6 / 24
本編【22時投稿】
VIll 『アイクとリュー』前編
しおりを挟む
場所は変わり、エターナル王国・城下町郊外、ゴミ捨て場付近。
「と、まぁ。おふざけはここまでにして…女の子についてなんだけど…」
リューは今までのやり取りは『おふざけだった』とひとまとめにし、単刀直入に正体不明の『女の子』について切り出す。
「絵、踏んでなかったし魔族なんじゃねーの?」
対して、アイクは頭を掻き面倒臭そうにして適当に応答する。
その態度は、アイク含め他の4人からしたら特に何の感情も抱く事はなかっただろう。
が、ただ1人その態度を気に食わない様子の男がいた。
「お前は、彼女が心配じゃないのか?」
「はぁ?なに言ってんだよリュー。」
「だから、心配じゃないのかって聞いてるんだよ」
「心配じゃないと言ったら嘘になるが心配だと言っても嘘になる」
アイクの適当ぶりがリューの琴線を掠る。
2人の討論は徐々に激しさを増し、ついには、座っていたはずのリューが立ちそれに応じるかの様にアイクも立つ。
「リュー…!頭を冷やしてください。あなたらしくない」
いつ2人が拳と拳のぶつかり合い。つまり、喧嘩をしてもおかしくない程の緊張感が走る中、リューの名前を力強く叫ぶ者がいた。
「ーーーー」
それを聞いたリューは、我を取り戻し少し、冷静になる。
「どうしたんですか?あなたともあろうお方が」
2人の言い合いに口を挟み、仲裁したのはソルトだった。
今、このタイミングでソルトが口を挟まなければ、恐らく彼の口論は激しさを増し、最悪乱闘にまでなる可能性すらあっただろう。
「ーーいや、ごめんな。何でもないんだ」
リューは多少黙った後、自分に「ダメだ」と言い聞かせるかの様に首を振る。
そして、続けざまに口を開き…
「でも、アイクーー」
リューは名前を呼び何かを言いたげだったが、少し躊躇いを見せる。そう、リューの心はまだ決まっていなかった。
彼は、ここで先ほどのアイクの行動について言及すればまた、喧嘩になる可能性を懸念していたのだ。
が、瞬間。彼の脳裏をある言葉がよぎった。
それは遡る事20年。
【20年前】
その時、彼らレジェンド達5人は戦場にいた。
「ーーーーッ!」
「ヤバイにゃ!!ガチでマジでヤバイにゃ!!」
ーーレジェンド達5人は極限状態に追い込まれていた。
彼ら5人の任務は敵陣で『本隊』を叩くという任務だった。常識的に考えると、5人で100人以上の『隊』を壊滅させるのは不可能。
が、彼らにはある強みがあった。
そう、彼らの真骨頂は神速で走り抜け敵を切るリューをアイクが鋼鉄をも砕く頑丈な盾で守り、それをソルトが回復。同時、シャルが後方から攻撃。という他の誰にも真似をする事が出来ない連携だった。(ちなみに、この時シズクは、腹痛のため戦線離脱中。
しかし、この日に限ってまるで連携がなってない。原因はアイクだった。
彼の役割はリューを守るという役割だったのだが、何故かこの日は守るのではなく攻撃をしていた。
「アイク!お前ーー」
リューはここで次の言葉をいうのを踏みとどまった。
理由は明確。アイクが我を見失って暴走していたからだ。そんな彼に今、刺激をしたら、こちらに飛び火するかもしれない。そう考えたからだ。
そうして、リューは思いとどまった。
ーーこの日は連携が出来ていなかったせいか、ぼろ負けだった。レジェンド全員が傷を負っており、特にアイクは深手。
場の雰囲気は最悪だった。
「どうして、あんな行動したんだアイク?」
「ーー操られてた」
アイクが放った言葉は場を静寂に包ませた。
一同が理解に苦しむ中、1人即座に言葉の意味を理解し、顔色を変える。
その顔は『絶望』と言う2文字がくっきりと見える程だった。
「言えばよかった…言えなきゃだめだった…。どうして…どうして俺は…!!」
リューが絶望の渦に飲み込まれ、自分を責め立てることしか出来なくなってる中、その渦に手を差し伸べるかの如く、その声はリューの耳に入った。
「リュー。終わった事は仕方ねぇ。後悔はするな。気づかなかった俺も悪い。だが、これだけは言わせてくれ」
「戦場で迷うな。声をかけようと最初に思ったなら行動に出ろ。」
「俺は、おめぇの声を頼りに絶対正気に戻る。でも、それでも。ダメな様なら俺を殺してくれ。そこまでの人間だったってことだから。」
「と、まぁ。おふざけはここまでにして…女の子についてなんだけど…」
リューは今までのやり取りは『おふざけだった』とひとまとめにし、単刀直入に正体不明の『女の子』について切り出す。
「絵、踏んでなかったし魔族なんじゃねーの?」
対して、アイクは頭を掻き面倒臭そうにして適当に応答する。
その態度は、アイク含め他の4人からしたら特に何の感情も抱く事はなかっただろう。
が、ただ1人その態度を気に食わない様子の男がいた。
「お前は、彼女が心配じゃないのか?」
