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恋愛要素は正直ほんのちょっと
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御機嫌よう。私、フロランス・オーヴェルニュと申します。公爵令嬢ですわ。今、我が公爵家ではとある幼い男の子二人を預かっておりますの。
フェリシテ・ザンクトゥアーリウムとフェリシアン・ザンクトゥアーリウム。双子ですわ。実はこのエルドラドの王子でしたの。しかしこの国では双子は不吉とされていますわ。ですから、殺されこそしなかったものの物心ついた今、臣籍降下されザンクトゥアーリウムという姓を貰い、さらに兄であるフェリシテ様だけ公爵位、王家直轄だった領地を貰い、成人するまでの約束で親戚にあたる我が公爵家に預けられましたの。
「フェリ様、シアン様。ご覧くださいませ。雪ですわよ」
「雪ー!?」
「ゆきー!?」
フェリ様もシアン様も大喜びですわ。
「さあ、防寒着を着込んで遊びに行きましょうね」
「ふーちゃんありがとう!」
「フロランス大好き!」
ああ、今日も双子が可愛い…誰だ双子を不吉なんて言った奴、頭にタライ落とすぞ。
「マフラーは?」
「巻いたー!」
「手袋は?」
「つけたー!」
「では、いざ雪遊びですわ!」
「「わーい!」」
フェリ様とシアン様が駆け出す。…しかし秒でシアン様が転んだ。
「ふ、ふぇ…」
「シアン!大丈夫?」
「うぇ…う…」
今にも泣きそうになるシアン様。可愛い。…いやそれどころじゃなかった。
「シアン様、お怪我は?」
「ぐずっ…だ、だいじょうぶ」
「びっくりしたねー」
「したよー…」
「痛いの痛いの飛んでいけー」
「うぅ…うん、とんでった…」
「よかったー。シアン、よしよし」
「ありがとう、フェリ…」
「じゃあ雪合戦しよう!」
「うん!」
今日も双子が天使です。神さま、お恵みをありがとうございます。私はこの双子がいるだけで生きていけます。
「えいっ」
「えいっ!」
フェリ様もシアン様も狙いが定まってない…可愛い…それじゃいくら投げても当たらないですわ。
「ふー。シアン避けるの上手いねー」
「フェリもじょうずー」
当てるのがお互いに下手なだけですわ。好き。
「次は雪だるま作ろー」
「つくろー」
フェリ様が下の大きな玉を、シアン様が上の小さな玉を作ります。
「一個出来たー!」
「あとにこー!」
どうやら雪だるまを三体作るらしいです。何やっても可愛い。天使。最高。
「うんしょ、うんしょ」
「よっこいせー!」
雪だるまが三体できました。小さな雪だるまが二体、小さな雪だるまに挟まれた真ん中に大きな雪だるまが一体。これは?
「フロランス、大好きー!」
「こっちがフェリで、こっちがシアンで、これがふーちゃんだよ!」
なんとフェリ様とシアン様は私の雪だるまを作ってくださったそうです。
「フロランス、嬉しい?」
「ふーちゃん、しあわせ?」
「もちろん嬉しいし幸せですわ!お二人ともありがとうございます!」
私は思わずフェリ様とシアン様を抱きしめる。なんて愛おしいのだろう。
「えへへー。僕も幸せー」
「えへへー。シアンもしあわせー」
フェリ様とシアン様が抱きしめ返してくれる。これ以上の幸せはない。私は今日も幸福に満たされている。
ー…
「で、冬休みが終わってまた寮生活になって、双子と離れるのが辛いって?」
「そうなんですの…」
「こんなに君を愛する婚約者が君の側にいるのに?」
「それとこれとは話が別ですわ」
「はぁ…そうかいそうかい。そりゃあ申し訳ないね。双子の代わりにもなれなくて」
「リカルドはリカルドで大好きですのよ?」
「そりゃあよかった」
「本気ですわ。私、リカルド以外など考えられませんもの」
「…本当かい?」
「ええ。リカルドにぞっこんですわ」
「僕もフロランスを愛してる」
そう言って抱きしめてくれるリカルド。リカルド・ヴァロア。侯爵令息。私の婚約者ですわ。とてもかっこよくて素敵で一途な、自慢の婚約者ですの。
「僕としてはむしろ、学園生活に戻れて良かったよ。君をあの双子に取られずに済むからね」
