世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

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救出作戦

モール

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ヒロを中心に作戦は立てられる事に皆が困惑した、
何よりも一番困惑していたのは当の本人である
ヒロ自身であった……

人の命がかかる、まして師匠と呼ぶ温川さん救出
と責任は重大だ、この人物はこのコミュニティ内
でも重要人物扱いである、失敗すれば彼等以外の
他の居住者の命運をも大きく左右する、
ましてや、よく知りもしないクリス達をも
巻き込んでいる状況だ、失敗すれば何をされるか
分からない、更にその連れと言えば得体の知れない
あの異星人だ……
クリスと言う人物も相当、頭が切れる、
温川さんと同等……いや戦闘や戦略においては
それ以上であろう。
更に行動も早く、敵に回すと侮れない連中だ。

だが同時に自分も失敗すれば責任を取って……
いや責任と言うより自身が此処に居る事が
出来なくなる、彼にとってはトバッチリ以外の
何物でもない話だった。

彼がなぜ選ばれたか?ハクが彼を選んだ意味は
至極単純な理由だった……
その一つ、彼は彼自身の心配より他人を思いやる
気持ちが大きかったからでもある、
指揮者は迷いがあってはならない、
苦難の境遇に立った時、自分を中心に考える者は
その土台を元に行動するからだ。
その土台は人の根底に潜む本性だ
良くも悪くも根底は早々変わらないが故に
脆い殻の中に強さがある、だがその本質により
強さの価値や限界が変わる事を知っていたからだ。

100%の成功率ならば問題はないだろうが、
いい所70%も成功率が低ければ敵ではなく
自分に負け、それは他人をも巻き込むだろう。
思いやる人間の思いは強い、何人もの決意と力、
己が挫けてもその思いの分だけ人は挫けても
立ち上がる力がある……

だがそれは諸刃の剣だ、同時に責任と言う厚く
冷たい壁を押し付け、指揮者自身の命を自分の
意思で危険に晒す事になる、
自分の意思だからこそ後には引けない、
枷は自分自身でより太く頑丈にする、
そして、そこから逃れる術は自分を
捨て自分を拾わなければねばならないからだ。

ポルキ「酷いやつだなハクと言う奴は……
自分に自信が持てない者は欠陥品だ、
彼は彼自身に押し潰されるぞ」
クリス「かもな……」
ポルキ「お前が指揮を代われる筈なのに
何故変わらないのだ、今回の失敗は全てを
巻き込むぞ、お前も酷い奴だ、適材適所、
我ら種族は臆病者は居ないが効率が
悪い事は決してしない」

ナイフを研ぎながらクリスはヒロを見ていた。

ヒロ「まっ……先ず足りないものがあります、
広範囲に作業を安全にする為にも、
ゾンビの動きを封じ込めなけれななりません、
彼等の様に様子を見て五階から飛び降りて、
作業するなんて僕達には到底無理ですから」

「その為にロープが欲しい、廊下に至る所にある
柱にロープを括り付け、ゾンビの動きを制限、
分断させる、ロープが一番早くて封鎖しやすい」

山田「まぁロープ封鎖なら掻い潜って来ても
数が少ないゾンビなら対処できるかもな」

村木「ケッそう簡単に行くかねぇ……」

そう言うと奥の部屋のドアの鍵を開け手をやった。
村木「テメェ!奥の部屋あけんじゃねぇよ!」

顔を真っ赤にした村木がヒロに駆け寄り胸倉を
掴むとすごい形相で睨みつけた。

ポルキ「助けないのか?」
クリス「ほっとけ、内輪揉めだ……俺には関係ねぇ」
ポルキ「……」

ヒロ「でもこの人数じゃ用意する時間も手間も
足りないんですよ……」
村木「それがどうした!此処の人数やら、装備
アイツらに見せて何かあったらテメェの命一つで
責任取れるなんて思うなよ!」

ヒロ「……」
苦悩する表情をする彼だった、が、
何かをしようとする前に全てを恐れては何も成し
得ない、現実と最悪の事態を想定してのあらゆる
予測が彼に苦悩と壁を厚くしていく。

その時、三階部分から何やら自然と崩れた音では
無い、破壊音が聞こえてきたのだ。

山田「おい!見ろ!レイダーだ!奴ら3階部分に
穴開けてやがるぞ!」

皆が一斉にスロープにもたれ音のする場所を
凝視すると其処には複数名のレイダーがハンマーや
ツルハシを使い外壁を壊していたのだった。

村木「くそ、しばらく大人しくしていたと
思ったらこんな時に!何故今なんだ!」

レイダーは穴を開け、中に血みどろの羊や傷ついた
犬や小動物を投げ入れている、ものの数分の内に、
外からゾンビの集団が中へと入って来るのだった。

村木「あの一角は異星人襲撃の際、爆破で土が
盛り上がり建物も傾いてる場所だ……あの場所なら
三階と地上の高さは関係ねぇ、外にいるゾンビを
奴らが中へ誘導して中に入れる事が出来る」

地獄の亡者のような動きがウジが湧きでるかの様に
所狭しと獲物目掛け侵入する。

クリス「悪いタイミングだな……意図的なのか」
ポルキ「タイミングが良すぎるな、
何か意図を感じる、俺が敵なら、此処にいる人間を
外へ出さない為……そして」
クリス「そして内部の人間を殲滅する目的か、だろ
もしくは別の意図か……」

ただでさえ不安材料が多いこの環境に追い打ちを
かけるレイダー、皆が不安な表情を見せた……
ヒロは目を瞑る……
(どうする……無理だもう、今からでも
クリスさんや村木さんに代わってもらうのが良い
なんで僕なんだ……責任なんか取れ無い、
力も知恵も僕にはこの状況を打破する事なんて)
「出来無い……」
彼の頭の中で悲惨な光景が浮かび上がる
懐いてくれた子や、僕に色々教えてくれた年配の
方や然程、仲良くない人が襲われ、血を流し、
叫びながら食われていく姿を
それが頭をよぎった時、ハクのメモを思い出した。
ハクは戦略の項目より彼への手紙が大半を
占めていた。

その言葉の一つ
「責任なんて言葉は自分が作った幻想
他人に強制されて最初から出来無いと感じる事から
始める出来事と決意を持って始める出来事は
やる事が同じでも意味も結果も違う
責任を感じるならソレは他人からではなく
自分自身で作り背負う事こそ力を発揮する」

目を開け現実を見る……
「意味わかんねぇよ……」
訳もわからず追い詰められる状況に
歯を食いしばって自分を奮起させて力一杯
手でドアを開き叫んだ。

「村木さん、もう後も時間も無い!
出し惜しみして作戦が失敗でもしたらソレこそ
全てが終わってしまうんだ!彼等が敵であろうが
味方であろうが、本来の目的を見失っては
それこそ何も無い!全てを失うんだ!
それに此処は子供、病人が多い、
だから急ぐ必要があって温川さんは動いた結果
こうなったんだ、もうやるしか無いんだよ!」

叫ぶ様に彼は言った、もはや自分の意思かも
わから無い、ストレスからの切れた言葉なのかさえ
自分自身わからずただ、叫んだのだった。
最後に「もう嫌だよ……」言葉を小声で呟いた。

彼の言う通りクリスが横目で見た部屋の室内は
寝込む者や子供、老人達が所狭しと
横たわっていた。

ヒロは村木の『手を捻り振り払った』
クリス「……ほう」

ヒロ「聞いてください!紐が大量に必要です、
皆さんが着ている服も繋ぎ合わせたい!
体調の悪い人も居るだろうけど、少し我慢して
衣服やロープ集め手伝ってくれませんか!」

彼の心配を他所に不満を言う者もいなく
事は急がれた、それは彼等も今の現状が逼迫
している事を理解していたからだ、
また力無く倒れる者、怪我をし満足に動けない者
何も出来ず悔やんでいる者、村木の思いに感謝
しつつも待つだけのもどかしさや苦痛から逃れる
術でもある、彼等は何か出来る事で恐怖を紛らわせ
同時にそれは生きる希望にもなり得るのだ。

待ってる者の為に戦う事も大切だが待っている者も
また出来る事をせずにはいられないのだ、
ただ……人に任せ終わりを迎える恐怖に耐えている
事を理解してのヒロの言葉ではなかったが、
それはまた一致団結という絆を深めたのだった
それ程に追い詰められている状況の証とも言えた。

