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百合百合してますので閲覧注意です
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「ソフィア様!貴女と言う人はまた廊下を走って!」
「は、はい!すみません!」
「時間に余裕を持って行動しなさいと何度言ったらわかるの!」
「ご、ごめんなさい!」
ソフィアと呼ばれた平民を怒鳴りつけるのは公爵令嬢リゼット・オレリアン。その光景を見た者は一様に溜め息を吐く。またリゼット様の悪い癖が発動すると。
「お仕置きのデコピンです!」
「あいたっ!」
「ねえ、ソフィア。貴女はとても可愛らしい子です。私と違って華奢な体も、愛らしい顔立ちも全てが素晴らしいわ。神聖魔法を唯一この国で扱える貴女なら、きっと第一候補だった私を退けて聖女になることでしょう。だと言うのにこの体たらく。私は悲しいわ…」
「…っ!み、見捨てないでください、〝お姉様〟!」
「あらまあ、私が貴女を見捨てる訳ないでしょう?可愛いソフィア、おいで」
涙目でリゼットを見つめるソフィア。そんなソフィアを心底愛おしげに見つめ、抱きしめたリゼット。そう。完璧な令嬢であり、ソフィアが現れるまで聖女の第一候補だった彼女の悪い癖は…好きな子虐めだ。それは、余程目が節穴な者でなければすぐに気付いた。
リゼットは、ソフィアが何か失敗するとすぐに叱る。しかしそれは、愛ある叱責であることは一目瞭然だった。そんなリゼットに、ソフィアはすぐに懐いた。そして平民でありながら、その能力故に貴族の子供の通う学園に強制的に通わされた彼女は、唯一平民の自分を差別せず接してくれるリゼットに依存した。お姉様と呼び慕う。それをリゼットも許した。
それからはソフィアの地位が平民の癖にその能力で成り上がった生意気な小娘から、国一番の優秀な公爵令嬢のお気に入りとなり、あからさまな虐めは無くなった。また、リゼットを退け本当に聖女になる確率もあるのではと噂が流れた。そんなこともありますますソフィアはリゼットに傾倒する。これもまた、余程目が節穴な者でなければすぐに気付いた。
だがまあ、厄介なことに目が節穴な者はリゼットとソフィアのすぐ近くにいた。リゼットの婚約者であり、ソフィアの学園生活を支えるよう王命を受けたフレデリク・ベルナルド公爵令息である。彼は正直、愛し合う二人にとって邪魔でしかなかった。
生まれついての婚約者、リゼットを冷遇し自分なんかに現を抜かすバカな男。公爵令息でさえなければ一発殴ってやりたいとはソフィアの本音である。
またリゼットも表向きにこやかに対応するが、本音では浮気男がソフィアに近付くなと毒突いている。
自分が二人から嫌われていることにさえ気付かない節穴君は〝毒婦リゼットが自分を愛するあまり、可愛いソフィアに事あるごとに突っかかっている〟という妄想を真実だと信じている。はっきり言えば立派な〝勘違い男〟である。
「リゼット・オルレアン!君との婚約は破棄させて貰う!また、僕は将来の聖女ソフィアとの婚約をここに宣言する!」
「あらまあ」
「はい?」
食堂で、他の令嬢や令息のいる前で身勝手な婚約破棄と新たな婚約を叫ぶフレデリク。彼はそれを全ての人から祝福されると勘違いしていた。周りから投げられる冷たい視線に気付かない。リゼットは扇子で口元を隠す。その美しい顔には嘲笑が浮かんでいた。ソフィアは不快感を隠そうともせずにフレデリクを睨みつける。だが節穴君はそれにも気付かない。
「君が将来の聖女であるソフィアを平民だからと差別し、口うるさく罵っていたのは知っている!謝罪しろ!」
その瞬間、ソフィアが神聖魔法でフレデリクを吹き飛ばした。壁に激突したフレデリクは訳も分からず気絶した。目が覚める頃には、全てが終わっていたがどうしようもなかった。
リゼットはソフィアを連れて、学園長の元へ行き事の経緯を包み隠さず説明した。そして、喧嘩を売ってきたのがあちらとは言え神聖魔法を使ってしまったのは流石に不味いので自分とソフィアに一年の謹慎を与え、それで許して欲しいと割と勝手なお願いをする。しかしフレデリクの妙な勘違いを知っていて、まあ滅多なことにはならないだろうし大丈夫だろうと放置していた学園長はそれを許した。というか、それを拒否してフレデリクを放置した件を突かれたくなかった。
また謹慎期間中色々反省を促すためという名目で、ソフィアをオルレアン公爵家で預かることになった。リゼットは一年の謹慎期間、ソフィアと甘い時間を過ごす。
一方目が覚めたフレデリクは、お望み通りにリゼットとは婚約白紙となった。しかし勝手なことをしてベルナルド公爵家に泥を塗ったと廃嫡され、勘当される。平民となった、無駄にプライドが高く能力のない彼はやがてスラム街に身を落としたという。
「ねえ、ソフィア」
「はい、お姉様」
「貴女が聖女に選ばれたら、私聖女の補佐官になるわ」
「え?」
「この国では聖女やその補佐官も結婚が出来るから、色々な縁談も持ち込まれるでしょうけれど、私が上手く断ってあげる。そうしたら、ずっと一緒に居られるわね」
「お姉様!」
「でも逆は無理よ?私は実力とオルレアン公爵家のコネで簡単に補佐官になれるけれど、貴女には後ろ盾がないもの」
「そんな…」
「だから絶対に、私を退けて聖女に選ばれなさい。いいわね?」
「はい、お姉様!」
そして一年が経ち、謹慎が明けて学園に戻った二人は無事にニ年間を過ごし卒業。ソフィアが聖女に選ばれ、リゼットがその補佐官となり、国は二人の働きによって栄えた。二人は生涯独身を貫いたという。
「は、はい!すみません!」
「時間に余裕を持って行動しなさいと何度言ったらわかるの!」
「ご、ごめんなさい!」
ソフィアと呼ばれた平民を怒鳴りつけるのは公爵令嬢リゼット・オレリアン。その光景を見た者は一様に溜め息を吐く。またリゼット様の悪い癖が発動すると。
「お仕置きのデコピンです!」
「あいたっ!」
「ねえ、ソフィア。貴女はとても可愛らしい子です。私と違って華奢な体も、愛らしい顔立ちも全てが素晴らしいわ。神聖魔法を唯一この国で扱える貴女なら、きっと第一候補だった私を退けて聖女になることでしょう。だと言うのにこの体たらく。私は悲しいわ…」
「…っ!み、見捨てないでください、〝お姉様〟!」
「あらまあ、私が貴女を見捨てる訳ないでしょう?可愛いソフィア、おいで」
涙目でリゼットを見つめるソフィア。そんなソフィアを心底愛おしげに見つめ、抱きしめたリゼット。そう。完璧な令嬢であり、ソフィアが現れるまで聖女の第一候補だった彼女の悪い癖は…好きな子虐めだ。それは、余程目が節穴な者でなければすぐに気付いた。
リゼットは、ソフィアが何か失敗するとすぐに叱る。しかしそれは、愛ある叱責であることは一目瞭然だった。そんなリゼットに、ソフィアはすぐに懐いた。そして平民でありながら、その能力故に貴族の子供の通う学園に強制的に通わされた彼女は、唯一平民の自分を差別せず接してくれるリゼットに依存した。お姉様と呼び慕う。それをリゼットも許した。
それからはソフィアの地位が平民の癖にその能力で成り上がった生意気な小娘から、国一番の優秀な公爵令嬢のお気に入りとなり、あからさまな虐めは無くなった。また、リゼットを退け本当に聖女になる確率もあるのではと噂が流れた。そんなこともありますますソフィアはリゼットに傾倒する。これもまた、余程目が節穴な者でなければすぐに気付いた。
だがまあ、厄介なことに目が節穴な者はリゼットとソフィアのすぐ近くにいた。リゼットの婚約者であり、ソフィアの学園生活を支えるよう王命を受けたフレデリク・ベルナルド公爵令息である。彼は正直、愛し合う二人にとって邪魔でしかなかった。
生まれついての婚約者、リゼットを冷遇し自分なんかに現を抜かすバカな男。公爵令息でさえなければ一発殴ってやりたいとはソフィアの本音である。
またリゼットも表向きにこやかに対応するが、本音では浮気男がソフィアに近付くなと毒突いている。
自分が二人から嫌われていることにさえ気付かない節穴君は〝毒婦リゼットが自分を愛するあまり、可愛いソフィアに事あるごとに突っかかっている〟という妄想を真実だと信じている。はっきり言えば立派な〝勘違い男〟である。
「リゼット・オルレアン!君との婚約は破棄させて貰う!また、僕は将来の聖女ソフィアとの婚約をここに宣言する!」
「あらまあ」
「はい?」
食堂で、他の令嬢や令息のいる前で身勝手な婚約破棄と新たな婚約を叫ぶフレデリク。彼はそれを全ての人から祝福されると勘違いしていた。周りから投げられる冷たい視線に気付かない。リゼットは扇子で口元を隠す。その美しい顔には嘲笑が浮かんでいた。ソフィアは不快感を隠そうともせずにフレデリクを睨みつける。だが節穴君はそれにも気付かない。
「君が将来の聖女であるソフィアを平民だからと差別し、口うるさく罵っていたのは知っている!謝罪しろ!」
その瞬間、ソフィアが神聖魔法でフレデリクを吹き飛ばした。壁に激突したフレデリクは訳も分からず気絶した。目が覚める頃には、全てが終わっていたがどうしようもなかった。
リゼットはソフィアを連れて、学園長の元へ行き事の経緯を包み隠さず説明した。そして、喧嘩を売ってきたのがあちらとは言え神聖魔法を使ってしまったのは流石に不味いので自分とソフィアに一年の謹慎を与え、それで許して欲しいと割と勝手なお願いをする。しかしフレデリクの妙な勘違いを知っていて、まあ滅多なことにはならないだろうし大丈夫だろうと放置していた学園長はそれを許した。というか、それを拒否してフレデリクを放置した件を突かれたくなかった。
また謹慎期間中色々反省を促すためという名目で、ソフィアをオルレアン公爵家で預かることになった。リゼットは一年の謹慎期間、ソフィアと甘い時間を過ごす。
一方目が覚めたフレデリクは、お望み通りにリゼットとは婚約白紙となった。しかし勝手なことをしてベルナルド公爵家に泥を塗ったと廃嫡され、勘当される。平民となった、無駄にプライドが高く能力のない彼はやがてスラム街に身を落としたという。
「ねえ、ソフィア」
「はい、お姉様」
「貴女が聖女に選ばれたら、私聖女の補佐官になるわ」
「え?」
「この国では聖女やその補佐官も結婚が出来るから、色々な縁談も持ち込まれるでしょうけれど、私が上手く断ってあげる。そうしたら、ずっと一緒に居られるわね」
「お姉様!」
「でも逆は無理よ?私は実力とオルレアン公爵家のコネで簡単に補佐官になれるけれど、貴女には後ろ盾がないもの」
「そんな…」
「だから絶対に、私を退けて聖女に選ばれなさい。いいわね?」
「はい、お姉様!」
そして一年が経ち、謹慎が明けて学園に戻った二人は無事にニ年間を過ごし卒業。ソフィアが聖女に選ばれ、リゼットがその補佐官となり、国は二人の働きによって栄えた。二人は生涯独身を貫いたという。
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バカにしているつもりはありません。ただ書いていて楽しかった私のように好きな人は好きでも、一般的ではなく苦手な方もいるジャンルであることは確かなので閲覧注意は書いておく必要があると判断しています。