようとする。
　タイガは大狼の口よりも後ろに飛ぶ、

「……ここまで」

　タイガは少し困惑するも、すぐに剣を構え風の刃を飛ばすために振る。

「今度は奴の顔に！！」

　そう口にすると風の刃は大狼の頭に目掛けて飛んでいく。

　グルル

　すると、大狼は左前足で風の刃を受け止めた。

「なっ……その足はさっき切ったはず……」

　グル

　大狼の口元がニヤッと口角が上がると同時に、風の刃を受け止めたその左前足で叩き潰すようにタイガの頭の前まで来た、

「もう一度後ろに飛べば」

「ひぃ！！」

　と、そこに居たのは座り込んでいる騎士だった、

「くっ、やるしかない!?」

　タイガは目の前に来ていた大狼の左前脚を剣で受け止める。

「ぐっ……」

　剣の上からでもどっしりと大狼の体重がのし掛かる。

「まだまだだ！！」

　タイガは真上からのし掛かる大狼の体重を全身で受け止める。

　グルル

　だがしかし、大狼の体重がどんどんと重さが増していきタイガの足下の地面が段々と沈み始めた。
　タイガはそれを感じると後ろに居る騎士に向かって、

「ここから早く逃げてください！！」

　と、言うが、

「す、すまない腰が抜けて……」

　騎士はそう言い頑張って立とうとするもまともに立つことはできずにいた、

「ぐっ、やるしかないか……」

　タイガは足に力を入れる、しかし、タイガの足は一気に沈み込んだ、

「まだまだまだぁ！！」

　声を上げる旅に地面に沈み、大狼に押し潰されそうになったその時、

「空球！！ 」

　その言葉を発したその時、剣と大狼の間が一瞬だけ浮くとその間は広がっていき大狼は押しだされるようにタイガから離れていく、

「はぁはぁ、上手く行った」

「す、すげぇや……」

　二人は安堵すると否やタイガは、

「今のうちに騎士団長の所へ」

　と、騎士に促すと、

「あ、あぁわかった」

　騎士は恐怖が無くなり安堵したのかすっと立ち上がると走り出し遠くに行くのを見届けると、

「はぁはぁ、今ので少し体力を使ったな」

　タイガはボソリと呟くと、

　グルル

　と、後ろから喉を鳴らす声が聞こえる、

「早いよ狼さん」

　タイガは後ろを振り向いた。