6 / 76
食事をする
しおりを挟む
フェリーク様の食事を待つ間に私も食事を済ませてしまおうかと思い、ミネットちゃんにお願いする。
「ミネットちゃん、食事の用意をお願いできる?」
「にゃーん」
ミネットちゃんはキッチンに行く。
どんな風に作るのかなと思ったら魔法で包丁やらなにやらを動かしてあっという間に美味しそうな具沢山チャーハンを作り上げた。
何故チャーハン?とは思うが具沢山だから栄養満点でボリュームもあるし美味しそう。
「すごいね、ミネットちゃん!」
「にゃーん」
早速食べようかなと思ったが、そこでフェリーク様が降りてきた。
「お、リーシュもお食事?」
「あ、はい。すみません勝手に」
「いいんだよ。ねぇ、リーシュのお食事オレも見ていていいかい?」
「いいですよ。でもその前に、ちょっと腕と口を拭きましょうか」
「あ、そうだそうだ」
血塗れになっているのを遠回しに指摘する。ミネットちゃんはさっとフェリーク様に濡らしたタオルを渡す。
ふと思い立ってフェリーク様のところに行って、タオルをもらってみた。
「リーシュ?どうしたの?」
「フェリーク様、私が拭いてもいいですか?」
「え?うん」
フェリーク様の口元や手を優しく拭う。
フェリーク様はなんだか気恥ずかしそうに嬉しそうに笑う。
「ふふ、これも初めてだ」
「そうですよね」
「なんかいいな、これ。明日も頼める?」
「いいですよ」
拭き終わるとミネットちゃんにタオルを渡す。
そしてフェリーク様の頭を撫でた。
「ふふ、おれこれすきだな」
「それは良かった」
「あ、でもご飯冷めちゃうよ」
「あ」
急いでテーブルに戻る。
「いただきます」
手を合わせて食べ始める私を、フェリーク様は向かいの席で穏やかな顔で見つめる。
「にゃーん」
「美味しいかってさ」
「美味しいよぉ、ミネットちゃんは天才だね!」
「にゃーん!」
「それほどでもあるってさ」
いやほんとそれほどでもある。
天才的に美味しい。
「ねえ、リーシュ。それってチャーハンってやつだよね?どんな味なのかな」
「うん?んーと、お米がパラパラしてて、具材もたくさんだから味に飽きなくて…とりあえず最高に美味しいです!」
下手な説明だが許してほしい。
私はそんなにグルメではない。
「へえ、面白いね」
フェリーク様はそんな私にもにこにこしてくれて、なんだか今度はこっちが気恥ずかしくなる。
「ねぇ、リーシュはどう思うの」
「ん?」
「あ、いや。食事中に聞くことじゃないね」
なんでもない、と誤魔化すフェリーク様に無理矢理続きを促す。
「なんでもありますよね?言って欲しいです」
「…本当に食事中に聞くことじゃないんだけど」
「いいですよ、どうぞ」
少し困ったような顔でおずおずと聞いてくるのは、ちょっと悲しいこと。
「ヒトの形をしたオレが、人しか食べられないのってどうなの?」
「別にいいんじゃないでしょうか」
「え」
「他の食べ物が食べられないのは物凄く可哀想ですけど…他の動物だって食べれる状況なら人間も食べるんですし、人間同士でも飢餓や独自の風習で同族喰いはありますし」
「ふふ、めちゃくちゃ直球に可哀想とか言うじゃん」
ていうか人間にも同族喰いとかあるんだねと謎の学習をさせてしまったところでチャーハンに向き直る。
美味しい。
「食事中に変なこと聞いてごめんね」
「大丈夫です。私、自分で思っていた数倍は神経図太いらしいので」
ここに来て初めて知ったんですけどね。
そう言えばフェリーク様は笑った。
「ふう、お腹いっぱい!ご馳走さまでした!」
「にゃーん!」
ミネットちゃんはさっと食器を下げてくれる。
「時計時計…まだお風呂にはちょっと早いなぁ」
「あと一時間くらいしたら入りましょうかね」
「おれの残り湯は嫌だろうし先入っていいからね」
「別に嫌ではないですけど、お言葉に甘えて」
さて、お風呂までは何をしようか。
「そういえば、失礼な質問していいですか」
「うん」
「フェリーク様って親とか友達っているんですか」
「うわ、直球」
身も蓋もない私の質問に笑うフェリーク様。
「リーシュって本当に面白いね。実の親は…神さまかなぁ。粘土捏ねて作られたから」
「へえ」
「驚きもしない」
「いや、私が習った神話では人間も元は土人形でしたから」
「へー、何教?」
「聖神教です」
ふうん、と短く呟く。
「育ての親は旅の賢者八百年生きてて俺より長生き」
「わあ、人間?」
「人間だけど魔力多すぎて死ねないんだって」
「可哀想」
「だよねー。でも本人は至って普通に人生楽しんでるよ」
そんなもんかぁとひとりごちる。
「友達は…西の森の精霊王くん」
「え」
「なんか可哀想な生き物認定されて良くしてくれてる」
「それは友達かなぁ」
「彼曰く心の友らしいよ。おれも彼は好きだし」
なら友達かぁ、と呟くとフェリーク様は笑う。
「リーシュって今までに会ったことないタイプで面白いや」
「めちゃくちゃ失礼な小娘ですけど大丈夫です?」
「むしろ肩肘張らなくて済むから楽ー」
そう言って笑ってくれるフェリーク様は良い人だ。
好き。
「ミネットちゃん、食事の用意をお願いできる?」
「にゃーん」
ミネットちゃんはキッチンに行く。
どんな風に作るのかなと思ったら魔法で包丁やらなにやらを動かしてあっという間に美味しそうな具沢山チャーハンを作り上げた。
何故チャーハン?とは思うが具沢山だから栄養満点でボリュームもあるし美味しそう。
「すごいね、ミネットちゃん!」
「にゃーん」
早速食べようかなと思ったが、そこでフェリーク様が降りてきた。
「お、リーシュもお食事?」
「あ、はい。すみません勝手に」
「いいんだよ。ねぇ、リーシュのお食事オレも見ていていいかい?」
「いいですよ。でもその前に、ちょっと腕と口を拭きましょうか」
「あ、そうだそうだ」
血塗れになっているのを遠回しに指摘する。ミネットちゃんはさっとフェリーク様に濡らしたタオルを渡す。
ふと思い立ってフェリーク様のところに行って、タオルをもらってみた。
「リーシュ?どうしたの?」
「フェリーク様、私が拭いてもいいですか?」
「え?うん」
フェリーク様の口元や手を優しく拭う。
フェリーク様はなんだか気恥ずかしそうに嬉しそうに笑う。
「ふふ、これも初めてだ」
「そうですよね」
「なんかいいな、これ。明日も頼める?」
「いいですよ」
拭き終わるとミネットちゃんにタオルを渡す。
そしてフェリーク様の頭を撫でた。
「ふふ、おれこれすきだな」
「それは良かった」
「あ、でもご飯冷めちゃうよ」
「あ」
急いでテーブルに戻る。
「いただきます」
手を合わせて食べ始める私を、フェリーク様は向かいの席で穏やかな顔で見つめる。
「にゃーん」
「美味しいかってさ」
「美味しいよぉ、ミネットちゃんは天才だね!」
「にゃーん!」
「それほどでもあるってさ」
いやほんとそれほどでもある。
天才的に美味しい。
「ねえ、リーシュ。それってチャーハンってやつだよね?どんな味なのかな」
「うん?んーと、お米がパラパラしてて、具材もたくさんだから味に飽きなくて…とりあえず最高に美味しいです!」
下手な説明だが許してほしい。
私はそんなにグルメではない。
「へえ、面白いね」
フェリーク様はそんな私にもにこにこしてくれて、なんだか今度はこっちが気恥ずかしくなる。
「ねぇ、リーシュはどう思うの」
「ん?」
「あ、いや。食事中に聞くことじゃないね」
なんでもない、と誤魔化すフェリーク様に無理矢理続きを促す。
「なんでもありますよね?言って欲しいです」
「…本当に食事中に聞くことじゃないんだけど」
「いいですよ、どうぞ」
少し困ったような顔でおずおずと聞いてくるのは、ちょっと悲しいこと。
「ヒトの形をしたオレが、人しか食べられないのってどうなの?」
「別にいいんじゃないでしょうか」
「え」
「他の食べ物が食べられないのは物凄く可哀想ですけど…他の動物だって食べれる状況なら人間も食べるんですし、人間同士でも飢餓や独自の風習で同族喰いはありますし」
「ふふ、めちゃくちゃ直球に可哀想とか言うじゃん」
ていうか人間にも同族喰いとかあるんだねと謎の学習をさせてしまったところでチャーハンに向き直る。
美味しい。
「食事中に変なこと聞いてごめんね」
「大丈夫です。私、自分で思っていた数倍は神経図太いらしいので」
ここに来て初めて知ったんですけどね。
そう言えばフェリーク様は笑った。
「ふう、お腹いっぱい!ご馳走さまでした!」
「にゃーん!」
ミネットちゃんはさっと食器を下げてくれる。
「時計時計…まだお風呂にはちょっと早いなぁ」
「あと一時間くらいしたら入りましょうかね」
「おれの残り湯は嫌だろうし先入っていいからね」
「別に嫌ではないですけど、お言葉に甘えて」
さて、お風呂までは何をしようか。
「そういえば、失礼な質問していいですか」
「うん」
「フェリーク様って親とか友達っているんですか」
「うわ、直球」
身も蓋もない私の質問に笑うフェリーク様。
「リーシュって本当に面白いね。実の親は…神さまかなぁ。粘土捏ねて作られたから」
「へえ」
「驚きもしない」
「いや、私が習った神話では人間も元は土人形でしたから」
「へー、何教?」
「聖神教です」
ふうん、と短く呟く。
「育ての親は旅の賢者八百年生きてて俺より長生き」
「わあ、人間?」
「人間だけど魔力多すぎて死ねないんだって」
「可哀想」
「だよねー。でも本人は至って普通に人生楽しんでるよ」
そんなもんかぁとひとりごちる。
「友達は…西の森の精霊王くん」
「え」
「なんか可哀想な生き物認定されて良くしてくれてる」
「それは友達かなぁ」
「彼曰く心の友らしいよ。おれも彼は好きだし」
なら友達かぁ、と呟くとフェリーク様は笑う。
「リーシュって今までに会ったことないタイプで面白いや」
「めちゃくちゃ失礼な小娘ですけど大丈夫です?」
「むしろ肩肘張らなくて済むから楽ー」
そう言って笑ってくれるフェリーク様は良い人だ。
好き。
147
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
因果応報以上の罰を
下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。
どこを取っても救いのない話。
ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる