18 / 76
あの人たちの現状を知る
しおりを挟む
「おはよー!リーシュちゃん元気ー?」
「元気ですよー!」
「あれ、リーシュもパウロと仲良いの?」
「教会に行くといつもお菓子くれるお兄ちゃんです!」
「え、何それ面白い」
パウロさんが、私たちの家に来た。
ということは。
「あ、パウロ。その後ろにいるのが餌だよね」
「そうっすよ、妖獣様」
「おれ食事場に持って行くから縄貸してー」
「はい」
パウロさんが縄を渡すとフェリーク様は罪人たちを引きずって二階に続く階段を上がる。
罪人たちは助けてとか嫌だとか叫ぶけどフェリーク様は気にしない。
そして、フェリーク様は力も凄まじく罪人たちが全員全力で抵抗しても意味がなかった。
「わあ」
「いやいや、リーシュちゃん。罪人たちだからしょうがないって。妖獣様は普段は穏やかな方だから」
「ふふ、それはもう知ってますよー。なんたって花嫁ですから」
胸を張ってそう言えば、パウロさんは破顔した。
「へへっ。リーシュちゃんが幸せそうでよかった」
「ここに来てからは穏やかで幸せな毎日ですよー」
他の神官様たちも、私の家庭事情は知っているからよかったねと声をかけてくれる。
なんか二階では、すごい叫び声が聞こえるけど気にしない。
「そうそう、あの人たちって今はどうしてるんですか?」
「え。それ聞く?」
「一応聞いておきたいですねー」
私がそう言えば、パウロさんは言った。
「…幸せそうだよ」
「ですよねー、もっと詳しく」
「男爵様は全てが上手くいったと嬉しそう」
「わあ、清々しいほどのクズ」
我が父ながらドン引きだよ。
「奥様は…普段は幸せそうに笑っているけれど、ふとした瞬間影がさすから何かしら思うところはありそうだけど」
「へえ」
あの人が今更何を思うのだろう。
まあいいけど。
「妹御は相変わらずだね。婚約者になった彼とよろしくやってるよ」
「爛れてるなぁ」
「彼も妹御と幸せそうだね」
「もげてしまえ」
明け透けな私の物言いに、パウロさんは苦笑する。
「リーシュちゃんは相変わらずだねぇ」
「お口が悪いのは誰に似たんでしょう」
「どうだろう」
そんなことを話していたら、他の神官様がパウロのが移ったのではとツッコミを入れる。
「えー、そんなことないよぉ。ね、リーシュちゃん」
「いや、明け透けな物言いはたしかにパウロさんの影響ありそう」
「えー!?」
そんな会話をしていると、二階からフェリーク様が降りてきた。
「ただいま、リーシュ」
「おかえりなさいませ」
ミネットちゃんがいそいそと清潔な濡らしたタオルを渡してくれて、私がフェリーク様のお口元と手を拭う。
「おお、すっかりおしどり夫婦だ」
「でしょ?リーシュはおれの自慢のお嫁さんだからね」
「でもこれからもっともっと仲良くなりますよー!見ててくださいね!」
「定期的に見にきまーす」
そしてパウロさんや他の神官様たちは帰っていった。
「ところでフェリーク様」
「なに?」
「お肉って放置して腐らないんですか?」
「魔力を使って防腐してるから平気」
「へー」
魔法って本当に便利。
私魔力ないから無縁だけど。
魔術も得意じゃないしなぁ。
「元気ですよー!」
「あれ、リーシュもパウロと仲良いの?」
「教会に行くといつもお菓子くれるお兄ちゃんです!」
「え、何それ面白い」
パウロさんが、私たちの家に来た。
ということは。
「あ、パウロ。その後ろにいるのが餌だよね」
「そうっすよ、妖獣様」
「おれ食事場に持って行くから縄貸してー」
「はい」
パウロさんが縄を渡すとフェリーク様は罪人たちを引きずって二階に続く階段を上がる。
罪人たちは助けてとか嫌だとか叫ぶけどフェリーク様は気にしない。
そして、フェリーク様は力も凄まじく罪人たちが全員全力で抵抗しても意味がなかった。
「わあ」
「いやいや、リーシュちゃん。罪人たちだからしょうがないって。妖獣様は普段は穏やかな方だから」
「ふふ、それはもう知ってますよー。なんたって花嫁ですから」
胸を張ってそう言えば、パウロさんは破顔した。
「へへっ。リーシュちゃんが幸せそうでよかった」
「ここに来てからは穏やかで幸せな毎日ですよー」
他の神官様たちも、私の家庭事情は知っているからよかったねと声をかけてくれる。
なんか二階では、すごい叫び声が聞こえるけど気にしない。
「そうそう、あの人たちって今はどうしてるんですか?」
「え。それ聞く?」
「一応聞いておきたいですねー」
私がそう言えば、パウロさんは言った。
「…幸せそうだよ」
「ですよねー、もっと詳しく」
「男爵様は全てが上手くいったと嬉しそう」
「わあ、清々しいほどのクズ」
我が父ながらドン引きだよ。
「奥様は…普段は幸せそうに笑っているけれど、ふとした瞬間影がさすから何かしら思うところはありそうだけど」
「へえ」
あの人が今更何を思うのだろう。
まあいいけど。
「妹御は相変わらずだね。婚約者になった彼とよろしくやってるよ」
「爛れてるなぁ」
「彼も妹御と幸せそうだね」
「もげてしまえ」
明け透けな私の物言いに、パウロさんは苦笑する。
「リーシュちゃんは相変わらずだねぇ」
「お口が悪いのは誰に似たんでしょう」
「どうだろう」
そんなことを話していたら、他の神官様がパウロのが移ったのではとツッコミを入れる。
「えー、そんなことないよぉ。ね、リーシュちゃん」
「いや、明け透けな物言いはたしかにパウロさんの影響ありそう」
「えー!?」
そんな会話をしていると、二階からフェリーク様が降りてきた。
「ただいま、リーシュ」
「おかえりなさいませ」
ミネットちゃんがいそいそと清潔な濡らしたタオルを渡してくれて、私がフェリーク様のお口元と手を拭う。
「おお、すっかりおしどり夫婦だ」
「でしょ?リーシュはおれの自慢のお嫁さんだからね」
「でもこれからもっともっと仲良くなりますよー!見ててくださいね!」
「定期的に見にきまーす」
そしてパウロさんや他の神官様たちは帰っていった。
「ところでフェリーク様」
「なに?」
「お肉って放置して腐らないんですか?」
「魔力を使って防腐してるから平気」
「へー」
魔法って本当に便利。
私魔力ないから無縁だけど。
魔術も得意じゃないしなぁ。
130
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~
薄味メロン
恋愛
HOTランキング 1位 (2019.9.18)
お気に入り4000人突破しました。
次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。
だが、誰も知らなかった。
「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」
「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」
メアリが、追放の準備を整えていたことに。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。
あおい
恋愛
貴方に愛を伝えてもほぼ無意味だと私は気づきました。婚約相手は学園に入ってから、ずっと沢山の女性と遊んでばかり。それに加えて、私に沢山の暴言を仰った。政略婚約は母を見て大変だと知っていたので、愛のある結婚をしようと努力したつもりでしたが、貴方には届きませんでしたね。もう、諦めますわ。
貴方の為に着飾る事も、髪を伸ばす事も、止めます。私も自由にしたいので貴方も好きにおやりになって。
…あの、今更謝るなんてどういうつもりなんです?
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
転生悪役令嬢、物語の動きに逆らっていたら運命の番発見!?
下菊みこと
恋愛
世界でも獣人族と人族が手を取り合って暮らす国、アルヴィア王国。その筆頭公爵家に生まれたのが主人公、エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌだった。わがまま放題に育っていた彼女は、しかしある日突然原因不明の頭痛に見舞われ数日間寝込み、ようやく落ち着いた時には別人のように良い子になっていた。
エリアーヌは、前世の記憶を思い出したのである。その記憶が正しければ、この世界はエリアーヌのやり込んでいた乙女ゲームの世界。そして、エリアーヌは人族の平民出身である聖女…つまりヒロインを虐めて、規律の厳しい問題児だらけの修道院に送られる悪役令嬢だった!
なんとか方向を変えようと、あれやこれやと動いている間に獣人族である彼女は、運命の番を発見!?そして、孤児だった人族の番を連れて帰りなんやかんやとお世話することに。
果たしてエリアーヌは運命の番を幸せに出来るのか。
そしてエリアーヌ自身の明日はどっちだ!?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる