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二章 錆びれた都

11 塔を徘徊する者達

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「はぁ……はぁ……はぁ……」

 魔物達の視界に入らないように小さく息を吐き出しそして吸う。

 ずり……ずり……

 四つん這いになりつつ魔物には見えないルートを這う。
 しかし、その道には大量の机と椅子が乱雑に置かれ少しでも当たるなら気づかれるような音を出してしまいそうだ。

 そのなかを僕と女神様は進む。その道中では二人の衣擦れの音が僕と女神様の聞こえる範囲で大きく響く、

「ハックもう少し足を上げて」

「女神様も……」

 後ろから着いてきている女神様が小声で注意し、僕も女神様に注意する。

 僕達は着物が地面に当たらない程度に足を上げる。

 ズリリ

 と、足を少し上げると椅子に少し当たってしまいずらした。

 しまっ……

 僕と女神様はその音を合図に一瞬で四つん這いを止め地面と同化するようにうつ伏せになる。

 ドシンドシン

 恐怖の足跡は音に気づいたのかこちらに近づくのがはっきりと分かった。

 すぐに女神様と目を合わせる。

『ハックどうするの?』

『今は椅子の下に隠れて過ごしましょう』  

 女神様とアイコンタクトで会話すると。ズタズタに破れている椅子の中に女神様と隠れた。

「…………」「…………」

 二人は息を止めて数十秒すると革一枚阻まれた向こう側にいる魔物が離れていく足音が聞こえた、

「行きましたね女神様」

「うん」

 ─────

 僕は椅子の中から出てすぐに回りを見渡した。

「魔物が居ない……」

 そう確認していると革と着物の音を立てながら女神様が椅子から出てきた。

「ハックどうしたの?」

「白い魔物達が居ません女神様、いまならどうどうと脱出できるかもしれません」

 自分達が今置かれている状況を女神様に話すとすぐに、

「なら早く脱出しようハック」

「そうですね女神様」

 僕達はこんな狭いところよりも道の広い方に変える。

「行きましょう女神様」

 女神様の手を引き僕は先導する。

「こんなに隠れて移動するけど、一体あれは何者だろうねハック?」

 女神様の言うとおりあのような魔物は図鑑にも乗ってないような存在で僕の知る由ではないが。

「白い魔物もあの部屋のガラスケースの中に入って居ましたね女神様」

「あのガラスケースの中身達と関係があるのかな」

 女神様はそんな事を口にする。

「関係……魔族、いやそれどころかこの世界に存在する人と関係があると言うのですか女神様?」

「えっ……うーん」

 女神様は言葉が詰まる。

「やっぱりわからない……かな」

 と、困った顔で返してきた。

 困り顔も大変眼福な女神様の顔を見ていると一つ思い、

「この塔を調べればもしかしたらわかるかもしれませんね」

 つい口に出すと、

「調べる?」

 女神様はその言葉に反応した。
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