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第4章 ブラッドプラント防衛作戦
-41- 救援部隊
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「救援部隊って、私みたいなフリーのDMD操者を集めて作るんですか? それとも専門のDMD部隊がこのマシンベースにいるんですか?」
「どっちも正解よ。有志のDMD操者の手も借りるし、このマシンベースに所属してる『首都第七対迷宮部隊』も動かすわ」
「た、対迷宮部隊……!」
すごいカッコいい響き……!
流石はダンジョンから人々を守るマシンベースだ。
ちゃんと戦闘のプロフェッショナルが待機しているのね!
「どれくらいの規模の部隊なんですか! その首都第七対迷宮部隊は!」
「4機で構成される小隊が4つ。つまり16機で構成された部隊になるわね」
「16機……?」
専門知識がない私にはよくわからないけど、気持ち的にはかなり少ない気がする。
何百機ものDMDがズラッと整列してる光景を想像してたからなぁ……なんて思っていたら、それを察した育美さんがちょっと苦笑いしながらこう言った。
「やっぱり、カッコいい名前の割にちょっと少なく感じる?」
「ええ、まあ……」
「残念ながら実際に動ける機体はもっと少ないのよね……。部隊ごとに交代で休みを取ってるから1小隊は常に欠けていて、さらに各ダンジョンの定期調査みたいな任務で1小隊が駆り出されるから、このマシンベースで常に動かせる戦力としては……8機が限界なの」
「8機!? それは流石に少ないんじゃ……!?」
「うーん、私もそう思うのよねぇ。昔はフリーのDMD操者が少なくて、新しいダンジョンの出現ペースも早かったから、それに備えるために多くのDMD操者がマシンベースに所属していたらしいんだけど……」
「それがどうしてこんなに減ってしまったんですか?」
「原因はいくつかあって、1つ目は仕事内容の変化ね。今は緊急性のある事案が減って、さっきも言った定期調査みたいなダンジョンの管理と維持が主な仕事になっているのよ」
「それって良いことなんじゃないですか?」
「間違いなくそうよ。でも、DMD操者の人ってほら……ちょっとロマンチストじゃない? 管理と維持みたいな仕事より、危険な戦場に飛び込んでいく方が燃えるって人が多かったの。だから、やりがいを失った人が徐々に抜けていったって感じね」
「まあ……少しわからなくもないです」
「2つ目はお金の問題ね。マシンベース所属のDMD操者は公務員だから福利厚生はしっかりしてるし、お給料だって十分に出る。それに仕事中にDMDを壊してしまっても、マシンベース側が次の機体を用意してくれる。でも、成功したフリーのDMD操者の稼ぎはすごいのよねぇ~。目の前の安定した生活がかすんでしまうくらい……」
「私もDMD操者と言えばお金持ちの印象がありましたし、なんというか……その方がロマンがありますよね」
「そうなのよ。DMD操者の人ってやっぱりロマンチストなのよ。自分の腕前一つで一獲千金を狙う人生の方に惹かれるんでしょうね。あと、マシンベース側も離れていく操者たちを積極的に引き留めなかったというのも、人員が減った原因になるかな」
「お給料を上げられなかったんですか?」
「それもあるけど、一番の理由はフリーのDMD操者も緊急時に召集すればすんなり集まってくれることにあると思うわ。繰り返しになるけど、多くのDMD操者はロマンに生きてるわ。人々の平和を脅かすような緊急事態となれば、それに立ち向かうためにみんな集まってくる。かつて憧れたロボットアニメの主人公のように、自分と自分の機体で世界を救うためにね」
その気持ち……私の中にもあるような気がする。
あんまりロボットアニメとか見たことないけど。
「とはいえ、国の機関であるマシンベースの方針がそれでいいのかって意見もあるし、一応常々募集はかけてるんだけど……集まらないのよねぇ。マシンベースへの所属を強制することは出来ないし、しばらくはこの体制が続いていくんだと思うわ」
「そうですか……。じゃあ、今回の緊急事態もフリーのDMD操者が十分に集まらなかったら、戦力が足りない状態で救援に向かうことになるんですね」
「そうなってしまうわね。正直、情報が足りないからどれほどの戦力が必要かはわからないけど、多いに越したことはないと思ってるわ」
「……私、フリーのDMD操者として救援部隊に参加してもいいですか? 役に立つかはわかりませんけど、私も戦いたいです!」
「うん! 蒔苗ちゃんが決めたことなら私は反対しない! それに今の蒔苗ちゃんなら十分戦力になると思うわ」
「ありがとうございます! あ、でも、もしかしたら大爆発を起こす可能性があるんですよね……。私自身が無事でもアイオロス・ゼロが壊れちゃったら……」
「それは心配しなくていいわ。大量発生が確認された時点でDエナジーの濃縮は停止してるから、すべてが消し飛ぶような爆発は起こらないはずよ。でも、この戦いは今までで一番過酷なものになると思う。アイオロス・ゼロが壊れる可能性は、爆発が起こらなくても存在していることは覚えておかないといけないわ」
「……はい、わかりました! それでも私は行きます!」
「よく言ったわ蒔苗ちゃん! この危機をあなたの力で救ってあげて!」
いつだって予定は変わるもの。
昨日だってそうだったし、今日もそうだった。
でも、戸惑いよりや不安よりも高揚感の方が大きい。
育美さんの言葉を受けて、使命感を感じている私がいる。
私もDMD操者……ロマンチストってことね!