「もう。大人気ないですわ」
「君のことがそれだけ好きなのさ」
「リカルドったら」
「でもそうだなぁ。学園を卒業したらすぐに君のところの婿養子に入るわけだし、僕もいい加減双子と会って仲良くならないとだな」
「ええ、それはいいですわね。私はリカルドも双子も大好きですもの。大好きな三人が仲良くなってくれれば嬉しいですわ」
「ならば善は急げだ。早速今週の休みに君の家に行こう」
「まあ!それは素敵ですわ!お父様に手紙を出しておきますわね」
「頼んだ」
そうして週末、リカルドと一緒にフェリ様とシアン様に会いに行きました。
「フェリ様!シアン様!」
「フロランス!」
「ふーちゃん!」
「お久しぶりですわ。元気でしたか?今日は私の婚約者を紹介致しますわ!」
「婚約者?」
「けっこんするひと?」
「ええ。リカルド」
「リカルド・ヴァロアと申します。以後お見知り置きを」
「うむ、くるしゅうない」
「フロランスの婚約者なら僕らの兄のようなものだ。敬語はいらない」
「有難き幸せ。ですが、一応立場がありますから」
「そっかー、ざんねん」
「まあ、リカルドがそれでいいなら構わない」
「さあ、みんなで一緒に遊びましょう!」
「やったー!なにする?」
「何がいいかな?」
「では鬼ごっこをしましょう」
「わーい!」
「じゃあリカルドが鬼ね!」
「はいはい。では始めますよー」
ー…
「楽しかったー」
「リカルドいいひとだね!ふーちゃんとおなじくらいだいすき!」
「僕もリカルド大好き!」
「それは光栄ですね。フロランスと結婚してからも仲良くしてくださいね」
「もちろん!」
「いいよ!」
「…僕らに子供が出来たらこんな感じなのかねぇ」
「流石に気が早いですわ」
そんなこんなで今日も双子が可愛いですわ!
フェリシテ・ザンクトゥアーリウムとフェリシアン・ザンクトゥアーリウム。双子ですわ。実はこのエルドラドの王子でしたの。しかしこの国では双子は不吉とされていますわ。ですから、殺されこそしなかったものの物心ついた今、臣籍降下されザンクトゥアーリウムという姓を貰い、さらに兄であるフェリシテ様だけ公爵位、王家直轄だった領地を貰い、成人するまでの約束で親戚にあたる我が公爵家に預けられましたの。
「フェリ様、シアン様。ご覧くださいませ。雪ですわよ」
「雪ー!?」
「ゆきー!?」
フェリ様もシアン様も大喜びですわ。
「さあ、防寒着を着込んで遊びに行きましょうね」
「ふーちゃんありがとう!」
「フロランス大好き!」
ああ、今日も双子が可愛い…誰だ双子を不吉なんて言った奴、頭にタライ落とすぞ。
「マフラーは?」
「巻いたー!」
「手袋は?」
「つけたー!」
「では、いざ雪遊びですわ!」
「「わーい!」」
フェリ様とシアン様が駆け出す。…しかし秒でシアン様が転んだ。
「ふ、ふぇ…」
「シアン!大丈夫?」
「うぇ…う…」
今にも泣きそうになるシアン様。可愛い。…いやそれどころじゃなかった。
「シアン様、お怪我は?」
「ぐずっ…だ、だいじょうぶ」
「びっくりしたねー」
「したよー…」
「痛いの痛いの飛んでいけー」
「うぅ…うん、とんでった…」
「よかったー。シアン、よしよし」
「ありがとう、フェリ…」
「じゃあ雪合戦しよう!」
「うん!」
今日も双子が天使です。神さま、お恵みをありがとうございます。私はこの双子がいるだけで生きていけます。
「えいっ」
「えいっ!」
フェリ様もシアン様も狙いが定まってない…可愛い…それじゃいくら投げても当たらないですわ。
「ふー。シアン避けるの上手いねー」
「フェリもじょうずー」
当てるのがお互いに下手なだけですわ。好き。
「次は雪だるま作ろー」
「つくろー」
フェリ様が下の大きな玉を、シアン様が上の小さな玉を作ります。
「一個出来たー!」
「あとにこー!」
どうやら雪だるまを三体作るらしいです。何やっても可愛い。天使。最高。
「うんしょ、うんしょ」
「よっこいせー!」
雪だるまが三体できました。小さな雪だるまが二体、小さな雪だるまに挟まれた真ん中に大きな雪だるまが一体。これは?