「はぁ?なに言ってんだよリュー。」
「だから、心配じゃないのかって聞いてるんだよ」
「心配じゃないと言ったら嘘になるが心配だと言っても嘘になる」
アイクの適当ぶりがリューの琴線を掠る。
2人の討論は徐々に激しさを増し、ついには、座っていたはずのリューが立ちそれに応じるかの様にアイクも立つ。
「リュー…!頭を冷やしてください。あなたらしくない」
いつ2人が拳と拳のぶつかり合い。つまり、喧嘩をしてもおかしくない程の緊張感が走る中、リューの名前を力強く叫ぶ者がいた。
「ーーーー」
それを聞いたリューは、我を取り戻し少し、冷静になる。
「どうしたんですか?あなたともあろうお方が」
2人の言い合いに口を挟み、仲裁したのはソルトだった。
今、このタイミングでソルトが口を挟まなければ、恐らく彼の口論は激しさを増し、最悪乱闘にまでなる可能性すらあっただろう。
「ーーいや、ごめんな。何でもないんだ」
リューは多少黙った後、自分に「ダメだ」と言い聞かせるかの様に首を振る。
そして、続けざまに口を開き…
「でも、アイクーー」
リューは名前を呼び何かを言いたげだったが、少し躊躇いを見せる。そう、リューの心はまだ決まっていなかった。
彼は、ここで先ほどのアイクの行動について言及すればまた、喧嘩になる可能性を懸念していたのだ。
が、瞬間。彼の脳裏をある言葉がよぎった。
それは遡る事20年。
【20年前】
その時、彼らレジェンド達5人は戦場にいた。
「ーーーーッ!」
「ヤバイにゃ!!ガチでマジでヤバイにゃ!!」
ーーレジェンド達5人は極限状態に追い込まれていた。
彼ら5人の任務は敵陣で『本隊』を叩くという任務だった。常識的に考えると、5人で100人以上の『隊』を壊滅させるのは不可能。
が、彼らにはある強みがあった。
そう、彼らの真骨頂は神速で走り抜け敵を切るリューをアイクが鋼鉄をも砕く頑丈な盾で守り、それをソルトが回復。同時、シャルが後方から攻撃。という他の誰にも真似をする事が出来ない連携だった。(ちなみに、この時シズクは、腹痛のため戦線離脱中。
しかし、この日に限ってまるで連携がなってない。原因はアイクだった。
彼の役割はリューを守るという役割だったのだが、何故かこの日は守るのではなく攻撃をしていた。
「アイク!お前ーー」
リューはここで次の言葉をいうのを踏みとどまった。
理由は明確。アイクが我を見失って暴走していたからだ。そんな彼に今、刺激をしたら、こちらに飛び火するかもしれない。そう考えたからだ。
そうして、リューは思いとどまった。
ーーこの日は連携が出来ていなかったせいか、ぼろ負けだった。レジェンド全員が傷を負っており、特にアイクは深手。
場の雰囲気は最悪だった。
「どうして、あんな行動したんだアイク?」
「ーー操られてた」
アイクが放った言葉は場を静寂に包ませた。
一同が理解に苦しむ中、1人即座に言葉の意味を理解し、顔色を変える。
その顔は『絶望』と言う2文字がくっきりと見える程だった。
「言えばよかった…言えなきゃだめだった…。どうして…どうして俺は…!!」
リューが絶望の渦に飲み込まれ、自分を責め立てることしか出来なくなってる中、その渦に手を差し伸べるかの如く、その声はリューの耳に入った。
「リュー。終わった事は仕方ねぇ。後悔はするな。気づかなかった俺も悪い。だが、これだけは言わせてくれ」
「戦場で迷うな。声をかけようと最初に思ったなら行動に出ろ。」
「俺は、おめぇの声を頼りに絶対正気に戻る。でも、それでも。ダメな様なら俺を殺してくれ。そこまでの人間だったってことだから。」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
なろう370000PV感謝! 遍歴の雇われ勇者は日々旅にして旅を住処とす
大森天呑
ファンタジー
〜 報酬は未定・リスクは不明? のんきな雇われ勇者は旅の日々を送る 〜
魔獣や魔物を討伐する専門のハンター『破邪』として遍歴修行の旅を続けていた青年、ライノ・クライスは、ある日ふたりの大精霊と出会った。
大精霊は、この世界を支える力の源泉であり、止まること無く世界を巡り続けている『魔力の奔流』が徐々に乱れつつあることを彼に教え、同時に、そのバランスを補正すべく『勇者』の役割を請け負うよう求める。
それも破邪の役目の延長と考え、気軽に『勇者の仕事』を引き受けたライノは、エルフの少女として顕現した大精霊の一人と共に魔力の乱れの原因を辿って旅を続けていくうちに、そこに思いも寄らぬ背景が潜んでいることに気づく・・・
ひょんなことから勇者になった青年の、ちょっと冒険っぽい旅の日々。
< 小説家になろう・カクヨム・エブリスタでも同名義、同タイトルで連載中です >
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる