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ただただ書き続ける日々
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私は書く。
自らの内側に溢れる世界を。
書くジャンルは雑多だ。
異世界恋愛、現実社会での恋愛、ファンタジー、ヒューマンドラマ、ホラー。
なんでもいい、とにかく書きたいものを書きたかった。
「それで、菊池。お前、進路は決まったのか」
「先生、私やっぱり小説家になりたい」
「夢を持つのはいいけどなぁ。わかるだろう?」
先生の言うことはよくわかる。
小説一本で生きていくのは難しい。
それが出来るのは一握りの人だけ。
だけど。
「お父さんが褒めてくれたんです。それに縋って生きてきた。他の生き方なんて、今更思い描けない」
亡きお父さんは優しくて。
幼い頃はよく本を読んでくれた。
大きくなって、物語を書くのが好きになった私を褒めて応援してくれた。
それ以外なんて、私は持ち合わせていない。
「でもな、お前の人生なんだからもう少し真剣に考えないと」
「…」
「みこちゃーん!」
いっそ泣きたい気持ちになったところで、ゆうちゃんが来た。
「ゆうちゃん」
「先生!うちのお友達をいじめないでよね!」
「いじめてないが」
「みこちゃんは世界一の小説家になるんだからね!」
「…」
ゆうちゃんは、いつも私をこうして励ましてくれる。
「みこちゃん、昨日更新してた小説もすっごい面白かったよ!まだみこちゃんは高校生なのに書籍化したこともあるんだから、これからも絶対絶対頑張れるよ!」
「うん…!」
「でも、みこちゃんと進路離れ離れになるのは寂しいな」
「ゆうちゃん…」
「みこちゃんは成績もいいし、一緒に大学に行けたらいいのにな」
大学…でも、私はお母さんを支えないといけない。
なのに、支えるどころか学費を出してもらうなんて…むり。
それに、奨学金は高校生活を送るために既に借りている。
大学も奨学金でとなると、将来がかなり厳しくなる。
「これ以上奨学金は借りられないからなぁ…でも、そう言ってくれて嬉しい」
「みこちゃん」
「先生…現実的な話、大学には私は行きません。だから…やっぱり、就職します」
「そうか」
「でも、就職しても作品は投稿し続けたくて…」
先生とゆうちゃんは頷いて聞いてくれる。
「だから私…夢は諦めずに、現実を生きようと…思います。今は。いつかは、夢を現実にします」
「そうか…」
「頑張れ、みこちゃん!」
こんなことを言っても、それが難しいことも本当はわかってる。
けれどやっぱり、お父さんが応援してくれていた夢は捨てたくなかった。
自らの内側に溢れる世界を。
書くジャンルは雑多だ。
異世界恋愛、現実社会での恋愛、ファンタジー、ヒューマンドラマ、ホラー。
なんでもいい、とにかく書きたいものを書きたかった。
「それで、菊池。お前、進路は決まったのか」
「先生、私やっぱり小説家になりたい」
「夢を持つのはいいけどなぁ。わかるだろう?」
先生の言うことはよくわかる。
小説一本で生きていくのは難しい。
それが出来るのは一握りの人だけ。
だけど。
「お父さんが褒めてくれたんです。それに縋って生きてきた。他の生き方なんて、今更思い描けない」
亡きお父さんは優しくて。
幼い頃はよく本を読んでくれた。
大きくなって、物語を書くのが好きになった私を褒めて応援してくれた。
それ以外なんて、私は持ち合わせていない。
「でもな、お前の人生なんだからもう少し真剣に考えないと」
「…」
「みこちゃーん!」
いっそ泣きたい気持ちになったところで、ゆうちゃんが来た。
「ゆうちゃん」
「先生!うちのお友達をいじめないでよね!」
「いじめてないが」
「みこちゃんは世界一の小説家になるんだからね!」
「…」
ゆうちゃんは、いつも私をこうして励ましてくれる。
「みこちゃん、昨日更新してた小説もすっごい面白かったよ!まだみこちゃんは高校生なのに書籍化したこともあるんだから、これからも絶対絶対頑張れるよ!」
「うん…!」
「でも、みこちゃんと進路離れ離れになるのは寂しいな」
「ゆうちゃん…」
「みこちゃんは成績もいいし、一緒に大学に行けたらいいのにな」
大学…でも、私はお母さんを支えないといけない。
なのに、支えるどころか学費を出してもらうなんて…むり。
それに、奨学金は高校生活を送るために既に借りている。
大学も奨学金でとなると、将来がかなり厳しくなる。
「これ以上奨学金は借りられないからなぁ…でも、そう言ってくれて嬉しい」
「みこちゃん」
「先生…現実的な話、大学には私は行きません。だから…やっぱり、就職します」
「そうか」
「でも、就職しても作品は投稿し続けたくて…」
先生とゆうちゃんは頷いて聞いてくれる。
「だから私…夢は諦めずに、現実を生きようと…思います。今は。いつかは、夢を現実にします」
「そうか…」
「頑張れ、みこちゃん!」
こんなことを言っても、それが難しいことも本当はわかってる。
けれどやっぱり、お父さんが応援してくれていた夢は捨てたくなかった。
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