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8話 出会い

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 日が昇る頃、ベットに降り注ぐ日光で目を覚ます。

「ふかふかで気持ちよかったね!」

「こんなふかふかなの初めてだ」

「拙者はやはり布団がいいのじゃ」

 起床したタイミングで、トイレに行きたくなる少年。
 しかし、部屋にトイレはなく外に行かなければならないみたいだった。

「トイレしたいから外行ってるよ~」

 そう言い残し、ドアに手をかけ押す。
 が、一向に開く気配がない。少年は焦りを感じ思いっきり押す。しかし、それも無意味びくともしない。

「あ、開かないんだけど手伝ってくれない?」

「え?そんな事ある??」

 アリスが反応する。プカプカと近づき不思議に思ったアリスは自身の能力《透視》を使い扉を見る。

「イズヤ、これ鍵かけられてる」

 驚く少年、アリスそして頭を抱える少女。
 
「やっぱり騙されてたのじゃ」

「そんな…」

 落ち込む少年にため息をつく少女。
 浮かぶアリスは扉の向こうを《透視》し、状況を確認。

「とりあえず、この扉呪術の様なもので開かなくなってるよ」

「よりにもよって呪術でござるか」

 頭を抱える少女に近づく少年。
 少女の肩を両手でゆすり優しく喋る。

「呪術なら俺が解けるかもよ?その箇所さえ分かれば」

「その手があったのじゃ!!」

 少年の提案に唖然にとられる少女。
 少年は一度、古蔵に掛けられた鎖をいとも簡単に解いていた。これを少女は忘れていたのだ。

「アリス、何処に呪術あるか教えてくれない?」

「んーと、扉の右上のかな」

「サンキュー!」

 少年はすぐに行動に起こが、扉の右上まで手が届かない。
 落ち着いて見渡すと部屋の片隅に椅子が置いてあった。
 それを使い、少年は扉の右上に触れた。
 瞬間、甲高い音が部屋中に響いた。例えるなら黒板を爪で引っ掻いた時の様な。

「うるさ…でも、開いた?」

「試すのじゃ」

 少女はベットから素早く降り、扉を押した。
 
「開いたのじゃ!」
「お!」
「やったね!」

  嬉しさに浸かる3人だったが、先程の甲高い音に反応した兵たちが近寄る。

「早く逃げよう。ここは危険みたいだ」

 足早に逃げる3人を追いかける兵士達。
 右や左、下や上と入り組んだ通路のおかげで3人は逃げ切ることが出来た。
 やがて少年に尿意がやってきた。

「ごめん、俺トイレ行ってくるわ」

「気をつけるのじゃよ」

 何処かの部屋の片隅に隠れる二人。そしてトイレに向かう少年。
 トイレは割とすぐに見つかった。

「あー良かった良かった」

 独り言をボツボツとしながら用を足していると、入り口方面から足音が聞こえた。
ーー嘘、俺やばくね…?
 少年は全力で用を足して個室に入る。勿論バレない様に鍵は閉めない。
やがて、入り口から二人兵士が入ってきた。

「俺、大便するからお前先行ってて」

「おけー」

 ーーやばい…ここのトイレの個室は2つ。その内一つは俺が入ってる。
 鼓動が高鳴る中、少年は神にも祈る思いで、両手を合わせ目をつぶる。

ガチャとドアの開く音、少年は同時にドアの方向を目視。

ドアは開いてはいなかった。
 やがて、大便の方もいなくなると少年は手を洗う。そして、出て行こうとした瞬間、鏡に髭の生えた男の姿が映る。

「よぉ?」

◇◆◇
部屋の中央の机にはワインボトルとワイングラス。

「お父様!おはようございます!」

「おはよう」

「今日は是非お父様に昨日捕まえた奴らを見て頂きたいのです!」

「いいだろう。しかし、居なかったら…分かってるな?」

「はい!喜んで牢獄へ行きます!安心してください!呪術をかけておきましたので出てこれません!」

 父親を先導する金髪の男の子。そして昨日と同じ部屋につき、ドアが開いていることに気づく。

「こ、これは…!?」

「ランズ。約束は約束だ」

 「はい!喜んで牢獄へ行ってまいります!」

 無理な笑顔に顔を滴る涙。その顔からは憎しみ以外何も感じる事が出来ななかった。

牢獄への道の途中、独り言をボヤつく男の子。

「あいつら、ぜってぇ、ぶっ殺して、やるからな」
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