私はただ、世界を描きたい

職場環境

職場環境は、はっきり言ってすごく良い。

嫌な人が一人もいないとは言わないけど、基本的には優しい人が多くおおらかな雰囲気。

もちろん仕事に関しては厳しいけれど、そこは先輩がきっちり教えてくれているから今のところ問題もない。

事務職なので座りっぱなしで体が痛くなるのと、目が疲れて頭痛までしてくるのにさえ目を瞑れば最高の職場環境。

眼精疲労に効く目薬やらなんやらは必須だけど、それ以外大きな不満はない。

「菊池さん、お疲れ様です」

「田村さん、お疲れ様です」

同期とも普通に挨拶くらいはする仲になれた。

私は正直人見知りなのだが、同期のみんなは優しいからなんとか普通に付き合えている。

「菊池さん、すごく仕事の覚えが早いらしいね」

「いえ、先輩がすごく優しく丁寧に教えてくださるので」

「それは良かった」

そんな会話をしていたら、後ろから先輩が。

「先輩」

「まさか同期にもそんな風に言ってくれるなんて。私の株が上がってしまうかも」

そんな風に冗談を言う先輩に少し笑う。

「ふふ、もう爆上がりですよ」

「あらあら、それは嬉しいな。おっと、邪魔してごめんね」

「いえ、邪魔だなんて」

「私はこれで。ごゆっくりー」

「ふふ」

先輩はやっぱり良い人だ。

「なんだか、接しやすい先輩だね」

「優しい方ですから」

「そっか、良かったですね」

「はい」

先輩を褒められて嬉しくて、頬が緩む。

私は、人見知りのくせに周りの人間には本当に恵まれている。