12 / 36
本編↓
第10話 最大の決断
しおりを挟む
少年と髭面の男はトイレを抜け出し既にサクラとアリスの元に着いていた。
「この人誰?!」
「誰なのじゃ?」
2人は勿論この男を知らないわけでそれで少年が突然知らない人を連れてくると無論驚くわけで。つまり正常の反応。
「紹介が遅れた!この人はエッセルさん!」
男は紹介されると照れ臭そうに髭を触りながら会釈をし「どーも」と一声上げる。
突如、焦りを見せる少女。
「不味いのじゃ。足音が沢山聞こえるのでござる」
少年とアリスは急ぎで身支度を済ませ、脱出路を探し出すが男は以前髭を触りながら窓を眺めるばかり。そんな男を見て少女はため息混じりに声を出す。
「エッセル殿、お主も早く脱出路を探して欲しいのじゃ」
すると男も窓の外を見ながら一声。
「んー?探してるよぉ~。あ、あったぁ」
一同は困惑を隠せなかった。探してるといいつつ、外を見ると言う行為。それは矛盾そのものだったからだ。まさか、地上から遠く離れたこのお城から飛び降りるなどという自殺行為をするとは考えない。少年らは問う。
「エッセルさん?何言ってんの?早く!」
男は、声をかけられると一歩二歩と壁に近づき窓を開ける。そして続け様に言葉を発した。
「俺に早く掴まんなぁ。捕まっちゃうよぉ?」
男が向く先は外。このまま行けば男はこの窓から外へ飛び降りるだろう。そう思った少年は男に再び問う。
「ま、まさか飛び降りる気?!」
男はそう問われるとニッコリと頬を上げ笑った。
「ピンポーン。いいセンスしてるねぇ」
眉間にしわを寄せ、目を細め、口を大きく開き意味が分からないとでも言いたげな顔をする少年。アリスとサクラは顔を見合わせて冗談でしょと言いたげな表情を浮かばす。
しかし、兵の足音は時間を追うごとに大きくなってきている。
「早く掴まんなぁ」
男が早くするよう促したその時だった。
ガシャと言う鈍い音の後に続く数々の足音。兵が部屋に入ってきたのだ。
「M001を発見!後、謎の男1人!」
少年は頭を強く搔きむしり男の元へ走って行く。アリスとサクラも決心をつけ男の元へ。
男の袖や背中に思いっきりしがみ付く。
「よしぃ、行こうかぁ!」
その瞬間、男の足元に赤い靄がかかる。
続けて男はその場から外に向かい開いた窓から飛ぶ。だがその飛距離は並大抵のものではなかった。落ちるかと思われてた一同は浮遊島南西側のダイブスポット付近にまで飛んでいた。少年らも掴むのに精一杯だった。
着地は意外にも足で普通に落ちていった。恐らくあの靄が足を護ったのだろう。
ダイブスポットに着くと少年はすぐに問いただす。
「あれ何なんだよ!何で普通の人間があんなに飛べてあの距離から落ちても怪我一つしないんだ!?」
男はクスリと、ひと笑いすると左手で髭を触り右手に例の靄をかけ話し出す。
「さっき教えてやったろぉ。《権威》を使ったんだよぉ。権威を纏わせると通常の百倍程の力は出せると言っただろぉ」
そう言うと男は靄を纏わせた右手で地面を殴る。
すると地面は何重にもえぐれ、見るも無残な状態と化した。
「こんな感じでなぁ。これをお前らにマスターしてもらうかなぁ」
◇◆◇
城内、王室会議場。
背丈より大きな椅子に座る男と膝をつき、頭を下げる男の姿。
「すいません。M001を取り逃がしてしまいました」
「何だと?このワシの城でじゃと?」
「はい。誠に申し訳ございません」
「もう良い。M002を使え」
「しかし、あれはまだ…」
「いいから使えと言っとるのだ!」
「はっ!」
「この人誰?!」
「誰なのじゃ?」
2人は勿論この男を知らないわけでそれで少年が突然知らない人を連れてくると無論驚くわけで。つまり正常の反応。
「紹介が遅れた!この人はエッセルさん!」
男は紹介されると照れ臭そうに髭を触りながら会釈をし「どーも」と一声上げる。
突如、焦りを見せる少女。
「不味いのじゃ。足音が沢山聞こえるのでござる」
少年とアリスは急ぎで身支度を済ませ、脱出路を探し出すが男は以前髭を触りながら窓を眺めるばかり。そんな男を見て少女はため息混じりに声を出す。
「エッセル殿、お主も早く脱出路を探して欲しいのじゃ」
すると男も窓の外を見ながら一声。
「んー?探してるよぉ~。あ、あったぁ」
一同は困惑を隠せなかった。探してるといいつつ、外を見ると言う行為。それは矛盾そのものだったからだ。まさか、地上から遠く離れたこのお城から飛び降りるなどという自殺行為をするとは考えない。少年らは問う。
「エッセルさん?何言ってんの?早く!」
男は、声をかけられると一歩二歩と壁に近づき窓を開ける。そして続け様に言葉を発した。
「俺に早く掴まんなぁ。捕まっちゃうよぉ?」
男が向く先は外。このまま行けば男はこの窓から外へ飛び降りるだろう。そう思った少年は男に再び問う。
「ま、まさか飛び降りる気?!」
男はそう問われるとニッコリと頬を上げ笑った。
「ピンポーン。いいセンスしてるねぇ」
眉間にしわを寄せ、目を細め、口を大きく開き意味が分からないとでも言いたげな顔をする少年。アリスとサクラは顔を見合わせて冗談でしょと言いたげな表情を浮かばす。
しかし、兵の足音は時間を追うごとに大きくなってきている。
「早く掴まんなぁ」
男が早くするよう促したその時だった。
ガシャと言う鈍い音の後に続く数々の足音。兵が部屋に入ってきたのだ。
「M001を発見!後、謎の男1人!」
少年は頭を強く搔きむしり男の元へ走って行く。アリスとサクラも決心をつけ男の元へ。
男の袖や背中に思いっきりしがみ付く。
「よしぃ、行こうかぁ!」
その瞬間、男の足元に赤い靄がかかる。
続けて男はその場から外に向かい開いた窓から飛ぶ。だがその飛距離は並大抵のものではなかった。落ちるかと思われてた一同は浮遊島南西側のダイブスポット付近にまで飛んでいた。少年らも掴むのに精一杯だった。
着地は意外にも足で普通に落ちていった。恐らくあの靄が足を護ったのだろう。
ダイブスポットに着くと少年はすぐに問いただす。
「あれ何なんだよ!何で普通の人間があんなに飛べてあの距離から落ちても怪我一つしないんだ!?」
男はクスリと、ひと笑いすると左手で髭を触り右手に例の靄をかけ話し出す。
「さっき教えてやったろぉ。《権威》を使ったんだよぉ。権威を纏わせると通常の百倍程の力は出せると言っただろぉ」
そう言うと男は靄を纏わせた右手で地面を殴る。
すると地面は何重にもえぐれ、見るも無残な状態と化した。
「こんな感じでなぁ。これをお前らにマスターしてもらうかなぁ」
◇◆◇
城内、王室会議場。
背丈より大きな椅子に座る男と膝をつき、頭を下げる男の姿。
「すいません。M001を取り逃がしてしまいました」
「何だと?このワシの城でじゃと?」
「はい。誠に申し訳ございません」
「もう良い。M002を使え」
「しかし、あれはまだ…」
「いいから使えと言っとるのだ!」
「はっ!」
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
『ラズーン』第二部
segakiyui
ファンタジー
謎を秘めた美貌の付き人アシャとともに、統合府ラズーンへのユーノの旅は続く。様々な国、様々な生き物に出逢ううち、少しずつ気持ちが開いていくのだが、アシャへの揺れる恋心は行き場をなくしたまま。一方アシャも見る見るユーノに引き寄せられていく自分に戸惑う。
翼のない竜-土竜の話-
12時のトキノカネ
ファンタジー
日本で普通に生きてた俺だけど、どうやら死んでしまったらしい。
そして異世界で竜に生まれ変わったようだ。竜と言っても翼のない土竜だ。
生まれた直後から前世の記憶はあった。周囲は草食のアルゼンチノサウルスみたいな連中ばかり。10年、育つのを待って異世界と言ったら剣と魔法。冒険でしょう!と竜の群れを抜けて旅をはじめた。まずは手始めに一番近い人間の居住エリアに。初バトルはドラゴンブレス。旅の仲間は胡散臭い。主人公は重度の厨二病患者。オレツエェエエエを信じて疑わないアホ。
俺様最強を目指して斜めに向かっている土竜の成長物語です。
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
祖母の家の倉庫が異世界に通じているので異世界間貿易を行うことにしました。
rijisei
ファンタジー
偶然祖母の倉庫の奥に異世界へと通じるドアを見つけてしまった、祖母は他界しており、詳しい事情を教えてくれる人は居ない、自分の目と足で調べていくしかない、中々信じられない機会を無駄にしない為に異世界と現代を行き来奔走しながら、お互いの世界で必要なものを融通し合い、貿易生活をしていく、ご都合主義は当たり前、後付け設定も当たり前、よくある設定ではありますが、軽いです、更新はなるべく頑張ります。1話短めです、2000文字程度にしております、誤字は多めで初投稿で読みにくい部分も多々あるかと思いますがご容赦ください、更新は1日1話はします、多ければ5話ぐらいさくさくとしていきます、そんな興味をそそるようなタイトルを付けてはいないので期待せずに読んでいただけたらと思います、暗い話はないです、時間の無駄になってしまったらご勘弁を
