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これは妖獣の花嫁となったお姉様を虐げた罰なの?

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お父様がある日突然、私たちは平民に戻ると言った。

お母様はそんなお父様のことを健気に支えるように隣にいた。

私はそんな二人を気持ち悪いなぁと思いつつも、話を聞いた。

なんでもお父様が投資詐欺にあったらしい。

話を聞いて、馬鹿だなぁと思う。

「お父様…どうか気を落とさないで。そんなことでお父様を嫌いになったりしません」

「ブルローネ…!すまない、すまない…」

「いいんです、お父様」

使えない男。

とはいえ、この世界で女性が一人で生きていける方法は少ない。

あの婚約者との婚約はどうせおじゃんなので、適当に新たな結婚が決まるまではこの親に頼るしかない。

媚はまだ売る。

「お父様は鉱夫として働くことにした。寮付きの職場だ」

「そうなのですね!私もお父様を支えられるように頑張ります!」

「ありがとう、ブルローネ…」

そして新たな住まいに移った。

新たな職場はなかなか条件が良いらしく、それなりの生活を送っていけている。

お母様がお父様の上司になんかされているのは知っているが、助けられるものでもないので知らないふり。

ああ、私自身もやっぱり汚くて気持ち悪い。

自己保身の塊でしかない、お父様とお母様の罪の子として相応しい醜い中身。

「ブルローネは美しいね」

「ふふ」

醜い私には、醜い男がお似合いだ。

お父様が鉱夫として働き、お母様が専業主婦をする中で…私は寮の近所のパン屋さんで働き出した。

そこで出会ったお客様である男に見初められた。

この男は商人だが、お父様の弟のような真っ当な商人ではない。

その上女性を美術品として扱うタイプの下衆。

「僕たちはお似合いだと思うんだ」

「ええ、私もそう思います」

「本当に?嬉しいな」

下衆同士、お似合いだ。

「ねえ、指輪を捧げても良いかな」

「え?」

「僕と結婚してほしい」

左手の薬指に指輪をはめられた。

ついにこうなった。

ここで頷けばこの男の美術品として、束縛を受ける窮屈な結婚生活が待っている。

だが、生きていくには困らなくなるし贅沢は約束される。

…ただただ、私が心の中で気持ち悪くて仕方がないと吐き気を催す日々を送るだけ。

「もちろんです」

「ありがとう」

微笑みながら、吐き気を抑える。

人を不幸にして成り上がった商人。

人を不幸にして愛を確認した歪んだ私。

なんて気持ちの悪い組み合わせだろう、反吐がでる。

でも、やっぱりお似合いだ。

「…お姉様に会いたい」

「え?」

「あ、いえ。他所に嫁いでから会っていない姉を急に思い出して」

「ああ、そうなんだね。それは寂しいね。その分僕が側にいるからね」

「ありがとうございます」

お姉様の綺麗な心に、触れたい。
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