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救出作戦
違和感
しおりを挟むクリス「……」
焚き木を囲む皆を見る事も無く火のくべられた
巻木のパチパチと言う音と灯りが地面に揺ら揺らと
動く様をジッと見つめていたクリスだった。
今まで語った過去話が本人かどうか解らない
恐らくクリスの過去と言う彼等に嘘をついた
後めたさが彼の胸を痛めていた、
だが本人にも自分がどちらなのか確たる確証は無い
完璧な工作に今まではどうでも良いと思えた過去が
信じられる仲間と出会ったあの日から
信頼をすればする程彼の心を痛めた。
複雑な思いで彼等を見るのが怖かったのか
クリスはただ俯いていた、重い空気と
時間が恐ろしく長く感じる。
その時、相葉が叫んだ
相葉「おい!誰か来るぞ!逃げてる様だ」
一斉に蜘蛛の子を散らす様に散開する、
誠とクリスは相葉が指差した方向から死角になる
木の後に隠れ、ハクは猿の様に素早く木の上に身を
隠し素早く近づく人物を探し始める。
相葉「へ?皆消えた?」
出遅れた相葉はオロオロとしながら走りくる人物と
反対方向へ走ったが素早い動きに慣れてはいない
足がもつれ転倒しながらも慌て落ち葉を
掻き集めるとその中へ潜り込んだ。
誠(おいおい尻丸出しじゃねぇか……)
慌て誠が木の影に隠れながら素早く移動し
相葉の近くで待機しながら相葉に小声で囁く。
「おっさん!ケツ見えてんぞ!」
相葉は震え縮こまり声も届かない様だった。
誠「仕方ねぇ……俺はこの場でおっさん護衛
すっからハクが指示出したらここからじゃ見えねぇ
クリスお前の位置なら見えるだろう、動きを俺に
教えてくれ」
クリスも物陰に隠れながらナイフを構えていた
誠の言葉に頷くとハクの方を見ると確かに何か
合図らしき物を送っていたそして誠に同じ動作を
教えた。
木の上に登ったハクは指で合図を送る
人差し指で来る方向を刺し進路をなぞる
到着時間を指を折って教えた。
クリス「何人だ……」
誠「おい聞こえるか」
小声でクリスに語りかける
「人数確認は指で歩く模写をするんだ!
俺達サークルの合図だ、ハクには通じる」
クリス「了解だ……こうか?」
人差し指と中指を使い人の下半身の足を表現し現す
ハクはオデコに指を2本置いた
クリス「おい誠……ハクがオデコに2本指立てたぞ
どんな意味だ」
誠「それは文字だ、オデコならア行だ、で二本指
つまり『い』になる」
「ついで口はカ行、喉はサ行、胸はタ行、腹は
ナ行、股間はハ行、右足がマ行、左足がヤ行
右腕がラ行、左腕がワ行だ、ンはお尻ペンペンだ」
クリス「……成る程、合図は大抵言葉を纏めて
集約した文を合わせるが、会話できるのか……
分かり易いが最後が何かむかつくな」
誠(そういや純衣だけは『ン』は意地でも
使わなかったな……
合図決めた晴に突っかかってたな)
クリス「どれどれ……移動はストップ、
相葉のケツを囮に捕獲……か」
「成る程、的確だ、便利だな……これ」
伝達内容を誠に伝えると行動は開始された。
息を切らしながら1人の男が駆けてくる
見た目は普通の男であったが手にはナタの様な
物を持っている。
誠はクリスに合図を送った。
『おっさんのケツが割られる前に俺のバットで
ナタを叩く、お前は背後から捕獲してくれ』
頷いたクリスは素早く身を低く、近づく男から常に
死角の場所を選び大回りし男の背後に回り込んだ。
男「ハァハァ……何だ?追手か!いやまだ
見つかってない筈だ……そもそも追手がケツ出して
俺なんかを怖がるはずはねぇ……」
ナタを構え尻を出す相葉に近づいて行く男
男「おいお前!食料持ってるか?俺によこせ!」
相葉「持ってない持ってない持ってない!ヒェ」
男「……無い筈無かろう!焚き木する余裕がある筈
大人しく出さねぇとケツ四つに割るぞ!」
相葉「ヒェ!他の奴らに言えよ!俺はホントに
持ってねぇんだ!」
男はギョっとした表情をした。
仲間がいる事に気付いた彼は持っている武器を手に
相葉を人質に取ろうとナタを振り上げ近づいた瞬間
誠のバットがナタ目掛け一気に振り払う様
スイングする、メキッという音を立てたかと思うと
バットがナタの刃にしシッカリと食い込んだ
間髪入れず誠は手に持つバットを一気に捻り下げ
男の手からナタを奪う、と同時にクリスが背後から
男の首目掛けナイフを突き立てたのだった。
クリス「動くな」
誠「もう大丈夫だ、おっさんのケツは守られた」
相葉は辺りの様子をキョロキョロ見渡し、安全を
確保したのがわかると立ち上がりケツが無事なのか
念の為、確認する様に触ったっかと思えば……
「俺を囮にしやがって!」
と強がりを言っていた。
ハクも木から降りてきて男を囲み尋問する。
ハク「僕たちは敵ではありません、ただの通り
すがりの者だけど、追われている様でしたが……
先ずは名前を教えてもらえますか?単刀直入に
言うと素直に言う事を言えば食料及び逃げている
ならば、そのお手伝いもしましょ」
男はハクの威圧感の欠片もない緩んだ顔に
安心したのか息撒いた様に言った。
男「あぁ?俺に指図すんじゃねぇよ!
ブち殺すぞ、お前らこそすぐ俺を離さねぇと
離さ……ねぇ……と」
語尾が気弱になった理由は誠とクリスがハクに
息撒いた途端、2人でその間に顔を挟み睨みつけた
からだった。
誠 「離さねぇと?あ?」
クリス「ブチなんだ?あ?」
相葉「俺も混ぜやがれ!ケッ、ケツ割るぞ!」
男「いや……あ、尻は元々割れて……」
ハク「お名前は?」
男「……岳」
ハク「では岳さん、何故逃げてきたのですか?
素直に言えば何もしないし食料も分けます」
岳「……わ、わかっった、ともかく
この2人俺から離してくれ……」
ハク「了解、2人は離れて」
そう言うと岳の顔の前でクリスはナイフを舐め
異常者の様な顔で睨むと離れた。
ついで誠は血のついたバットを彼の前で眺め
不適に笑うと同じく背後に回った。
岳「……ここ、こいつら異常者か?お前ら本当に
アイツらの仲間じゃねぇんだな?」
しかしハクの顔を見て改めて仲間ではないと
認識した様だった。
岳「こんな間抜け顔してる奴いる訳ねぇか」
それを聞いた2人が岳の背後で殺気が高まる。
岳「ヒィイイやめてくれ、言う言う!何でも
聞いてくれ!」
ハク「……僕の顔って」
「まぁイイや、岳さんが逃げて来た方向は
施設からですよね、中の人員、及び生活、
それに雪丸と言う人物について知ってる事、
全部言って下さい」
岳「そうだ!お、俺はあの施設から抜けて来た
アイツらは異常者だ、も、もう付いて行けねぇ
今日は祭りだ、だからチャンスと思い抜けて来た」
ハク「落ち着いて、一つ一つ整理して
言ってください、相葉さん、お茶入れてあげて」
相葉「年上に向かって指図しやがって
それにケツケツ言うから俺も脅したのに……」
ブツブツ言いながらも素直にお茶を入れる相葉。
その内容は信じがたい物だった。
三つの施設で成り立つこのコミュニティ
一棟は調査で確認のグリーンマン
一棟はゾンビ捕獲及び管理、刑務所の役目も果たす
一棟は住民による人間の住むコミュニティだと言う
グリーンマンにより占拠されたこのコミュニティは
笠田と言う人物が異星人と交渉し定期的に人間を
彼等に提供する事で生活していた。
その遺伝子サンプルを集める為にゾンビ捕獲、
及び刑務所が存在するらしい、刑務所と言っても
その目的は捕虜の収監所と言った所か。
人の安全を確保する為に交渉した彼等は身の安全を
守る為に他の人間を誘拐、拉致し異星人に提供して
生活を守る、だが簡単に定期的に人口の激減した
今の世の中で人を拐うのも難しく、期限が来た
際にはコミュニティから差し出すのだそうだ。
毎週行われる祭り、それは内部の人間の娯楽及び
差し出す人間を決める祭りでもある様だ。
勝者の家族や仲間は生贄から免除、さらには
コミュニティ内部で使うことが出来る通貨が賞金
として付与される、一攫千金を狙う猛者達も勝てば
異星人から怯える所か裕福な生活が保証される
事もあり、力自慢の猛者達が集まる異色の
コミュニティが出来たらしい。
クリス「いつの時代も力ある者が支配力を持ち
人の命を代償に発展する形はこんな時代になっても
何ら変わらねぇって事か……」
誠「それに媚びを売る者もな……」
クリス「祭りと言ってたな……なら忍び込んでの
内部調査が手取り早い、そして今が
そのチャンスという訳だな」
誠「おい、知らない顔が入っても絶えず希望する
入植者がいるってっ事は入るには安全なんだな」
岳「あぁ確実とは言えねぇが今日は祭りで
ごった返す、そして祭りはレイダー達も見にくる
今なら、普段よりは入り易い……が入れば出るのは
困難だぞ、検問を出るには許可書がいる、
許可書を持つものはレイダーの様に人身売買を
生業や食料等、商売に来る奴らだ。
俺みたいな者は労働者として2度と出る事は
出来ねぇ脱走でもしない限り」
※レイダー(拠点を持たない者が多い、主に略奪で
生計を立てている者達の総称)
誠「……行くか、此処にいてもラチがあかねぇ」
ハク「だね」
クリス「了解だ」
相葉「おい、俺は行かないぞ!」
誠「1人で此処にいるか?帰るのも遠いぜ?」
クリス「熊が出るかもな……ゾンビの」
ハク「野犬も見かけたなぁ……」
相葉「……」
こうして騒ぎに乗じ潜入が始まった。
ーーー山中途中ーーー
クリスさっきの話だが……
「……多分俺はラルだ、言った通り記憶が
混合して俺も区別がつかねぇ……だが俺はお前らも
知ってる通り冷酷な所がある、記憶からの結論は
恐らくラルだと……思う」
「以前は頭の中が二つの人生が混合して、
頭がどうにかなりそうだった……
誰かに語る訳にもいかず、
まぁこうなる前の社会ならこんな話、
誰も信じなかっただろうがな」
誠「二つの意識が中にあるか……人で言うと
多重人格みたいな感じか」
クリス「自分の中に人が常に2人いる感じで
俺の立ち振る舞いなのかクリスの記憶が
そうさせるのか……常に頭の中で意見が
ぶつかり合う事もザラだ……せめてどちらが本当の
俺なのか判断出来れば少しは決断に迷う事も
少ないと思う事がしばしばある、だが俺の中に
クズみたいな奴等を殺めるのに心に痛みはねぇ
恐らく根本的なものだろう、故に俺はラル
だと思う……」
「お前らにゾンビを仕掛け、一時は快楽に溺れた
やはり俺がラルだと思わせる感情は多々あった
それに少なくとも俺は常に人に落胆して来た……
それは今も変わらねぇ、お前達や奴らを除いてな
そんな俺じゃなくてクリスなら、
お前達の仲間に相応しいだろう……
そう思えば思う程に自分が惨めに感じてた、
お前らもクリスの方が良かっただろうな
とか……どうしても感じちまうんだ」
「俺はなんでクリスじゃねぇんだ……何度も
心の中で叫んだよ」
誠「だから俺はお前達に相応しくねぇとか
マイナス思考全開だったのか
去ろうとしたのもその為か」
「二つの記憶か、めんどくせぇ性格なるのも
わからなくはねぇな……」
クリス「アレから俺はアイツを演じる為に
あらゆる努力をしたつもりだ……
クリスの家族にもあった、だがバレるのが怖くて
対面はガラス越しでだ、イルガの配慮で警察に
捕まった体裁でな……」
「ガラス越しでもバレねぇか不安だった俺は
一言も喋らなかった……アイツの家族を守る為だが
俺とアイツ……天と地程の何かが違う
アイツも苦労したのに見合った親と彼女だったよ
その時、新たに決意した、日本に来てから
アイツの仕草、行動、思考、素行パターン、
アイツができた事、技術、体力、思う所は
片っ端から全てを自分に叩き込んださ……
少しでも奴と同化する為に、そして奴の居場所を
守ろうと……それでも根本が違うからきっと俺は
アイツにはなれない……だろうがな」
誠とハクは駆けながらもそれをただ静かに
聞いていた。
クリス「お前達を騙したわけじゃ無い、でも……
すまない黙ってて、そしてクリスでは無い可能性が
高いんだ俺は……ラルと言う人間で、
お前達に出会って、すなない……本当に
クリスならもっとお前らにとって相応しく、
もっと能力の高いアイツなら、お前らの役に
立った筈だ、それ程アイツは良い奴だった
それに比べ俺はお前達には相応しく無い
人間なんだ」
ハク「名はただの呼び名、僕達の側にいる
君が誰でも僕達にとっての君は君しかいない」
「僕は見た事も無い誰かより君が側に
居てくれる事が何よりも嬉しい」
共に戦い、共に過ごし僕を助けてくれた人物
僕と誠の大切な仲間はそのクリスじゃない」
誠「難しくて頭こんがらがるわ!ハクの言う通り
俺達は熊の時もそう、その前のハクが病気で
倒れた時に必死こいて守っていた
お前と言う存在以外ぇよ」
クリス「……」
(コイツら……あの時のクリスがボルドやシルブァ
に語った意味と同じ事言ってやが……る
そう言う事なのかなぁ……?クリス)
誠「心で納得出来ねぇならタイマンはるか?」
クリス「……お前はホント全てタイマンで
なんとかなるとでも思ってるのか?」
誠は真顔で頷いた。
思わず吹き出したクリスだった。
クリス「馬鹿だなやっぱお前ら……
すまねぇ……混沌した今の世界でクリス……
奴が復活すると俺は信じてる、だから俺はまだ
クリスの名を語る事を許してくれ
この目で奴を見るその日まで」
コミュニティ付近まで近づいた彼等
その前に数体のグリーンマンが姿を現した、
両腕に軽々しくゾンビ数体を持ち上げ
施設へと姿を消した。
誠「なんだいったい……」
クリス「見ろ一番右の施設外部が騒がしいぞ」
そこには廃車した車や改造した車で囲む様に
闘技場らしき姿が目に入った。
ハク達は様子を探るべく山の麓に降りる、人々の
声が届く範囲まで近づいた彼等は驚愕の姿を見た。
人々は薬を使用しているのか、踊り、互いが互いを
罵り合い、至る所で喧嘩が始まった、
そうかと思えば簡易な露店もあり賑わいがあった。
闘技場に目をやると1人の薄汚れ、両手を鎖に
繋がれた男が入場すると観客から罵声や悲鳴の様な
歓声が湧き上がった。
誠「おいアレって……雪丸じゃねぇか?」
司会「さて今回のチャレンジャーは
腕相撲日本チャンピオン、腕力馬鹿の脳筋野郎!
石毛悟選手!過去の対戦でのその太い腕での
スリーパーホールド!両腕を鎖に縛られた雪丸が
これをどう責めるか!」
「尚、雪丸選手の今までの戦歴は88戦88勝
総会得賞金はこの施設内部で使える通貨に
換算すると六億五千万円だ!勝利者には、彼が
使った金額を除き全ての総資産は勝利者へと
移行する!しかも彼は罪人だ!財産をほぼそのまま
持ち合わせていると言う前代未聞の
ラッキーチャンピオン!」
石毛がノシノシと歩き鎖に繋がれた雪丸の前に立ち
顔に唾を吐き言った。
石毛「お前の無敗は今日までの話よ!今までお前が
稼いだ賞金、全て俺が戴くぜ」
雪丸「……」
司会「さて待望のゴングだ!試合開始!」
雪丸は両腕を繋がれたまま腕を前に出し構える。
石毛はナックルを両手にはめると勢いよく
雪丸に殴りかかった、だがその拳は尽く空に舞う。
石毛「なんだ……殴れん、と言うか近づいても
距離が……一定から縮まない」
雪丸「修行不足だ……お前は弱い者としか対戦して
来なかったろう……力があっても当たらねば無意味
私はお前が動いた分、ただ後や横へ
移動しているだけだ」
誠「あの動き……ハクにそっくりだな」
石毛はその言葉を聞き動きを止め慎重に相手を
みる作戦に変えた。
すると今度は雪丸が素早く前へと足を運ぶ
石毛はそれに驚きすぐ様後へ下がった
近接した状況から石毛が下がった分、雪丸は
まるでどれ位下がるか把握した様に下がり切る前に
放ち、動きの止まった場所で
倒す気のない様な平手打ちを的確に頬に当てた。
石毛「なっ!」
観客「速ぇ!おおおおお」
石毛「テメェ!俺にビンタだと!」
司会「石毛選手がまるで平手打ちを自ら喰らいに
言ったかの様に私には見えたが!」
観客「石毛どうした!相手は攻撃する気なんか無ぇ
感じだったぞ!ビビってんじゃないぇよ!」
雪丸は攻撃する事も無く後ろへ下がる石毛に対し
その場で繋がれた両腕のまま止まり、構えた。
石毛「クソこけ脅しか……黙れ!観客共!」
ビビったと言う言葉に怒りを露わにする。
雪丸に背を向け罵倒する観客を指差し周り
威嚇して回った。
石毛「クソ観客共め、お前を殺した後、
殴り潰してやるわ」
再び対峙する2人、石毛が興奮し息巻くと
その瞬間再び雪丸が石毛の前へと飛び込んだ
一歩先を越された石毛は腕を交差させ防御体制
をとり後ろへ下がる。
観客「なんだなんだやっぱビビってんじゃねぇか」
その声を聞いた石毛は顔を真っ赤にして雪丸目掛け
突進するかの様に殴りかかった時、
雪丸の出した腕が捻る様に交差したかと思えば
倒れたのは石毛だった
石毛「ウゲ……」腹を抱え悶絶する石毛には何が
起こったのかわからなかった。
雪丸「修行不足だ……
一つ、呼吸は静かに……人の活動が出来るのは息を
吐いた時、止めている時だけだ、吸う瞬間に敵に
攻め込まれればなす術はないと知れ」
「一つ……怒りに己を奪われるな、視界は狭くなり
力は増すが隙が増える」
誠「やるねぇ……平手打ちをした理由、
行動パターンを単純にする為にわざとしやがった」
「一つ……視界は常に全体に、八方を一つとして
捉えよ……腕の動きに惑わされると……アイツに
勝てない」
怒りで猪突猛進になった石毛は雪丸の腕の動きに
気を取られ意味のない捻りに惑わされた。
素早く出した前蹴りに自らの突進力と体重で
1人自ら攻撃されに行ったのだった、
雪丸はその場から全く動いてなかった。
クリス「強い……相手もデカいし場馴れした感は
あるが子供扱いだ……それにアイツ?
あんな奴に勝てる奴がいるのか……」
石毛「この野郎……おい!司会!100万だ!」
司会「おおっと!ここで石毛選手から100万だ!」
相葉「百万?」
司会「さて皆様もご存知の通りこの闘技場の特別
ルール!金額に応じ、払えば自分の有利となる武器
を金額に応じ所持出来ると言うものだ!」
「10万で棒、50万でナイフ、そして100万で斧!」
石毛「今まで勝ってきた貯金分減らしやがって……
だが勝てば億万長者だ……実験の免除も与えられる」
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