ポルキ「彼等から恐怖が薄れ始めている……」
クリス「限界だったんだろうな、
全て人に任せるのも勇気がいるものだ、
人は弱い、だが、こうして団結出来れば、
それはまた勇気にもなる、なかなかどうして……
意図はしてないだろうが
指揮者らしいじゃねぇか……」

ポルキ「自ら命を危ぶむ事に逆に命を救う事にも
なるのか?我らに恐怖はないが……
またこのような戦いに於いての私達種族とは
また違う感覚、我らのは殺戮の為の喜びに似たモノ
彼等人間のは、連帯感が伴った高揚感……
そう表現するべきか……
こういう類の感情表現、
種類は今まで見た事がない」

クリス「不安定だからこそ、自由意志だからこそ
生まれる勇気もあるってこった、
理屈こねててもわからねぇもんだ、
冷めた目で世の中や人を見ていた俺も
目の前にあったかも知れない、その類
を見落としてたのは同じだったがな、
まぁ奴はそこまで意識して言った言葉では
無いだろうが結果良ければそれで良い、良いんだ」

こうして服を縫い合わせ完成した太い擬似ロープは
足場の輪っかも有り四階へと移動する手段を得た、
手の空いた者はドラム缶を叩きゾンビを誘導
数が少なくなった位置からスロープを跨ぎ、
紐の輪っかに足をかけ、クリスを先頭に下へと
移動する……

下に先に降りたクリスが一本のナイフを口に咥え
左手にナイフ、右手に銃を構えながら
安全を確保する、掃討を確認後ヒロ、山田、
村木、他5名が4階へと降り立ったのだった。

ヒロ「まずはハクさんが確保したショップの
出口を塞ぎます、同時に左右の柱にロープで
ゾンビ侵入を封鎖します。
クリスさんが掃討してくれましたがゾンビの足で
この場所へ到達するまで約2分もありません
急ぎお願いします、後の概要はやりながら伝えます

山田「了解」
村木「……」
クリス「おらボサボサしてる暇はねぇぞ!」

一斉に作業を開始、ゾンビホイホイの出口を封鎖、
出入り口の狭い隙間に斜めに板を貼るだけで
直ぐに完了した。
ロープを張る作業も素早く完了し
西はクリス、東側を山田と村木を中心に殲滅、
ゾンビを棒や水道管の様な鉄パイプで倒していく。

ヒロ「今の内に封鎖したショップに並列する
左右のショップに同じ仕掛けを!
終了次第、陣地を拡大して行きます、
何かあっても安全地帯の確保と店の中の
何か使える物資集めを同時に行ってください。
最終的には3階廊下の西側の端の美容室の確保、
その場所を確保して下さい。
それはハクのメモに記載してある項目だった。

ヒロ「第二陣、降りてきて下さい!」
赤井を先頭に追加5名が下へと到着

山田「出来たみたいだぞ!これでホイホイ部屋は
三つ、っても一つは封鎖したか、二つだ!」

常盤「でも此処からどうやって広げるんだ?」
ヒロは考えていた、廊下にいるゾンビの数は
東に5体、西はクリスが担当しているが数は
12体、だが凄まじい強さで掃討していく
彼の強さに援軍は必要ないと判断した。

ヒロ「クリスさん以外みんな集まって!」
そして作戦を話す。

「いいですか、これは中世や三国志の世界でよく
使われた防御方法です、板を盾とし、此処に居る
6名が壁を作りながらゾンビを階下へと
押し出して行きます、そして2人は紐を柱に
括り付け簡易封鎖をお願いします。
最後に残り2名はクリスさん側でロープ担当で、
行ってください」
赤井「クリスの援護だな、了解した……いくぞ」

ヒロ「こちら側は僕達がこの状況でゾンビを素早く
掃討するには、これしか方法がありません……」

山田「声が小さいぞ、もっとハッキリ言え」
ヒロ「あ、はい」

常盤がバールで剥がしたショップの壁から取った
石膏ボードを持って来た。
常盤「これだな、確かに壁一面、沢山あるぜ」

ヒロ「す……すいません石膏ボードは駄目です、
脆い上に雨でガスが発生する事も考えられる、
その奥のベニヤボードを使用してください……
手間はかかりますがよろしくお願いします、
そして板に穴を開け、降りてきたロープを切り、
穴に通し、握れる取手部分を作ってください……」

常盤「めんどくせぇな」
ヒロ「すいません……
ただ剥がす際の石灰は目潰しに使えます、
解体時出た石灰はポケットでも入れておいて
握れば簡単に砕けるのでイザと言う時
ゾンビの目に振りかけて使ってください、
振りかける際は自分にかからない様、十分注意、
解体の際もマスクやハンカチで肺に入れない
様に安全を忘れずに」

山田「言葉はまだ、おどおどしてるけど
的確じゃないですか村木さん、
こいつ普段パシリっぽいけど良いんじゃ無いですか
さっきの盾のアイデアといい」

村木「ケッ言うだけなら誰でも出来るわ、
俺達が守ってるから言えるんだろ」

山田「……もう捻くれまくってんだから」
村木「何か言ったか?」
山田「いや、何も」

クリスは掃討を目視できる脅威範囲全て倒して
作業を見守りながら不意に出てくる可能性の
ある倒れているゾンビを一体、一体、
トドメをさしていった。

クリス「急げ、ゾンビ集団が近づいてるぞ、
まずは一陣て所か、東は7体、西は……
ウへ……こっちは10体か」

ヒロ「やれますか?1人で」
クリス「ハッ、よく言うぜ……
わざわざ聞いてるって事はやれって事だろ」

ヒロ「すいません……」
クリス「謝るな、存分に使え……
て言ってもこりゃキツイが
だが、やるしかねぇなら……やるだけだ、
ポルキ、お前にナイフ渡しとくぜ、
リックからゾンビに一泡吹かせてやれ、
ゾンビもびっくりチート級の三刀流だ!
久々の横スクロールアクションゲームって所か、
へへへ燃えてきた、コンティニュはないぜ、
リプレイも無しだ!」

ポルキ「了解した、お前が殺されて困るのは
私も同じだからな」

1体、2体、次々とまるで嵐を連想させて戦う
死角である背後もポルキがいる事により
前方に極限まで集中するクリスだった。
回転攻撃を中心に3本のナイフは駒のように回る
クリスを中心に弾け飛ぶゾンビ、旋風につぐ旋風
韓国のテコンドーの様に足技を絡めた見事な
連携技が炸裂する。

左右のショップに罠を張り、戦うクリスの背後で
西側のショップも次々と罠を仕掛けていく
盾の押し出し作戦も隙間なく6人同時に押し出し
減った所で作業分担を繰り返していった。

村木「くそ!コイツら臭ぇぞ!
とっとと落ちやがれ」
山田「このゾンビ重い!重いよ!脂肪位
ゾンビらしくガリガリになっときゃがれってんだ」

時折、押し込まれる際、盾の隙間から伸びる手が
彼等の恐怖を駆り立てるも、背後のクリスの強さに
感化され奮起する6名、
だが最後のゾンビが曲がったスロープ角で
引っかかり山田を押し倒した。

山田「ヒィ!女ゾンビだけど嬉しくねえ!」
ガリガリと歯を立てボードに爪を立てるゾンビ
痛さが無いその手はささくれたベニヤの棘が
大量に刺さり山田を縦の隙間から狙う。

村木「山田、大丈夫か美輪、片岡!お前らで
左右で押さえ込んでゾンビ女を動けなくしろ!
その間に山田を救出する!」

押さえ込むも角には柵が生きており、
上手くゾンビを挟み押さえ込みが出来無い。
虚しく懸命に2人で押さえるも盾同士が
カチャカチャ音を立てるばかりだ、

村木「くそ!盾のまま突っ込んで落としてやる
離れろ2人とも!」

片岡「駄目だ!村木がいる場所から角度的に
スロープの柵が邪魔で落とすことが出来無い」
村木「このままじゃ、スロープごと
叩き落としてやる!」

興奮気味の村木
山田「村木さん!ゴリラじゃ無いんだから
無理ですって!そんな事したら2人とも女ゾンビの
餌食になるだけっす!」

落とす事ができない上に盾の脇から見える
生きた獲物、山田への執着心があるそのゾンビが
動けない山田へと2人の盾の隙間から手を伸ばす。

山田「くそ!コイツなんんで俺にこんなに執着心
持ってんだ!美少年だからか!そうか!」

村木「言ってることが錯乱してるぞ山田……」

ヒロが上着を脱ぐ、それを左腕に何重にも
絡ませ言った。

ヒロ「片岡さん、美輪さん!盾を退かせて!」
村木「馬鹿野郎!んな事したら山田が!」
ヒロ「僕が囮になります」
山田「なんでもいいから早く助けてくれ」

村木「正気か?」
ヒロは頷いた、選ばれた理由その2、
彼は追い詰められると、冷静になる、人の多くは
錯乱する状況である時、大抵冷静さを失う
だがヒロやハクの様に常にもの事を分析し考える事
が習慣になっているもの以外は状況に応じて
考えた事からはみ出た時の応用さが無い、
だがこういった人種は『なんとかなる』を
なんとかしてきた人種と言っていい、故に危険が
迫るほどどこかにある自信が冷静さとなり
より状況を打破するために余計な恐怖や考えを
安易に捨て集中出来す事が出来るのかもしれ無い。

クリスは高揚感と経験、誠は純粋なる単純さの強さ
純衣は類稀なる才能に身体能力、迷いの無い本能的
純粋さ、それぞれが、違う種類の強さを
持っているが、発揮できる強さの頂は同じなのだ。

村木「どうなっても知ら無ぇぞ!」
ヒロ「離してください!」

指示通り2人が押さえつけた女ゾンビを
同時に離すと抑えがなくなったゾンビは山田に
全体重をかけ襲いかかる、重さが一気に加わった
事で板が斜めになりゾンビと仲良く添い寝状態に

山田「うっ、綺麗です……ね」
冷や汗混じりで顔が青ざめる山田を見ると首目掛け
捻り込むように顔を突っ込んだ。

山田は思わず身を縮こませた。
だが、その口にはヒロの服がぐるぐる巻かれた腕が
押し込まれていた、捻り込む様に腕を口の方へと
押しやり、女ゾンビの長い髪をワシ掴むと
ボロボロと抜ける髪ごとそこから引き抜くように
立たせスロープの端に追いやり一気に4階から
落としたのだった。

山田「うわぁん助かったよ!童貞のまま
果てる所だったよぉお」

村木「そりゃ大事だな」
片岡「良かったな……本当に」
山田「ありがとう、ありがとう……なんか言い方が
逆に心が痛いケド」

ヒロ「立って!話は後で!」
即座に持ち場に戻り体制を立て直し、罠を仕掛ける

ヒロ「こちら側終わりました!」
村木「上の者!ネズミ捕まえたか!」
上の階「大量だ、言われた通り、出来るだけ透明に
近い容器に入れてある、下すぞ!」

仕掛けは終わりクリスを見ると既に三階から
侵入してくる経路となる場所へと到達していた。

クリス「おいソロソロ限界だ!俺が押さえてる
間に此処に通じる通路を塞いでくれ!」

ヒロは駆け出した、村木がそれに追随し2人が
駆けつけクリス側にいるゾンビの頭を
棒で殴りつける。
クリス「もって後3分だ!い……いや5分粘る!
その間にバリケードを作れ!」

2人はすぐそこにあるショップに駆け入り
使えそうな棚やレジを出し、簡易バリケードを
素早く作る作業に入る、
村木「間に合わねぇ!2人じゃ無理だ」
と同時に上から援軍が到着

ヒロ「お爺さん達!無理しないで!」
お爺さん「馬鹿野郎、今無理しなきゃ体が
どうのこうのも言えないじゃろうが!」

村木「確かに、ジジイ!後で落ち着いたら湿布
一階で探してやっから骨が折れない程度に
頑張りやがれ!!」
爺さん「ボケが、70舐めんなよ!引っ越し業に
勤めて40年、お前らより運び方には慣れとる
おら!手伝え皆!」

ヒロ「僕、常盤、片岡さんで紐部分のゾンビ掃討、
他の人はその間に紐を縦に結び隙間からゾンビが
入れない様に結んでください!
残りはバリケードの為に荷物を運び積んで
いってください、めちゃめちゃで構いません!」

とりあえず侵入口を端と端から詰めていき
積んだだけの簡易バリケードが出来、残すは
クリスの粘る一角のみ

村木が一際でかい棚を持ち後に立つ
村木「ムムム!重いぞこの野郎!ヒロ!合図だせ」
ヒロ「クリスさん、1、2、3で退いてください!
村木さんのバリケードと入れ替わります!」
「1、2、3!」
ステップを踏むようにクリスが
下がると同時に、その隙間に押し込むように
服売り場の棚を押し込んだ。

クリスは腰を下ろし大きくため息をつくと
荒い呼吸を整える姿勢に入る。

クリス「よくハァハァやったな、しかしハァハァ
絶え間なく戦うリアル横スクロールアクションが
こんなにしんどいもんとはな……今度は敬意を
持ってプレイしよう……」

そう言うと拳を後に居るポルキに突き出すと
ポルキもまた拳を合わせた。

クリス「へっ分かってんじゃねぇか」
ポルキ「成る程意味はわから無いが悪いもの
ではない人間の挨拶だ」

常盤が水筒をクリスに渡すとクリスはポルキに
一番にそれを渡した。

ポルキ「……炭酸水素イオンに塩化物イオン
硝酸イオンにケイ素イオン、マグネシウムに
アンモニア、カリウム、カルシウムイオンか」

クリス「ごちゃごちゃ言ってねぇで飲め、
俺も喉が乾いてんだ」
ポルキ「先に飲めば良かろうが」
クリス「こう言うのは功労者が先に飲むんだよ」
ポルキは不思議な顔をしながらソレを飲むと
少し驚いた表情を浮かべながら
俯きながら呟いた……

ポルキ「……この星の水は生態を知るために
何度も飲んだ事がある……が」
クリス「美味ぇだろ?」
ポルキ「確かに……だが不思議だ、同じ筈だが」
クリス「同じじゃねぇよ、今は俺とお前のコンビで
ヤバい状況を切り抜けた、そういう味だ」

ポルキ「複雑な味だな……」
そう言うと一気に水を飲み干したのだった。
クリス「あー!お前!俺の分まで飲みやがったな!
愛がねぇぞ!この野郎!」
ポルキ「……愛?」
クリス「……めんどくせぇ奴だな」

ヒロがもっていた水筒を笑いながらクリスに
渡したがそれを落としてしまった。

ヒロ「クリスさん……手が」
クリス「……ヤベェな、ちと使いすぎたか」
クリスの手は震え痙攣が起きていた。

村木「アンタ、そこまで俺たちの為に……」
クリス「馬鹿言ってんじゃねぇよ、こっちの
要求も飲んでもらいたい為だ、
自惚れてんじゃねぇよ」

村木「ヒロ、お前のせいだ責任取れよ、
この人の戦闘能力頼りだったのに、
これじゃなんの意味も無ぇじゃねぇか!
お前が采配が悪いからこうなったんだからな!」

ヒロ「……すいません」
クリス「気にすんな、自由に使え、てか村木
俺がこのくらいで使い物にならねぇってのか?
それに一旦此処で休憩だろ?後は自然と崩れる
バリケードが壊れ侵入してきたゾンビが罠に
かかり数が減った所を明日処理する、
後は上に上がりゃ、休める時間は
充分あるからな」

だがそうは上手くいかなかった、上に上るための
紐は爺さん達が降りてきた最後の紐のみ
残りの紐は封鎖のために使い残りはゼロだった。

山田「こんな細い紐で降りてきたのか……
爺さん無理して……」
爺さん達「ワシら体重軽いからの、着てる服も
脱いでの参上じゃ」
村木「馬鹿野郎!裸で来て怪我したら感染症に
なるだろうが!」

その時再び人工的な壁の破壊音が再び聞こえた。

山田「まずいまずいまずい!
五階にレイダーが3人いるぞ!」

村木「何!」
上の階では年配や怪我人、女達が懸命に抵抗するも
力のあるレイダーに成す術は無く、殴られていた
動けるものの大半は下に移動、その隙を伺って
反対側の東側から侵入していたのだ。

クリスは銃を向けるも通路の屋根にすぐに姿は消え
狙うことが出来ない、
村木「やめてくれ!上には俺の子供がいるんだ!」

山田「上の護衛は何やってんだ!」
上の階「だめだ、3人とも刺された!
重症ではないが」

村木「テメェ!ヒロ!どう言うこった!」
クリス「やめろ!上の階に俺以外誰が居たって
結果は同じだ、戦闘に慣れてる奴らに抵抗できる
人間は此処には2人しかいねぇ
此処の階も今の人数で手一杯だった筈だ!」

クリス(くそ、俺としたことがレイダーが姿を
見せた時、予測出来た事じゃねぇか……)
ポルキ「気にするな、予測出来たとて、同じ事だ
どちらを優先しても結果は同じ、階下のゾンビ対策
が成功しただけ上手くいったと認識すべきだ」

抱えられる子供を3人拐らい階下へと移動する
レイダーはロープにぶさ下がりながら、土台が緩い
場所目掛け手榴弾を五階へと投げ入れた。

村木「駄目だ!崩れる!マヒロ!」
願い虚しく壁の一部のヒビが大きくなり始めた瞬間
雷の様な紋章を描きながら崩れる瓦礫。

レイダー「まっこんなもんだろ、これで奴ら
此処からしばらく出れねえ、人質も取った
報告に帰るぞ」

崩れる瓦礫の横で一階へと降りたレイダーの
不敵に笑い立ち去る様に後を向いた時
落ちる瓦礫の隙間を縫ってクリスの銃が
彼等の後頭部目掛け3発打ち出される、
無慈悲な行いに制裁を与えるかのような銃弾は
的確に、そして残酷に脳にめり込み、
何があったか気づきもしない程の連射を喰らわせた

レイダー「……あれ目の前が、暗い」
レイダー2「俺……も」
3人が同時にフラフラと人形の様にふらつき
瓦礫の崩落の方へと千鳥足で倒れると上から大きな
瓦礫の下敷きとなり果てていった……

子供らは崩れる瓦礫の奥の安全な場所へと身を
震わせ泣きながら抱き合うように隠れる
徐々に埃と塵が子供らの姿を消していく……

村木「マヒロ!マヒロ!マヒロ!」
叫びながら直ぐに助けに行きたい村木が
崩落の中に身を投じようとする村木を
ヒロ達が後ろから懸命に止めるのだった。

村木「離せ!殺すぞ!」
ヒロ「僕を殺すなら生きろ!
今落ちたら貴方は確実に」
村木「確実になんだ!行ってみろ!クソ野郎!」
周りを蹴散らしヒロの胸倉を掴むと
60キロあるヒロの体重を軽々と持ち上げる村木、
そのどうしようもない怒りや悲しみを力に
変えてヒロを締め上げる。

クリス「争ってる場合か!村木!お前の図体で
瓦礫に飛び込んだら、瓦礫に当たらなくても
地面に落ちた時、自らの体重でタダでは済まない!
ヒロはそれが言いたかったんだ」

村木「ぐちゃぐちゃウルセェ!お前も殺す!
……俺なんかどうでもいいんだよ」
常盤や周りの仲間に再び押さえ込まれる村木は
口から泡が吹く位興奮していた。

大規模な崩落は落ち着いたものの
東側は端から徐々に未だ崩れていく、倒壊は連鎖し
運が悪ければ通路半分まで崩れ壊れる可能性が
あった。

山田「村木さん……」
クリス「俺が行く!山田!紐の先を柱に縛れ!」
山田「は、はい」

その前にヒロが立つ
ヒロ「クリスさんは駄目です、今ここで貴方が
居なければ再びレイダーが来る可能性も
否定出来ない、そうなったら此処は確実に
全滅してしまう」

振り返り吹き抜けの中央にブラがっている
巨大ツリーを見るヒロ。

ヒロ「クリスさん……」
クリス「まさか、お前……本気か?飛ぶつもりか、
落ちれば助かる事は無いぞ」
ヒロは静かに頷いた。

山田「無茶だ!安全の為のロープも罠で使って
もう長さが足りないぞ!自殺行為だ」

ヒロ「体重の軽い僕ならあのツリーに
ぶら下がってもツリーが壊れる確率は低い、
あそこからなら崩落に巻き込まれず
下へと素早く行く事ができる」

クリス「まともにブラがれるとで……」

ヒロ「いいから!時間がありません、早く!」
クリス「……わかった、俺が直々に地獄へお前を
送ってやるから、お前は、お前を信じて飛べ!」

クリスは廊下ギリギリの長さしかないロープと
自らのベルトにフックを取り付けるとヒロの横に
立った。

クリス「行くぞ……」
ヒロ「早く!間に合わなくなる」

クリス「上等だ!」
そういうと2人は同時に駆け出した、
長さの短い廊下を2人は全力で走る
先端の廊下の端へと着くと大きく彼等は同時に
飛び出した、蠢く地獄のゾンビが群がる
崩落の上を大きく飛ぶように、

端の最後の踏み込み時にクリスの手はヒロの背中を
力の限り押し出していた、更に同時に踏み込んで
宙を舞い最後の一押しまで、

クリス「ヒロ!お前はお前らしく居ろ!
それがお前の壁を壊す!
お前の強さはそこにある!」

ヒロは大きく羽ばたいた……それは周りの者からは
スローモーションの様に見えた、
弧を描きながら人が宙に舞うように、
中央にブラ下がった巨大ツリーのオブジェに
しがみつくヒロの体は重力の力で下へと
引き込まれる、バタバタと手足を何とか
引っ掛けるも、枝部分は脆く次々と折れて行く、
次第に手に巻いた防護の為の包帯がわりの
テープが捲り上がり掴むのも困難になっていった。

ヒロ「くそ!止まれ!止まってくれ!」
願い虚しく遂に手に巻いた包帯が一気に弾け飛ぶと
大きくバランスを崩したヒロの体は頭を下に
下へと真っ逆さまに落下、オブジェであるツリーの
枝が大きく揺れ動き、今度は二転三転と体を
回転させながらも一番下の面積の大きい葉の付いた
枝に体をバウンドさせて一番下へと落ちて行き
姿が見えなくなった……

そしてクリスの体はロープに阻まれ大きく跳ねる
様に空中で引き戻されると壁に激突した、
山田達がクリスを引き上げるっもクリスは全身を
強く壁に打ち付け咳き込んでいた。
息も苦しそうだった、這いつくばりながら
自身のナイフのある場所まで辿り着くと片膝を
付き足を震わせながらも懸命に立ち上がる。

村木は押さえ込まれながらも涙が止まらない
「何で……そこまで」
クリス「お前が生きてなきゃマヒロが悲しむ
だろうが、子供を泣かせる親父は最低だぞ
立て村木……ヒロは立ったぞ、綺麗事は言わねぇ
だがなヒロはマヒロが生きてると信じて
飛んだんだ、お前が這いつくばってどうする」

村木は顔をぐしゃぐしゃにしながらも
自らの拳を握りしめた、涎を口から出し、涙が
溢れ鼻水まで出しながら歯を食いしばった。

クリス「……もう大丈夫だ、離してやれ」
山田達はそれを聞き村木を押さえ込むのを止めた。

「休憩してるケホケホ……暇はねぇ、来たぞ、
いいか左右から来るゾンビ右はお前ら戦える者
全員で対処しろ、左は俺と村木で対処する
突破されたらその時点で犠牲者が出る、
そして転化し、その時点でエンドだ」
山田「だからって左を2人で?無理だ、そんなの」

クリス「……無理かどうかは、お前が決める
もんじゃねぇ、村木……やれるよな?」
村木は黙りながらも頷いた……

クリス「だそうだ、当然、俺も俺自身が
やれるかをどうかを決める」

山田「無茶な……」
クリス「いいか、送り出した側にも責任ってのを
理解しろ、それにな……あんなの見せられて
出来ないなんて言う奴は男じゃねぇ」

クリス(ヒロ、お前の強さは迷いがなくなった時だ
決断の早さ、人への思いは普段お前の中に隠れて
身を潜めているが、解き放たれた今、お前は強い
力の強さ云々じゃねぇ、本当の強いって言うのは
そういう強さだ、そっちは頼んだぜ……
コッチは必ず守ってみせるからよ……)

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