上 下
7 / 23

リュカ様と夕食

しおりを挟む
やっと王太子妃教育が終わって、すぐにリュカ様が部屋に来てくれた。

「サラ、やっと仕事が片付いたよ!サラも王太子妃教育が済んだ頃かな?」

「はい!頑張りました!」

私がそう言うと、リュカ様は微笑ましいものを見る様な目で見て、頭を撫でてくれた。美形にやられるとなんだか緊張します。

「でも、リュカ様ったらひどいです。なんで立太子されていることを教えてくださらなかったんですか?」

「ごめんね。言ったらサラが緊張してしまうかと思って」

そう言うと嫌わないでというかのようにハグしてくれます。

「もう、リュカ様ったら」

「それよりもサラ、一緒に食事にしよう?そろそろ夕食の時間だろう?」

露骨に話題を逸らしてきた。リュカ様は案外可愛い方なのかもしれない。

「わかりました。あ、でも、国王陛下と王妃陛下へのご挨拶はいつすればいいのですか?」

私がそう聞くとリュカ様は、あー、と言葉を濁す。どうしたんだろう。

「…父上と母上は国内でも有名な程ラブラブでね?あまり、二人きりの時間を邪魔されるのを好まないんだ。だからお二人には今度別に時間をとってご挨拶をしようと思う」

なるほど、リュカ様のご両親は仲が良いのか。それはよかった。でも今日ご挨拶出来ないのは残念だなぁ。

「残念ですけどそういうことなら仕方ないですね。夕食に行きましょう!」

「ふふ。僕の花嫁は無邪気で可愛いね」

リュカ様はちゅっ、と私の手にキスをすると私をエスコートしてくれる。こんな良い人と結婚出来るなんて本当に役得だなぁ。

「さ、食事にしようか、僕の花嫁」

「はい、リュカ様」

リュカ様と一緒にテーブルにつく。すると使用人さん達が美味しそうなお料理を運んできてくれた。

「わあ!リュカ様、すごく豪華で美味しそうです!私こんなの食べたことないです!」

「それはよかった。実際美味しい筈だよ、食べてみて」

リュカ様に促されて一口食べてみる。…うん、美味しい!

「すごく美味しいです!」

「ふふ。僕の花嫁は食べている姿も可愛いね」

そうして私達は会話を交わしながら、食事を進めた。主に私の家族の話をした。両親の仲が良いこととか、弟妹たちが可愛いこととか、花嫁になるのに反対されたこととか、一月に一度くらいは帰るつもりでいることとか。リュカ様は全部ニコニコと微笑みながら聞いてくれた。一月に一度くらいは帰ることも認めてくれた。ただしリュカ様同伴だけど。きっとリュカ様と一緒に帰ったらみんな驚くだろうな。

「僕の花嫁は下界ではそんな生活をしていたんだね」

「はい、とっても楽しかったです!」

「なら、ここでの生活はもっと楽しいものにしないとね」

食事が終わり席を立つとリュカ様はそう言って私の頭を撫でてくれた。そうして部屋までエスコートしてくれた。

「今夜は君の部屋に行くよ。楽しみに待っていてね、僕の花嫁」

「えっ、は、はい!」

急な宣言に驚くけど、そりゃあそうだよね。夫婦だもの。が、頑張るぞ!おー!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

偽物逃避行

下菊みこと
恋愛
偽物同士の逃避行は幸せなものになるか 小説家になろう様でも投稿しています。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

痴話喧嘩はほどほどに

下菊みこと
恋愛
痴話喧嘩ともちょっと違う…?まあそんなお話です。 小説家になろう様でも投稿しています。

公爵令嬢、独立目指して頑張ります!

下菊みこと
恋愛
恋を叶えるために頑張るお話。 アルファポリス様でも投稿しています。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

何度死んで何度生まれ変わっても

下菊みこと
恋愛
ちょっとだけ人を選ぶお話かもしれないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...