婚約者は第二王子のはずですが？！

041☆王立学園どきどき入学危機一髪③

　とってもデンジャーな毒やらなんやらてんこ盛られた初日の食事。
　あはは、これじゃアリーはご飯食べられないね～なんて笑ってるギルバート様にイラッとして、横目で連行されていく給仕係とか料理人とか見てるとげんなりしてくる。
　そんなこんなで、背後関係調べて根刮ぎ締め上げるって嬉々としてるんだから転んでもタダでは起きないんだろうな、この人。流石右腕。
　殿下は殿下で煽り属性でもついているのかってくらい通常運転で。これも一種の炙り出し作戦？作戦なの？！
　食堂での高座にある王族専用席は今年は王太子殿下とその側近であるギルバート様のみが使える場所だったんだけどねっ！そんな目立つ場所に仲間入りなんてしたくないったらっ！！！

「シア、ほら美味しいよ」

「…………」

「次はこれが良いかな」

　現在私の食事は王太子殿下とシェアで、殿下が毒見後に口に運んで下さる。同じ釜の飯どころか同じ皿よ皿っ！なにせ羞恥に悶えながらの公開あ～んだ。しかも片膝に乗せられ給餌されている幼女って……端から見たらただイチャイチャしてる風にしか見えないこの現実。幼女といちゃつく王太子殿下って、ねぇ……げふん。

「…………自分で、食べたい、です」

　私には立派な二本の手と十本の指がある。なのにナニコレこの仕打ち。

「そういえば午後の授業は別になるな」

「ご令嬢方はマナーだっけ？」

「私わたくし達はお茶会の作法ですわ。もてなす側ともてなされる側に別れてのお茶会となります」

　以前三回も何度となくやったぜコンチクセウなお茶会な授業。今なら優秀どころか完璧にできちゃうわ。ちょっと身長足りなくてお茶を振る舞うサーブはできないけどね。

「流石に馬鹿でも彼女のお茶会で直には仕掛けてこないだろうからな」

「ウィル、マザーテレジアの前でそんなんやったら色々と終わるから」

「清廉潔白には公明正大だったか、本性を知ってると笑えるがな」

「僕的には笑えないけどね」

　ギルバート様に同感。私も笑えない。
　マザーテレジア……テレサじゃなくマリアでもなく、癒や世界セカの運営さんよ絶対キャラクターに名前つけるの……以下略前話参照ですわ。
　間違いなく学園内外に影響力のあるマザーテレジアはある意味女帝。表の顔は公明正大、ただしそれは学園の清く正しい生徒に対してのみ。彼女のお茶会で愚行を侵す馬鹿はいない。

「テレジア様、見た目は花も恥じらう乙女みたいですのに……」

「あれ、アリーって会ったことあったけ？」

「か、風の噂で耳にしたのです。テレジア様はグランフォード王国の陽ひの妖精姫でしたかしら？」

　危ねぇ、危うくやっちまう所だったぜ。
　二人は未来を見る力だと思っているのよね。私が学園に過去三回も通ってるなんて思っちゃいないもの。
　銀髪碧眼なお母様は月の妖精姫とかって二つ名があったけど、テレジア様は金髪翠眼で太陽の妖精姫とか言われていてグランフォード王国の今は亡き王弟殿下に嫁いだ公爵令嬢にして社交界のガチ女帝。子を授からなかった分、子供達を分け隔てなく育てる事を名言して学園に君臨するマナーの鬼。そう鬼！

「あれは妖精などという儚い例えは似合わない」

　殿下……怖いもの知らずすぎやしませんか？
　ああ、叔母甥でしたね。あはは。
　血の繋がりも無いとは言えない。だって、テレジア様って公爵家出身ですもの。大なり小なり降嫁したりなんだりかんだりで私もギルバート様もそれこそ王太子殿下もテレジア様とうっすら血縁ですもの。

「テレジア様のマナーの授業は素晴らしいとお聞きしていますから、楽しみです」

　疚しいことさえ無ければテレジア様は天使！目の保養！現在清く正しいアリシアは安牌だものっ！