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第5章 蟻の巣抹消作戦
-65- 闇を払う
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「成功例という言葉を使ってしまうと、まるで私が受けた実験に科学的根拠があるように聞こえてしまいますが、決してそうではありません。とはいえ、それっぽく聞こえる仮説を軸に考えられた実験ではありますから、完全に否定する材料もないという……ダンジョンから被害を受け弱ってる人々を惹き付けるには十分な実験だったわけです。私の両親も例外ではありませんでした」
つまり、百華さんのご両親はダンジョンから何らかの被害を受け、それを恨み、我が子にダンジョンを抹消する力を身に着けさせようとした……。
「実験の効果は被験者によってさまざまでした。しかし、私のように脳波が高まった人はごく一部で、中には脳死のような状態になってしまう人もいました。ゆえに世間的にはこの実験に正当性はなく、私のように脳波が高まった人は本来持っている力が目覚めただけとされました。ただ、それを証明することは誰にも出来ないんです」
脳波を高める研究は数多く行われてきたけど、成功例はないという話だ。
だからこそ、怪しい実験でも成功しないという証明が出来ない。
何が成功と失敗を分けるのか、誰にもわかっていないから。
「そもそも良い結果が出たとしても合法に行われていた実験ではありませんから、捕まるのは時間の問題だったわけです。企業はすぐに解体され、首謀者たちは逮捕……。実験を行った動機について彼らは、ただダンジョンを消し去りたかった……と。彼らもまたダンジョンの恐怖に晒され、それを打ち滅ぼさんとする狂気に囚われた哀れな人々だったわけです。DMDが開発される前は常に血が流れ、DMDが開発された後も操縦出来るのは適性を持った人のみ。そして、適性を持った人でもレベルが足りなければ深いダンジョンには立ち向かえない……。狂ってしまう人がいるのもわかるつもりです」
私は普通にDMDを動かせるけど、そうじゃない人もいる。
それが実感できたのは、ついこの間の土曜日だ。
愛莉、芳香、芽衣がマシンベース見学に来ていた時、3人はDMDシミュレーターという仮想現実上でDMDを操縦出来る装置を使っていた。
対迷宮部隊が訓練に使っているほどリアルに近い体験が出来るシミュレーターは、そのまま体験者のDMD適性をハッキリと映し出す。
芳香と芽衣は立って歩くことにすら苦労していた。
体験後に表示されるブレイブ・レベルも5にも満たない数値だった。
つまり……適性がないということ。
私が初めて聞かされたブレイブ・レベルは28。
自分が特別だと気付くのには十分な出来事だった。
しかし、芽衣はメカニック志望だし、芳香はそもそもDMD操者にあまり興味がない。
本人たちは『こんなもんかー』という感じだったし『操縦の才能も遺伝するんだね』と笑っていた。
だからこの時の私は自分が特別だとは思ったけど、唯一の才能を持っているとまでは考えなかった。
あと愛莉がそれなりにDMDを使いこなし、ブレイブ・レベル16という私の半分くらいの数値を出していたというのも、そこそこ特別という考えでとどまらせた理由だった。
でも、今を思えば育美さんは愛莉の数値を見て相当驚いていたように感じる。
普通の人にとっては、最初からレベル16というのもかなり高い数値なんだろう。
葵さんのようにダンジョンからあふれ出たモンスターに大切な人たちを奪われ、DMD操者を目指した人はきっとたくさんいるんだろう。
でも、その中には適性がなく、戦うことすら許されなかった人たちがいる……。
戦いたくて戦えるというのは、恵まれたことなんだ。
「私自身、今となっては実験を行った企業をそこまで恨んではいません。怖かったのは事実ですし、実験の後遺症で精神が多少不安定になっているという話もあります。あと、髪の毛の変色とかも、脳波をいじろうとした人によく見られる後遺症らしいですよ」
百華さんが自分の髪を触る。
黒髪の中に桃色の髪が混ざっているのは、そういう理由だったんだ……。
「犠牲となった人は多いですし、許されない行いだったという考えは変わりません。でも、どちらにせよ私はまだ生きていて戦う力がありますから、いつまでも過去を恨んでいる場合じゃないんです。もう同じような人たちを生み出さないために、私はこの力でダンジョンと戦うことにしたんです。ダンジョンの恐怖がなくなれば、脳をどうこうしようなんて考えるはずありませんから」
「……それでモエギに就職したんですね」
「そう……ですね。でも、私としては就職したというより、拾ってもらったという思いの方が強いです。どうしても非合法な方法で操者として強くなったという疑いの目は消えませんから、大学でもいろいろ言われましたし就職の時も……。そんな中でも私を必要としてくれたのがモエギ・マシニクル……ひいては萌葱大樹郎様だったのです」
百華さんが萌葱一族を心酔する理由は、自分を必要としてくれたから……。
それはきっと私では想像も出来ないほどの喜びだったんだ。
「大樹郎様のことを私は心から尊敬しています。そして、それと同じくらい育美のことも尊敬しています。彼女が支えてくれなかったら、私は大学にいられなかったと思いますから……。彼女とは一緒の会社で働けると思っていましたから、そうならなくて残念です。でも、すべての道は蒔苗様に通じています。大樹郎様と育美があなたを支えるというのなら、私も蒔苗様にこの身を捧げる覚悟です……!」
私の知らないところでいろんな人が私のために動いている。
そう実感するばかりだ。
ならば、私に出来ることはその想いを受け止めること……。
「話してくれてありがとう、百華さん」
「あっ、いえ……操縦技術の話が私の身の上話になってしまいましたね……。それに知らない人からいきなりこの身を捧げられても迷惑なだけですよね……」
「いいえ、私はとっても幸せ者です。百華さんのことだってもう知らない人じゃありません。一緒に戦いましょう、この世界に潜む闇を払うために」
「は……はい! 蒔苗様! そのぉ、このまま蒔苗様と呼び続けてもよろしいでしょうか?」
「ええ、私も萌葱の人間としてそれくらいのことを受け入れる度量はあります!」
「ああっ、蒔苗様! 蒔苗様、蒔苗様……!」
「流石に意味もなく何度も呼ぶのはやめてほしいです……」
「すっ、すいません! つい嬉しくて……」
何はともあれ、これから一緒に戦う百華さんのことを知ることが出来て良かった。
このチームならきっと大丈夫だ。
明日、私たちの手で必ずあのダンジョンを抹消する!
つまり、百華さんのご両親はダンジョンから何らかの被害を受け、それを恨み、我が子にダンジョンを抹消する力を身に着けさせようとした……。
「実験の効果は被験者によってさまざまでした。しかし、私のように脳波が高まった人はごく一部で、中には脳死のような状態になってしまう人もいました。ゆえに世間的にはこの実験に正当性はなく、私のように脳波が高まった人は本来持っている力が目覚めただけとされました。ただ、それを証明することは誰にも出来ないんです」
脳波を高める研究は数多く行われてきたけど、成功例はないという話だ。
だからこそ、怪しい実験でも成功しないという証明が出来ない。
何が成功と失敗を分けるのか、誰にもわかっていないから。
「そもそも良い結果が出たとしても合法に行われていた実験ではありませんから、捕まるのは時間の問題だったわけです。企業はすぐに解体され、首謀者たちは逮捕……。実験を行った動機について彼らは、ただダンジョンを消し去りたかった……と。彼らもまたダンジョンの恐怖に晒され、それを打ち滅ぼさんとする狂気に囚われた哀れな人々だったわけです。DMDが開発される前は常に血が流れ、DMDが開発された後も操縦出来るのは適性を持った人のみ。そして、適性を持った人でもレベルが足りなければ深いダンジョンには立ち向かえない……。狂ってしまう人がいるのもわかるつもりです」
私は普通にDMDを動かせるけど、そうじゃない人もいる。
それが実感できたのは、ついこの間の土曜日だ。
愛莉、芳香、芽衣がマシンベース見学に来ていた時、3人はDMDシミュレーターという仮想現実上でDMDを操縦出来る装置を使っていた。
対迷宮部隊が訓練に使っているほどリアルに近い体験が出来るシミュレーターは、そのまま体験者のDMD適性をハッキリと映し出す。
芳香と芽衣は立って歩くことにすら苦労していた。
体験後に表示されるブレイブ・レベルも5にも満たない数値だった。
つまり……適性がないということ。
私が初めて聞かされたブレイブ・レベルは28。
自分が特別だと気付くのには十分な出来事だった。
しかし、芽衣はメカニック志望だし、芳香はそもそもDMD操者にあまり興味がない。
本人たちは『こんなもんかー』という感じだったし『操縦の才能も遺伝するんだね』と笑っていた。
だからこの時の私は自分が特別だとは思ったけど、唯一の才能を持っているとまでは考えなかった。
あと愛莉がそれなりにDMDを使いこなし、ブレイブ・レベル16という私の半分くらいの数値を出していたというのも、そこそこ特別という考えでとどまらせた理由だった。
でも、今を思えば育美さんは愛莉の数値を見て相当驚いていたように感じる。
普通の人にとっては、最初からレベル16というのもかなり高い数値なんだろう。
葵さんのようにダンジョンからあふれ出たモンスターに大切な人たちを奪われ、DMD操者を目指した人はきっとたくさんいるんだろう。
でも、その中には適性がなく、戦うことすら許されなかった人たちがいる……。
戦いたくて戦えるというのは、恵まれたことなんだ。
「私自身、今となっては実験を行った企業をそこまで恨んではいません。怖かったのは事実ですし、実験の後遺症で精神が多少不安定になっているという話もあります。あと、髪の毛の変色とかも、脳波をいじろうとした人によく見られる後遺症らしいですよ」
百華さんが自分の髪を触る。
黒髪の中に桃色の髪が混ざっているのは、そういう理由だったんだ……。
「犠牲となった人は多いですし、許されない行いだったという考えは変わりません。でも、どちらにせよ私はまだ生きていて戦う力がありますから、いつまでも過去を恨んでいる場合じゃないんです。もう同じような人たちを生み出さないために、私はこの力でダンジョンと戦うことにしたんです。ダンジョンの恐怖がなくなれば、脳をどうこうしようなんて考えるはずありませんから」
「……それでモエギに就職したんですね」
「そう……ですね。でも、私としては就職したというより、拾ってもらったという思いの方が強いです。どうしても非合法な方法で操者として強くなったという疑いの目は消えませんから、大学でもいろいろ言われましたし就職の時も……。そんな中でも私を必要としてくれたのがモエギ・マシニクル……ひいては萌葱大樹郎様だったのです」
百華さんが萌葱一族を心酔する理由は、自分を必要としてくれたから……。
それはきっと私では想像も出来ないほどの喜びだったんだ。
「大樹郎様のことを私は心から尊敬しています。そして、それと同じくらい育美のことも尊敬しています。彼女が支えてくれなかったら、私は大学にいられなかったと思いますから……。彼女とは一緒の会社で働けると思っていましたから、そうならなくて残念です。でも、すべての道は蒔苗様に通じています。大樹郎様と育美があなたを支えるというのなら、私も蒔苗様にこの身を捧げる覚悟です……!」
私の知らないところでいろんな人が私のために動いている。
そう実感するばかりだ。
ならば、私に出来ることはその想いを受け止めること……。
「話してくれてありがとう、百華さん」
「あっ、いえ……操縦技術の話が私の身の上話になってしまいましたね……。それに知らない人からいきなりこの身を捧げられても迷惑なだけですよね……」
「いいえ、私はとっても幸せ者です。百華さんのことだってもう知らない人じゃありません。一緒に戦いましょう、この世界に潜む闇を払うために」
「は……はい! 蒔苗様! そのぉ、このまま蒔苗様と呼び続けてもよろしいでしょうか?」
「ええ、私も萌葱の人間としてそれくらいのことを受け入れる度量はあります!」
「ああっ、蒔苗様! 蒔苗様、蒔苗様……!」
「流石に意味もなく何度も呼ぶのはやめてほしいです……」
「すっ、すいません! つい嬉しくて……」
何はともあれ、これから一緒に戦う百華さんのことを知ることが出来て良かった。
このチームならきっと大丈夫だ。
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