2 / 29
出会い
しおりを挟む
ご機嫌よう。ジャンティーです。絶賛平民生活堪能中です!ぶっちゃけ貧乏で生活には困窮していますが、平民生活、最高です!動物達と戯れても、大きな声で歌を歌っても、海辺を走り回っても、好きなように過ごしても誰にも咎められません!
さて、今日は山に山菜を採りに行きます。山菜はただで採れるので平民生活の強い味方です!まあ、毒のあるものには気をつけないといけませんが。あと、獣や魔獣にも注意ですね。
…と、あれ?山道に入りしばらくしたところに男の子が倒れています。黒い髪を見るに、どうやら魔族の子のようですが、幼い子供なら魔族であろうと捨て置くわけにいきません。駆け寄ります。
「僕、どうしたの?」
「…お前、聖騎士か?」
「違うよ。私はジャンティー。僕は?」
「…」
「うわ、すごい怪我!えっと…聖水なんてかけたら逆効果だよね?どうしたら回復する?」
「…お前、僕を助ける気か?正気か?」
「もう!まだ子供なんだから、お姉さんには敬語を使いなさい!」
「…僕は魔族だ。見た目は幼くても、お前より年上だ」
「あら、そうなの?それはごめんなさい。それでは魔族様、どうしたらその傷を癒せますか?」
「…血」
「血?」
「お前の血を飲ませろ。それで治る」
「わかった」
私は護身用の銀のナイフで指の腹を切り、魔族の子に差し出します。
「!!?」
「ほら、早く飲んで」
「…すまない」
魔族の子はちゅうちゅうと血を吸うとたちまち怪我を治してしまいました。
「わあ、本当に治った」
「…お前の血のおかげで魔力が回復したからな。この程度の怪我なら一瞬だ」
「へえ、僕すごいねぇ」
「子供扱いするな」
「ごめんごめん」
「…だが」
「うん?」
「お前のことを気に入った」
「あら、嬉しい」
「そうだろう。光栄に思え」
「ありがたき幸せ…ふふ」
「ふふん。そうだろうそうだろう」
「じゃあまたね」
「ま、待て!気に入ったと言っただろう!」
「うん?」
「僕の王城に連れて帰ってやる!」
「え?王城?」
「いいから付いて来い、こっちだ」
…秘密基地にでも連れて行きたいのかな?それとも魔界のお屋敷にでも連れて行ってくれるとか?まさかこんな子がこの間打ち倒された魔王の後継者なんてことはないだろうし。
「このゲートを通ればすぐだぞ!」
「あらま。ありがとう。でも、私は普通の人間だから、魔界の瘴気に耐えられないよ」
「僕が加護を与えてやるから大丈夫だ!」
「え?」
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと!本当に待って!ああ!」
魔族の子に引っ張られて思わず目を瞑る。恐る恐る目を開けると、私は不思議と瘴気に冒されることなく、煌びやかな王城に居た。
「あの…」
「なんだ?感動したか!」
「う、うん…あの、もしかして、もしかしたら…」
「うん?」
「…魔王様?」
「ああ!第1501代魔王、フォンセ・ディアーブルだ!」
…とんでもないことになってしまいました。
さて、今日は山に山菜を採りに行きます。山菜はただで採れるので平民生活の強い味方です!まあ、毒のあるものには気をつけないといけませんが。あと、獣や魔獣にも注意ですね。
…と、あれ?山道に入りしばらくしたところに男の子が倒れています。黒い髪を見るに、どうやら魔族の子のようですが、幼い子供なら魔族であろうと捨て置くわけにいきません。駆け寄ります。
「僕、どうしたの?」
「…お前、聖騎士か?」
「違うよ。私はジャンティー。僕は?」
「…」
「うわ、すごい怪我!えっと…聖水なんてかけたら逆効果だよね?どうしたら回復する?」
「…お前、僕を助ける気か?正気か?」
「もう!まだ子供なんだから、お姉さんには敬語を使いなさい!」
「…僕は魔族だ。見た目は幼くても、お前より年上だ」
「あら、そうなの?それはごめんなさい。それでは魔族様、どうしたらその傷を癒せますか?」
「…血」
「血?」
「お前の血を飲ませろ。それで治る」
「わかった」
私は護身用の銀のナイフで指の腹を切り、魔族の子に差し出します。
「!!?」
「ほら、早く飲んで」
「…すまない」
魔族の子はちゅうちゅうと血を吸うとたちまち怪我を治してしまいました。
「わあ、本当に治った」
「…お前の血のおかげで魔力が回復したからな。この程度の怪我なら一瞬だ」
「へえ、僕すごいねぇ」
「子供扱いするな」
「ごめんごめん」
「…だが」
「うん?」
「お前のことを気に入った」
「あら、嬉しい」
「そうだろう。光栄に思え」
「ありがたき幸せ…ふふ」
「ふふん。そうだろうそうだろう」
「じゃあまたね」
「ま、待て!気に入ったと言っただろう!」
「うん?」
「僕の王城に連れて帰ってやる!」
「え?王城?」
「いいから付いて来い、こっちだ」
…秘密基地にでも連れて行きたいのかな?それとも魔界のお屋敷にでも連れて行ってくれるとか?まさかこんな子がこの間打ち倒された魔王の後継者なんてことはないだろうし。
「このゲートを通ればすぐだぞ!」
「あらま。ありがとう。でも、私は普通の人間だから、魔界の瘴気に耐えられないよ」
「僕が加護を与えてやるから大丈夫だ!」
「え?」
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと!本当に待って!ああ!」
魔族の子に引っ張られて思わず目を瞑る。恐る恐る目を開けると、私は不思議と瘴気に冒されることなく、煌びやかな王城に居た。
「あの…」
「なんだ?感動したか!」
「う、うん…あの、もしかして、もしかしたら…」
「うん?」
「…魔王様?」
「ああ!第1501代魔王、フォンセ・ディアーブルだ!」
…とんでもないことになってしまいました。
2
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
もう彼女でいいじゃないですか
キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。
常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。
幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。
だからわたしは行動する。
わたしから婚約者を自由にするために。
わたしが自由を手にするために。
残酷な表現はありませんが、
性的なワードが幾つが出てきます。
苦手な方は回れ右をお願いします。
小説家になろうさんの方では
ifストーリーを投稿しております。
結婚相手の幼馴染に散々馬鹿にされたので離婚してもいいですか?
ヘロディア
恋愛
とある王国の王子様と結婚した主人公。
そこには、王子様の幼馴染を名乗る女性がいた。
彼女に追い詰められていく主人公。
果たしてその生活に耐えられるのだろうか。
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる