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昼食デート
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学院内のカフェテリアでは、今日もジェラード殿下は周囲から様々な感情の籠もった視線を集めながら昼食をとっている。それらは羨望、憧憬、畏敬などだが、その全てに必ず好情が内包されているのが殿下の素晴らしいところだと思う。こんなに好かれる権力者もなかなか珍しいだろう。それだけ彼は清く正しい白い王子なのだ。
だが、殿下と昼食を共にしているのがいつものアレクス先輩たちではない事に、不思議そうな声色の会話も幾許か混じり聞こえる。
「見世物にでもなった気分です」
俺の急なボヤキにピンとこなかったらしく、くるみのたっぷり入ったライ麦パンを一口大に千切ろうとした格好のまま、殿下はかすかに小首を傾げた。
「殿下はいつも大勢の関心を集めてて気が休まりませんね」
補足すると得心がいったようで、殿下は俺を真っ直ぐ見つめて口元を緩めた。
「周囲の視線への細心より、恋人を見つめるのに忙しい」
殿下が「恋人を」と言った時点で言わんとする事を察して、俺はやや大きめに「ああーそうですね!」と相槌を被せて掻き消した。たぶん、周りのテーブル席には殿下のしっとりした低音声は聞こえてない、と思いたい。
俺との交際は殿下の醜聞にしか成り得ない。当然内密にしたいのだが、殿下は隠す気が微塵もなくて正直俺には理解できない。品良くパンを咀嚼する殿下をじとりと見つめていると、目が合いとろりと微笑まれた。
「そんな顔で見られたら堪らなくなる。君はどうしてそんなに可愛いんだ」
何となくそんな気はしていたが、殿下の感性は独特なようだ。
「ジェラード殿下、お席をご一緒しても宜しいですか?」
涼やかな声に顔を上げれば、相応しい涼やかな見目の女生徒が殿下の真横に立っていた。ガブリエルのような花に例えられる華やかな美貌ではなく、草原にそよぐ若草のようにすんなりしていて目安い。
女生徒の目は真っ直ぐ殿下を見据えている。今この場で一番身分の高い殿下に打診をするのは真っ当な事だ。どう返答するのかと殿下を見ると、なかなか見られない程の無表情で驚いた。
「メイリーン嬢、何か用向きがあるのか」
「そう身構えないでくださいませ。同級生として食事を共にとりたいだけです。たまには宜しいじゃないですか?」
「遠慮してくれ。俺は食事を親しい者と取りたいんだ」
この女生徒は、殿下から相当に不興を買っているらしい。温和な殿下を怒らせるとは、なかなか豪胆な事をやらかしたのだろう。
殿下が同席を拒否した以上、それに従う俺から女生徒に何か反応をする必要も無い。
俺は手元に視線を戻して、揚げ鶏を齧るのに集中する。下味がしっかりついていて最高に米が進む。幸せ。
「……こちらの一年生はフローレス家御息女の交際相手ですよね。あなた、ジェラード殿下とも親しいのですか?」
こちらに飛び火すると思わなかったので、半分以上聞いていなかった。数テンポ程度遅れて女生徒を仰ぎ見た。
「親しいですよ」
それだけ言ってまた揚げ鶏と米を交互に口に詰める作業に戻る。
「後ろ盾を欲してるのかしら。それとも美しいものに見境がないのかしら。いっそどちらもかしら?貪欲な子なのね」
今度はしっかり聞いていたが、相手は何故かすでに喧嘩腰になっている。ここで相手をしても俺には何もいい事はないので、聞こえなかったふりしたら駄目だろうか。まあ、駄目だよな。俺が場を取り持たねば、今俺の横で怖い顔した殿下が絶対にいらない事を言うだろう。この女生徒は殿下を怒らせて何がしたいんだ。
怒気のこもった溜め息をついた殿下を、片手を上げて制する。
「ジェラード殿下もフローレス様も才色兼備の人格者で大変尊敬しています」
無害をアピールするつもりでにこりと微笑めば、ゴマすりと捉えられたのか嫌そうな顔された。
「お二人がお優しいから忘れてしまっているのかしら?殿下とフローレス家御息女は高貴な方々よ。学院から一步でも出れば、平民はおそばに侍ることすら叶わないわ」
言い回し的にこの女生徒は貴族なのだろうが、殿下やガブリエルを敵に回したいのかそうでないのか微妙な雰囲気だ。まさか、貴族内でジェラード殿下への対立勢力なんて、とち狂ったものがあったりするのだろうか。いや、そんな話聞いた事もない。
「仰る通りです。本来平民の俺は殿下ともフローレス様ともお近づきになれる立場ではありません」
抵抗を見せずに相手の言葉をただ単純に肯定すれば、そこでやっと女生徒の表情から僅かに険が取れた。
「わかっているなら厚顔無恥に殿下にすり寄るのはやめなさい。殿下の品位まで問われてしまうわ。殿下のお耳に入れるのも時間の問題でしょうけれど、あなたは風紀の宜しく無い町中で、男娼の真似事をしているなんていう品のない噂まで立てられて」
「メイリーン嬢」
地を這い心臓を直接揺らすような殿下の低い声が、女生徒の言葉を言外に糾弾した。元々切れ長で鋭利な印象の目を、より研いでしまったように恐ろしい目つきで女生徒を睨んでいる。青褪めた女生徒が哀れでならない。
少し身を乗り出して、握りしめられた殿下の拳をぺちぺちと間抜けな音をさせて叩くと、鋭い怒気を和らげて、殿下は少し拗ねたように俺を見た。貴方が怒らなくても大丈夫。
「お言葉ですが、人臣の上に立つ殿下はそばに置く者を選ぶ権利も義務もございます。殿下は平民の俺を有用と判断してそばに置いている。それだけの事です」
また怖い顔をされてしまうだろうか、と思いつつ言ったのだが、予想外に女生徒は眉尻を下げて口を引き結んだ。まるで口さがない悪口を言われ、泣き出す寸前の幼子のようだ。
「ジェラード殿下、またの機会に」
震える声で粗雑に言い置いて、女生徒は素早く場を辞してしまった。そこまで大きな抵抗をしたつもりはなかったので、しばしぽかんとその背を見送る。
そこに、殿下の笑い混じりの吐息が短く聞こえた。
「すっぱり斬ったな」
「無難な事しか言ってないつもりだったんですが、俺の話そんなに酷い内容でした?」
少なくとも、女子を泣かせる程酷い事を言った覚えはない。
まだ笑いの気配を残したまま、殿下は手を食事に戻した。倣って俺もまた揚げ鶏に向き合う。
「メイリーン嬢は農産大臣ガルシア伯爵の末娘だ」
「有能な大臣だと聞いています。今季は北部の針葉樹林の有効活用方法を提案されたとか」
良くできましたと言わんばかりに、大きな手が俺の頬をくすぐるように撫でていく。
「だが、ガルシア家は男系だからな。末に生まれた唯一の娘を甘やかして猫可愛がりしているようだ。先日当人たっての希望だとか、余計な情報まで付けて王家に娘の縁談を持ってきた」
「え…っと、ジェラード殿下との、ですか?」
鷹揚に頷かれて心臓が跳ねる。
「そんな顔をしなくていい。当然断っている。食い下がられても始末が悪いだろうと俺から直接大臣に話をした。メイリーン嬢は自身が歯牙にもかけられなかった事が腹立たしかったのだろうが、トマスを貶めて何になるわけでもない。誰かに選ばれる為に必要なのはそんな行動では無いだろう」
なるほど。ガルシア伯爵家令嬢は恋心を抱いている相手に素気無くされて、愛憎入り交じってしまっているのだな。微塵も靡かない殿下本人も、殿下に気に入られているらしい俺も気に食わないという事か。そう思うと、支離滅裂な先程の行動も少女らしい葛藤が見えて、どことなく可愛げがあるようにも思える。
「俺は恋する乙女にだいぶデリカシーの無い事を言ってしまったんですね。でも俺普通に悪くないんで謝るつもりは無いですけど」
俺の薄情な態度に、殿下はまたフっと楽しそうに吐息で笑う。
「君は安易な同情に流されない理性的な所も魅力だ」
再び伸びて来た殿下の手のひらが俺の右頬を包む。
あまりに酷い甘やかしぶりに、俺は小さく吹き出してしまう。優しい殿下にかかれば、俺はどんな悪さをしても許されて、短所も長所に言い換えられてしまいそうだ。
「俺、そんなに良いもんじゃないですよ」
所詮はよくいる学生だ。殿下のように色んなものを持っている優れた人間でもないし、いざと言う時に誰かを救えるような特別な存在でもない。殿下がどう俺を評価してくれても、実際に俺の存在が殿下の益になる事はない。
それでも、殿下が俺の頬を撫でる仕草は寶物を愛でるようだ。
「トマス」
全てを持っているかのような人は、俺にだけ恋人という特別な場所を与えてくれる。
こんなに甘い声で俺の名を呼んでくれる人は、たぶん今後一生現れないのだろう。
「君は俺にとって何より得難いものだ。納得してくれなくてもいい。でも覚えていてくれ」
今はまだ、この優しく甘やかな人を手離したくない。俺は、彼を独占する罪悪感に蓋をして、卑怯にも素知らぬふりで笑み返す。
「はい、覚えておきます」
最愛の人が俺を何より大切にしてくれた事、いつか離れる時が来ても忘れない。
だが、殿下と昼食を共にしているのがいつものアレクス先輩たちではない事に、不思議そうな声色の会話も幾許か混じり聞こえる。
「見世物にでもなった気分です」
俺の急なボヤキにピンとこなかったらしく、くるみのたっぷり入ったライ麦パンを一口大に千切ろうとした格好のまま、殿下はかすかに小首を傾げた。
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「メイリーン嬢、何か用向きがあるのか」
「そう身構えないでくださいませ。同級生として食事を共にとりたいだけです。たまには宜しいじゃないですか?」
「遠慮してくれ。俺は食事を親しい者と取りたいんだ」
この女生徒は、殿下から相当に不興を買っているらしい。温和な殿下を怒らせるとは、なかなか豪胆な事をやらかしたのだろう。
殿下が同席を拒否した以上、それに従う俺から女生徒に何か反応をする必要も無い。
俺は手元に視線を戻して、揚げ鶏を齧るのに集中する。下味がしっかりついていて最高に米が進む。幸せ。
「……こちらの一年生はフローレス家御息女の交際相手ですよね。あなた、ジェラード殿下とも親しいのですか?」
こちらに飛び火すると思わなかったので、半分以上聞いていなかった。数テンポ程度遅れて女生徒を仰ぎ見た。
「親しいですよ」
それだけ言ってまた揚げ鶏と米を交互に口に詰める作業に戻る。
「後ろ盾を欲してるのかしら。それとも美しいものに見境がないのかしら。いっそどちらもかしら?貪欲な子なのね」
今度はしっかり聞いていたが、相手は何故かすでに喧嘩腰になっている。ここで相手をしても俺には何もいい事はないので、聞こえなかったふりしたら駄目だろうか。まあ、駄目だよな。俺が場を取り持たねば、今俺の横で怖い顔した殿下が絶対にいらない事を言うだろう。この女生徒は殿下を怒らせて何がしたいんだ。
怒気のこもった溜め息をついた殿下を、片手を上げて制する。
「ジェラード殿下もフローレス様も才色兼備の人格者で大変尊敬しています」
無害をアピールするつもりでにこりと微笑めば、ゴマすりと捉えられたのか嫌そうな顔された。
「お二人がお優しいから忘れてしまっているのかしら?殿下とフローレス家御息女は高貴な方々よ。学院から一步でも出れば、平民はおそばに侍ることすら叶わないわ」
言い回し的にこの女生徒は貴族なのだろうが、殿下やガブリエルを敵に回したいのかそうでないのか微妙な雰囲気だ。まさか、貴族内でジェラード殿下への対立勢力なんて、とち狂ったものがあったりするのだろうか。いや、そんな話聞いた事もない。
「仰る通りです。本来平民の俺は殿下ともフローレス様ともお近づきになれる立場ではありません」
抵抗を見せずに相手の言葉をただ単純に肯定すれば、そこでやっと女生徒の表情から僅かに険が取れた。
「わかっているなら厚顔無恥に殿下にすり寄るのはやめなさい。殿下の品位まで問われてしまうわ。殿下のお耳に入れるのも時間の問題でしょうけれど、あなたは風紀の宜しく無い町中で、男娼の真似事をしているなんていう品のない噂まで立てられて」
「メイリーン嬢」
地を這い心臓を直接揺らすような殿下の低い声が、女生徒の言葉を言外に糾弾した。元々切れ長で鋭利な印象の目を、より研いでしまったように恐ろしい目つきで女生徒を睨んでいる。青褪めた女生徒が哀れでならない。
少し身を乗り出して、握りしめられた殿下の拳をぺちぺちと間抜けな音をさせて叩くと、鋭い怒気を和らげて、殿下は少し拗ねたように俺を見た。貴方が怒らなくても大丈夫。
「お言葉ですが、人臣の上に立つ殿下はそばに置く者を選ぶ権利も義務もございます。殿下は平民の俺を有用と判断してそばに置いている。それだけの事です」
また怖い顔をされてしまうだろうか、と思いつつ言ったのだが、予想外に女生徒は眉尻を下げて口を引き結んだ。まるで口さがない悪口を言われ、泣き出す寸前の幼子のようだ。
「ジェラード殿下、またの機会に」
震える声で粗雑に言い置いて、女生徒は素早く場を辞してしまった。そこまで大きな抵抗をしたつもりはなかったので、しばしぽかんとその背を見送る。
そこに、殿下の笑い混じりの吐息が短く聞こえた。
「すっぱり斬ったな」
「無難な事しか言ってないつもりだったんですが、俺の話そんなに酷い内容でした?」
少なくとも、女子を泣かせる程酷い事を言った覚えはない。
まだ笑いの気配を残したまま、殿下は手を食事に戻した。倣って俺もまた揚げ鶏に向き合う。
「メイリーン嬢は農産大臣ガルシア伯爵の末娘だ」
「有能な大臣だと聞いています。今季は北部の針葉樹林の有効活用方法を提案されたとか」
良くできましたと言わんばかりに、大きな手が俺の頬をくすぐるように撫でていく。
「だが、ガルシア家は男系だからな。末に生まれた唯一の娘を甘やかして猫可愛がりしているようだ。先日当人たっての希望だとか、余計な情報まで付けて王家に娘の縁談を持ってきた」
「え…っと、ジェラード殿下との、ですか?」
鷹揚に頷かれて心臓が跳ねる。
「そんな顔をしなくていい。当然断っている。食い下がられても始末が悪いだろうと俺から直接大臣に話をした。メイリーン嬢は自身が歯牙にもかけられなかった事が腹立たしかったのだろうが、トマスを貶めて何になるわけでもない。誰かに選ばれる為に必要なのはそんな行動では無いだろう」
なるほど。ガルシア伯爵家令嬢は恋心を抱いている相手に素気無くされて、愛憎入り交じってしまっているのだな。微塵も靡かない殿下本人も、殿下に気に入られているらしい俺も気に食わないという事か。そう思うと、支離滅裂な先程の行動も少女らしい葛藤が見えて、どことなく可愛げがあるようにも思える。
「俺は恋する乙女にだいぶデリカシーの無い事を言ってしまったんですね。でも俺普通に悪くないんで謝るつもりは無いですけど」
俺の薄情な態度に、殿下はまたフっと楽しそうに吐息で笑う。
「君は安易な同情に流されない理性的な所も魅力だ」
再び伸びて来た殿下の手のひらが俺の右頬を包む。
あまりに酷い甘やかしぶりに、俺は小さく吹き出してしまう。優しい殿下にかかれば、俺はどんな悪さをしても許されて、短所も長所に言い換えられてしまいそうだ。
「俺、そんなに良いもんじゃないですよ」
所詮はよくいる学生だ。殿下のように色んなものを持っている優れた人間でもないし、いざと言う時に誰かを救えるような特別な存在でもない。殿下がどう俺を評価してくれても、実際に俺の存在が殿下の益になる事はない。
それでも、殿下が俺の頬を撫でる仕草は寶物を愛でるようだ。
「トマス」
全てを持っているかのような人は、俺にだけ恋人という特別な場所を与えてくれる。
こんなに甘い声で俺の名を呼んでくれる人は、たぶん今後一生現れないのだろう。
「君は俺にとって何より得難いものだ。納得してくれなくてもいい。でも覚えていてくれ」
今はまだ、この優しく甘やかな人を手離したくない。俺は、彼を独占する罪悪感に蓋をして、卑怯にも素知らぬふりで笑み返す。
「はい、覚えておきます」
最愛の人が俺を何より大切にしてくれた事、いつか離れる時が来ても忘れない。
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