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廃墟脱出編
犠牲
しおりを挟むハク「行きますか!」
晴 「行こうぜ!」
ハクと晴が並んで、鎧男に近づく
鎧男「何してんだ!近づくな!これ以上近付いたら
ロ、ロープ離すぞ!」
晴「離せよ、いいぜ」
言うが早いか左右に分かれ2人は壁際に添いながら
一気にダッシュする、ハクは落ちているロープの
ある方へと走りそれを掴んだ、
鎧男「きっ、来た!離すぞ!佐々木!」
手からロープが離され、ゾンビが一斉に彼らに
向かい放たれ武装ゾンビを筆頭に彼等を襲う
晴は落ちているスーパーの買い物カゴをたて続けに
2つ取り、反対側にいるハク目掛け1つを投げつけ、
それを見事にハクはキャッチに成功、
ハクが素早く掴んだロープを渡された買い物カゴに
結び、投げ返す、走りながらの作業は見た者から
すれば、まさにラグビーの様であった。
そして、もう一つのカゴを同じ様にロープで括る、
ーー繋がれた二つの買い物カゴーー
2人は同時に目の前にいる武装するゾンビに向かい
押し込む様に突き飛ばす、買い物カゴの長さで、
飛び出た刃や鉄棒は彼らには刺さらない。
カゴが刃物や鉄筋が金属製のカゴにめり込み曲がり
抜けなくしたのだ。
晴 「一丁上がり!」
ハク「二丁上がり!」
結果を見る事なく
鎧男「なんだ!何をしてる!」
タイミングを見て、時男がハクに、正人が晴に
渡された水中銃を放り投げた、その返しの無い
水中銃はハクらがダッシュした際、ハクに絆創膏と
一緒にある物とメモが書き記されていた、
バッグの中に矢が10本程入っている、二つの水中銃
の矢の部分繋がる様に結んでおいて2本がつながる
様にと……
ーー前記参照【罠】ーー
ユキを背負い晴とハクを先頭に通路を走る、
ハクはリュックから取り出した板を削り、
自転車のゴムチューブで作った水中銃の様な
物を正人等に渡した。
真っ直ぐな棒に塩ビパイプの円柱を取り付け
塩ビパイプの空洞の中に『かえし(あご)』
の無い先の尖った棒に紐を通した物を渡す。
【かえし】
【鯨漁などで使われるモリ。
モリが肉の中に入った時、釣り針の様に
抜けないように細工した物】
ハク「この武器は三つしか無いんだけど、
念の為渡しとくね」
かえしが付いてないから、鉄棒の尻に
付いてる紐を手繰り寄せれば何度でも
使えるからイザとなったら使って」
ーーーーー
正人達のいる地点まで一気に戻るハク達、後方で
先程買い物カゴで繋がれた別々のゾンビに他の
ゾンビ達が引っかかる、
ゾンビは互いが好き勝手に動きロープが引っかかり
横転する姿が正人達から見えた。
正人「こう言う事か」
時男「……俺ももう決心したわ、どうせもう逃げれ
ねぇアイツらにかけるしか無い」
ユキ「私も頑張る」
美香「どうせ最後ならやるわ、私も」
陸「……」
ロープが邪魔で、上手く進めないゾンビに余裕で
先に正人達がいる場所まで到達する2人、
時男、正人は2人に紐を結んだ水中銃を渡す。
ハク「撃ったらすかさず矢を僕達に渡して」
正人「あぁ解った!」
その間にユキ、美香は矢を取り出し同じ様に紐で
残りの矢を繋げる。
2人は数台ある横転した車に同時に飛び乗ると
水中銃を手に構えた。
ハク「紐は繋がっている、同時に打つんだ、
抜けない様に出来るだけ上から体の斜めに
矢が入る様に」
晴「了解だ!縁日では俺の方がうまかったからな、
任せとけ!」
ハク「12戦5勝5敗2引き分けでしょ?」
晴「だっけ?」
ニコリと笑うも汗が額を伝う2人。
「来るよ1、2、3で同時に撃つ、タイミングが
ずれれば矢は飛ばない、いいね」
晴「あぁお前とのタイミングで俺が外す訳はない」
ハク「いくよ!1、2、3!」
『シュバ!』
飛び出す矢はタイミングピッタリの2人の息に
合わせ、見事命中、
正人、時男も慌て2人に矢を渡す、正人達の方を
見る事なく素早く構え入る2人
次、晴、10時方向緑のシャツ男!「1、2、3!」
次、11時の方向赤い女!「1、2、3!」
次、手前7時の方向おデブさん!「1、2、3!」
ラスト8時の方向つるぴかりんのハゲ「1、2、3!」
間髪入れず放たれた矢は見事に全矢命中、左右
バラバラに突き刺さったロープはゾンビ達に絡み
身動き取れない状態となった。
ハク「これで一旦足止めは出来る、相当数身動きも
出来ない筈だから」
正人「おい!アイツ何してんだ!」
晴の目に飛び込んだのは1人ゾンビ集団のいる右手
の路地裏だった。
時男「アイツ!逃げやがった!」
晴「いや逃げてなんかいないさ」
時男「……ほんと お人好しなお前……まぁお前が
そう言うんなら、そうだろな」
晴がニコリと笑う
陸「……みんな!木材が沢山置いてあるよ!コレ
使えないかな!」
叫ぶ陸、しかしその上のビル2階に立って
いたのは紛れもなく佐々木だった……
晴が飛び出す、皆の脳が佐々木を見て危ないと思う
思考より早く、
ユキ「危ない!」
同時にハクは落ちている石を拾い既に投球フォーム
に入っていた。
佐々木「陸ちゃーん、はい残念!」
立て掛けてある材木を一斉に倒す佐々木、落ちて
くる材木が陸の目に入った、
「うわああ!」
叫ぶ陸、だが材木は容赦無く彼の体を巻き込む様に
崩れ落ちた……
土煙が立ち上り木材が音を立てて崩れ落ちる……
ハクの投げた石は佐々木の額を捉えたが一時既に
遅かった……
佐々木「痛ってええええ!この野郎!必ずぶち
殺してやるぜ!」
そう言うとビル奥へと姿を消した。
美香「……陸」
やがて木材の下の地面から血が流れてきた……
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