「どっちも正解よ。有志のDMD操者の手も借りるし、このマシンベースに所属してる『首都第七対迷宮部隊』も動かすわ」
「た、対迷宮部隊……!」
すごいカッコいい響き……!
流石はダンジョンから人々を守るマシンベースだ。
ちゃんと戦闘のプロフェッショナルが待機しているのね!
「どれくらいの規模の部隊なんですか! その首都第七対迷宮部隊は!」
「4機で構成される小隊が4つ。つまり16機で構成された部隊になるわね」
「16機……?」
専門知識がない私にはよくわからないけど、気持ち的にはかなり少ない気がする。
何百機ものDMDがズラッと整列してる光景を想像してたからなぁ……なんて思っていたら、それを察した育美さんがちょっと苦笑いしながらこう言った。
「やっぱり、カッコいい名前の割にちょっと少なく感じる?」
「ええ、まあ……」
「残念ながら実際に動ける機体はもっと少ないのよね……。部隊ごとに交代で休みを取ってるから1小隊は常に欠けていて、さらに各ダンジョンの定期調査みたいな任務で1小隊が駆り出されるから、このマシンベースで常に動かせる戦力としては……8機が限界なの」
「8機!? それは流石に少ないんじゃ……!?」
「うーん、私もそう思うのよねぇ。昔はフリーのDMD操者が少なくて、新しいダンジョンの出現ペースも早かったから、それに備えるために多くのDMD操者がマシンベースに所属していたらしいんだけど……」
「それがどうしてこんなに減ってしまったんですか?」
「原因はいくつかあって、1つ目は仕事内容の変化ね。今は緊急性のある事案が減って、さっきも言った定期調査みたいなダンジョンの管理と維持が主な仕事になっているのよ」
「それって良いことなんじゃないですか?」
「間違いなくそうよ。でも、DMD操者の人ってほら……ちょっとロマンチストじゃない? 管理と維持みたいな仕事より、危険な戦場に飛び込んでいく方が燃えるって人が多かったの。だから、やりがいを失った人が徐々に抜けていったって感じね」
「まあ……少しわからなくもないです」
「2つ目はお金の問題ね。マシンベース所属のDMD操者は公務員だから福利厚生はしっかりしてるし、お給料だって十分に出る。それに仕事中にDMDを壊してしまっても、マシンベース側が次の機体を用意してくれる。でも、成功したフリーのDMD操者の稼ぎはすごいのよねぇ~。目の前の安定した生活がかすんでしまうくらい……」
「私もDMD操者と言えばお金持ちの印象がありましたし、なんというか……その方がロマンがありますよね」
「そうなのよ。DMD操者の人ってやっぱりロマンチストなのよ。自分の腕前一つで一獲千金を狙う人生の方に惹かれるんでしょうね。あと、マシンベース側も離れていく操者たちを積極的に引き留めなかったというのも、人員が減った原因になるかな」
「お給料を上げられなかったんですか?」
「それもあるけど、一番の理由はフリーのDMD操者も緊急時に召集すればすんなり集まってくれることにあると思うわ。繰り返しになるけど、多くのDMD操者はロマンに生きてるわ。人々の平和を脅かすような緊急事態となれば、それに立ち向かうためにみんな集まってくる。かつて憧れたロボットアニメの主人公のように、自分と自分の機体で世界を救うためにね」
その気持ち……私の中にもあるような気がする。
あんまりロボットアニメとか見たことないけど。
「とはいえ、国の機関であるマシンベースの方針がそれでいいのかって意見もあるし、一応常々募集はかけてるんだけど……集まらないのよねぇ。マシンベースへの所属を強制することは出来ないし、しばらくはこの体制が続いていくんだと思うわ」
「そうですか……。じゃあ、今回の緊急事態もフリーのDMD操者が十分に集まらなかったら、戦力が足りない状態で救援に向かうことになるんですね」
「そうなってしまうわね。正直、情報が足りないからどれほどの戦力が必要かはわからないけど、多いに越したことはないと思ってるわ」
「……私、フリーのDMD操者として救援部隊に参加してもいいですか? 役に立つかはわかりませんけど、私も戦いたいです!」
「うん! 蒔苗ちゃんが決めたことなら私は反対しない! それに今の蒔苗ちゃんなら十分戦力になると思うわ」
「ありがとうございます! あ、でも、もしかしたら大爆発を起こす可能性があるんですよね……。私自身が無事でもアイオロス・ゼロが壊れちゃったら……」
「それは心配しなくていいわ。大量発生が確認された時点でDエナジーの濃縮は停止してるから、すべてが消し飛ぶような爆発は起こらないはずよ。でも、この戦いは今までで一番過酷なものになると思う。アイオロス・ゼロが壊れる可能性は、爆発が起こらなくても存在していることは覚えておかないといけないわ」
「……はい、わかりました! それでも私は行きます!」
「よく言ったわ蒔苗ちゃん! この危機をあなたの力で救ってあげて!」
いつだって予定は変わるもの。
昨日だってそうだったし、今日もそうだった。
でも、戸惑いよりや不安よりも高揚感の方が大きい。
育美さんの言葉を受けて、使命感を感じている私がいる。
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