「フロランス、大好きー!」
「こっちがフェリで、こっちがシアンで、これがふーちゃんだよ!」
なんとフェリ様とシアン様は私の雪だるまを作ってくださったそうです。
「フロランス、嬉しい?」
「ふーちゃん、しあわせ?」
「もちろん嬉しいし幸せですわ!お二人ともありがとうございます!」
私は思わずフェリ様とシアン様を抱きしめる。なんて愛おしいのだろう。
「えへへー。僕も幸せー」
「えへへー。シアンもしあわせー」
フェリ様とシアン様が抱きしめ返してくれる。これ以上の幸せはない。私は今日も幸福に満たされている。
ー…
「で、冬休みが終わってまた寮生活になって、双子と離れるのが辛いって?」
「そうなんですの…」
「こんなに君を愛する婚約者が君の側にいるのに?」
「それとこれとは話が別ですわ」
「はぁ…そうかいそうかい。そりゃあ申し訳ないね。双子の代わりにもなれなくて」
「リカルドはリカルドで大好きですのよ?」
「そりゃあよかった」
「本気ですわ。私、リカルド以外など考えられませんもの」
「…本当かい?」
「ええ。リカルドにぞっこんですわ」
「僕もフロランスを愛してる」
そう言って抱きしめてくれるリカルド。リカルド・ヴァロア。侯爵令息。私の婚約者ですわ。とてもかっこよくて素敵で一途な、自慢の婚約者ですの。
「僕としてはむしろ、学園生活に戻れて良かったよ。君をあの双子に取られずに済むからね」
「もう。大人気ないですわ」
「君のことがそれだけ好きなのさ」
「リカルドったら」
「でもそうだなぁ。学園を卒業したらすぐに君のところの婿養子に入るわけだし、僕もいい加減双子と会って仲良くならないとだな」
「ええ、それはいいですわね。私はリカルドも双子も大好きですもの。大好きな三人が仲良くなってくれれば嬉しいですわ」
「ならば善は急げだ。早速今週の休みに君の家に行こう」
「まあ!それは素敵ですわ!お父様に手紙を出しておきますわね」
「頼んだ」
そうして週末、リカルドと一緒にフェリ様とシアン様に会いに行きました。
「フェリ様!シアン様!」
「フロランス!」
「ふーちゃん!」
「お久しぶりですわ。元気でしたか?今日は私の婚約者を紹介致しますわ!」
「婚約者?」
「けっこんするひと?」
「ええ。リカルド」
「リカルド・ヴァロアと申します。以後お見知り置きを」
「うむ、くるしゅうない」
「フロランスの婚約者なら僕らの兄のようなものだ。敬語はいらない」
「有難き幸せ。ですが、一応立場がありますから」
「そっかー、ざんねん」
「まあ、リカルドがそれでいいなら構わない」
「さあ、みんなで一緒に遊びましょう!」
「やったー!なにする?」
「何がいいかな?」
「では鬼ごっこをしましょう」
「わーい!」
「じゃあリカルドが鬼ね!」
「はいはい。では始めますよー」
ー…
「楽しかったー」
「リカルドいいひとだね!ふーちゃんとおなじくらいだいすき!」
「僕もリカルド大好き!」
「それは光栄ですね。フロランスと結婚してからも仲良くしてくださいね」
「もちろん!」
「いいよ!」
「…僕らに子供が出来たらこんな感じなのかねぇ」
「流石に気が早いですわ」
そんなこんなで今日も双子が可愛いですわ!
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