Fragment-memory of future-Ⅱ
黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁
Repost is prohibited.
무단 전하 금지
禁止擅自转载
W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、一昔前のRPGを彷彿させるようなストーリーになります。
バトル要素あり。BL要素あります。苦手な方はご注意を。
今作は前作『Fragment-memory of future-』の二部作目になります。
カクヨム・ノベルアップ+でも投稿しています
Copyright 2019 黒乃
******
主人公のレイが女神の巫女として覚醒してから2年の月日が経った。
主人公のエイリークが仲間を取り戻してから2年の月日が経った。
平和かと思われていた世界。
しかし裏では確実に不穏な影が蠢いていた。
彼らに訪れる新たな脅威とは──?
──それは過去から未来へ紡ぐ物語
百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜
幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。
魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。
そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。
「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」
唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。
「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」
シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。
これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。
異世界召喚されたら【聖女様】って呼ばれたんですけど、正装がバニーガールなんですけど!!??
綾瀬 りょう
ファンタジー
異世界に召喚されて聖女様って呼ばれるのは別にいいんですけど、正装がバニーガールだなんて、聞いてないよ?!?
主人公
炎谷 美麗(ぬくたに みれい)24歳。大学を卒業して就職した職場で頑張るぞ!!と思っていたらいつの間にか異世界に召喚されていた!!聖女様の正装がバニーガールというのだけ信じられないんですけども!?!
ミュゼァ26歳 前聖女の子にて歴代最強の魔法の使い手。第一王子の右腕的役割を果たしている、ところもあるとかないとか。
オズワルド26歳 リュー国の第一王子。聖女が国に縛られることを好んでいないが、魔物や邪気などから国を守れる力を持っているのが選ばれた人だけなので、全力で守ろうと思っている面もある。
遊び人に見えるけど責任感が強い。婚約者がいる。
【小説家になろう・カクヨムにも同等の作品を掲載】
終焉の謳い手~破壊の騎士と旋律の戦姫~
柚月 ひなた
ファンタジー
理想郷≪アルカディア≫と名付けられた世界。
世界は紛争や魔獣の出現など、多くの問題を抱え混沌としていた。
そんな世界で、破壊の力を宿す騎士ルーカスは、旋律の戦姫イリアと出会う。
彼女は歌で魔術の奇跡を体現する詠唱士≪コラール≫。過去にルーカスを絶望から救った恩人だ。
だが、再会したイリアは記憶喪失でルーカスを覚えていなかった。
原因は呪詛。記憶がない不安と呪詛に苦しむ彼女にルーカスは「この名に懸けて誓おう。君を助け、君の力になると——」と、騎士の誓いを贈り奮い立つ。
かくして、ルーカスとイリアは仲間達と共に様々な問題と陰謀に立ち向かって行くが、やがて逃れ得ぬ宿命を知り、選択を迫られる。
何を救う為、何を犠牲にするのか——。
これは剣と魔法、歌と愛で紡ぐ、終焉と救済の物語。
ダークでスイートなバトルロマンスファンタジー、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる