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三章 一部 雪国の防衛

23 ラストアタック

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「マスターはこちらへ」

 ユウキは手を差しのべる。

「こちらってどうするんだ?」

「私がマスターの攻撃を助力します」

「助力って?」

「任せてくださいマスター」

 ユウキに押しきられ僕はその手を掴むと、浮いていたユウキは僕の体重を考慮しながらバランスを取るため体を揺らす、

「大丈夫か?」

「大丈夫ですマスター、では行きますよ」

 彼女のその言葉を聞くと同時に上昇すると共に大狼が小さくなっていく、

「こ、ここからどうするんだユウキ」

「簡単です一気に急降下してマスターが全力で殴る。それだけです」

「それだけじゃ、倒せるかどうか分かんないぞ?」

 そう言い合っていると、大狼の毛先が蠢き始めこちらに向いた、

「マスターならやれます」

 ユウキの厚い信頼を受けとるも、いまいちその案は浮かばない……。
 そう思っていると、大狼からの熱光線が発射されると、ユウキはそれを避け始める、

「ユ、ユウキ!?」

「マスター舌を噛まないように、行きます!!」

 それを最後に僕の頭を地面に向かって急降下し始めた、

「まってまって早いよ!!」

 しかし、その声は急降下で発せられる音ですぐ目の前に居るはずのユウキには届かない、

「マジかよ……」

 僕はそのまま頭で考えながら、身体中に回る遠心力に振り回されると一ついい案が浮かんだ、

「あの時空中で少し移動した魔力の使い方をすれば、今までの攻撃よりは幾分かましに……」

 そう考えていると。

「マスター、後150メートルです!」

 ユウキの声はなぜかスッと入ってきたが、その言葉に、

「わかった」

 そう返すと、僕は拳に魔力を籠める。
 すると、拳に魔力が溜まる時に発せられる光源が漂い始める。

「マスター何やらいい案を」

「あぁ、任せとけ、ギリギリの所で俺を放してくれ」 

「わかりました」

 ユウキのその言葉を聞くと何やら耳からごそごそと何かが落ちた。

「よっしゃやるぞ!!」

 高度50……40……
 
 ユウキは静かに距離を計りながら小さく呟き残り30となったところで、

「今だ!!」

 と、言い、捕まっている僕を離した。

「いい所で離した!!」

 離された僕の横にユウキを狙う熱光線の中、右拳に溜めていた魔力を落下の方向に合わせ魔力を噴出させる、

「喰らえ!!」

 大狼の鼻を思いっきり殴るも、勢いはそのまま止まらず、それの頭は地面につくこととなったその瞬間。

「絶対零度……」

 というタクヤの魔法の口上が聞こえた瞬間、大狼は一瞬で氷漬けとなった。  
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